小暮写眞館IV: 鉄路の春 (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社
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  • / ISBN・EAN: 9784101800882

作品紹介・あらすじ

君の涙を、忘れない。感動の物語、完結。花菱英一の父親が家出した。理由を問う息子に対し、祖父危篤の連絡が発端となって、縁を切った実家に行くかどうかで母親と大喧嘩をした、と弁明する秀夫。夜風を浴びながら、二人は生家と断絶する契機となった七年前の出来事、妹・風子の死について語り合う。そうした中、今度は垣本順子の抱える過去と問題が明らかになる――。青春。恋愛。家族。あらゆる世代の胸を打つ感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  • 君の涙を忘れない。感動の物語、完結。

    花菱英一の父親が家出した。理由を問う息子に対し、祖父危篤の知らせを受けて、縁を切った大船の実家に行くかどうかで母親と喧嘩した、と弁明する秀夫。夜風を浴びながら、二人は生家と断絶する契機となった七年前の出来事、妹・風子の死について語り合う。そうした中、今度は垣本順子の抱える過去と問題が明らかになる…。青春。恋愛。家族。あらゆる世代の胸を打つ感動の物語。

  • 本書最終章。父の家出に端を発して、家族・親族との関わりが解き明かされる。また、7年前に亡くなった主人公の妹のことも家族と親族であったわだかまりも解決。
    なによりも、不動産屋で勤める女性との関わりと彼女自身の人生の過去を知った主人公。
    助け、助けあい繋がっていく人間。その中でも「家族」の絆の大切さをラストシーンでは見事に表現されている。
    涙する1冊。
    そして・・・再出発した女性とはもう逢えないのか・・・
    そこは、読者の感想によるところかな。

  • 「ホントの気持ちをうまく言えないときに、本気じゃないことを、うっかり言っちゃううんだよ」
    世界中探したって絶対に居ない高校生が大人を仕切りる、名探偵コナンのような英一。しかし自分の事にはカラッキシ頼りない。宮部ワールドだ。垣本順子の幸せを祈ろう
    般若心経~~~

  • 『娯楽』★★★★☆ 8
    【詩情】★★★★★ 15
    【整合】★★★★☆ 12
    『意外』★★★★☆ 8
    「人物」★★★★★ 5
    「可読」★★★★☆ 4
    「作家」★★★★☆ 4
    【尖鋭】★★★★☆ 12
    『奥行』★★★★★ 10
    『印象』★★★★★ 10

    《総合》88 A+

  • 柿本さん、いいヒトだった。
    またどこかで会えたらいいのにな。

  • とてもいい読後感でした。

  • 花菱英一の父親が家出した。理由を問う息子に対し、祖父危篤の知らせを受けて、縁を切った大船の実家に行くかどうかで母親と喧嘩をした、と弁明する秀夫。夜風を浴びながら、二人は生家と断絶する契機となった七年前の出来事、妹・風子の死について語り合う。そうした中、今度は垣本順子の抱える過去と問題が明らかになる―。青春。恋愛。家族。あらゆる世代の胸を打つ感動の物語。

  • 走り出せ。
    心地よい落とし所にキレイに着地。さすがです。
    最初はぼんやりした印象だったけど、最後まで読んで良かった(^^)

  • 泣けた…電車の中で必死に涙を堪えました……。
    LINEノベルで読むもの探して宮部みゆきさんというだけでⅠを読み始めてまあ可もなく不可もなくという感じで読み終えて、Ⅱであんまり面白くなくなってきて惰性で読み切ったようなもんで、Ⅲでまた面白くなってきて、Ⅳで涙涙という。まさかこんな話だったとは。
    どこにでもいそうな高校生、どこにでもいそうな家族に見えてたのが全然そうじゃないよねっていう。そりゃあ幼い家族失うって相当凄惨な過去ですよね。英一は本当にあのピカちゃんとの時間で、あのあれだけで何も外に吐かずに、心の中大丈夫になったんだろうか、とそのまま読みながら思っていたけど、そうじゃないというか何というか、これからも大丈夫になることなんか無いんだろうなと思い直した。そういうものを背負いながら、ただしこれからは蓋をするんじゃなくて違う向き合い方をしながら、ひとつ強くなって生きていくんだなと。
    そしてそこに来ての垣本順子氏との別れ。でもまた英一はそれでも生きていくんよね。頑張ってでも頑張らずにでも、強くなってでも強くならずにでも、生きていくんよね。英一に説明しているときの社長の言葉は泣けた。「大事」ってどういうことか。たまたま男女だっただけだよね。あなたたちに幸あれ。

  • おねしょをするようになったピカと当時四歳の真ん中の風子の死に纏わる七年前の父の実家と母の事情、焦りから薬を過剰摂取した順子の事情。整理されピントが合うようにスッとしていて入り込み易かった。順子と英一の仲の奥床しいような詳らかにし切らない独特の趣が良い。切なくて寂しい結末の先にほのかな余韻があった。

  • 第3巻までは心霊写真がらみであったが、最後の4巻目はこれまでの話の総まとめとなっている。人生いろいろ悲しみもあるが、それを乗り越えて人は生きていくのだな。ほのぼの青春小説。

  • 写眞館に住んだことから、写真に秘められた人々の過去を探った花ちゃんが、最終章では自らの家族に秘められた過去を探る。その過程で明らかになるのが、なぜか付き合ってることになってる垣本の過去。家族同士のわだかまりや束縛、恋愛や友情などの人同士の結びつきが自然体で描かれ、悲劇に見舞われてもそれを柔らかく乗り越えて前に進もうとする力強さ。今年作家デビュー30年を迎える宮部さんの、これまでの集大成として懐かしくも新鮮な気持ちで読めた。殺人事件や校内裁判などの大きなトピックがなくても、日常に秘められた謎は面白く、そして胸を打つ。楽しい長編小説だった。

  • 爽快感や前向きに進むとこ、4巻は感動もしながら気持ちよく読み終えた。身内の特に嫌な奴らに対して立ち向かう勇気、これは家族の為もあるけど自分の為でもあったと思う。大きな成長だ。おれには出来ない。
    そして、ジュンコとの関係とジュンコの成長。ジュンコは難しい人生だったろうけど、絶対幸せになって欲しい。キャラの濃い面白い友達もピカを取り巻く話も全部良かった。ほんと良かった。

    やっぱり高校生ものはいいねぇ。もうオッサンの自分には経験出来ないから羨ましいんだろうねぇ。
    楽しい本をありがとうございました。

  • 花菱英一の父親が家出した。理由を問う息子に対し、祖父危篤の知らせを受けて、縁を切った大船の実家に行くかどうかで母親と喧嘩をした、と弁明する秀夫。夜風を浴びながら、二人は生家と断絶する契機となった七年前の出来事、妹・風子の死について語り合う。そうした中、今度は垣本順子の抱える過去と問題が明らかになる―。
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    前3作と違い今回は心霊写真云々は出て来ず、花菱家の過去や成長するピカちゃんのこと、それを見守る兄やその友達など、心温まるものだった。英一と垣本順子のやりとりはぶっきらぼうだけど涙が出そうなシーンもあって…イヤミスじゃない宮部さんの作品もよかった。

  • 全巻読了。
    最終巻は不思議写真の謎を解くわけではなく、ちょっぴり切ない初恋ストーリー。
    毎回、写真に込められた想いが切なくて、でも温かい気持ちにさせる。
    最後は前向きに、気持ちのいい読後感だった。

  • 最後、スカッとしたなー

  • 2017.4.17読了

  • 今までの宮部さんの作品で一番好きです。
    社会問題は出てくるけれど、今までのようにがっつりと深刻にストーリーが進んでいくのではなく
    あくまでも高校生が行動できる範囲で、自分の中で落とし所をみつけていくのが、読んでいても心が重くなりませんでした。
    でもちゃんと問題には主人公と一緒に考えていけるところが、宮部さんの腕なんだと思います。

    宮部さんかー、現代のはなしかー、心の準備しないと苦しくなるなあと手を出すのが遅かった作品ですが
    予想を裏切る爽やかさで、新しい宮部さんの世界を感じました。
    あと表紙がとてもよかった!!読み終わったあとに表紙を見るとジーンと心にきます。

    ぜひ大学生になった花ちゃんも読みたいです。

  • 心霊写真の謎を解く事から始まった物語。
    でも結局心霊写真じゃなく様々な家族の物語だったのかな?
    最終話は花菱家とST不動産の垣本順子さんのお話。

    花菱家の本家と絶縁状態の花ちゃん達家族に
    本家より祖父が危篤と連絡が入り家庭の中が微妙な空気に。
    そんな頃、花ちゃんは
    苦手意識を持ってた垣本さんと距離が近くなる。
    また垣本さんも家族から逃げてきた人だった…。
    お互い家族にケジメを付けた時に……

    花ちゃん大人の階段上がってる最中。
    走り出せ、花菱英一。
    出会いと別れが切ない花ちゃんの成長物語。
    これはこれで良かった。




    ナイス

  • とてもよかった。とても素敵だった。
    悲しいこと切ないこと、やるせないこと。それら全てひっくるめて、だからこそ感じる優しさが広がっていた。

    写真を通して見える過去とか、忘れられない想いとか、冷凍保存してしまった思い出とか。
    主人公の成長、初恋、そして家族への思い。
    あぁ、素敵な物語だったなぁ、と読み終わってしみじみ思った。

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著者プロフィール

1960年東京都生まれ。87年『我らが隣人の犯罪』で、「オール讀物推理小説新人賞」を受賞し、デビュー。92年『龍は眠る』で「日本推理作家協会賞」、『本所深川ふしぎ草紙』で「吉川英治文学新人賞」を受賞。93年『火車』で「山本周五郎賞」、99年『理由』で「直木賞」を受賞する。その他著書に、『おそろし』『あんじゅう』『泣き童子』『三鬼』『あやかし草紙』『黒武御神火御殿』「三島屋」シリーズ等がある。

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