脂肪の塊・テリエ館 (新潮文庫)

  • 新潮社
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感想 : 60
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  • Amazon.co.jp ・本 (132ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102014028

感想・レビュー・書評

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  • 世の中こんなものだと教えてくれた本。とにかく林檎酒飲みたい。

  • 誰にでもある美醜。

  •  この二つの小説に共通していると思ったのは、娼婦が登場すること、また身分が高かったり偉いと思われている人が好意的には描かれていないことだ。

     『脂肪の塊』では、デブの娼婦が登場する。時代背景はフランスがプロシア軍に劣性で侵攻されているところらしい。街にプロシア軍が駐留するようになったので馬車に乗って逃げる人々の道中の話である。逃げているというだけで軽蔑されるべき人達ではあるが、娼婦であるブールド・スイフだけはプロシア兵に反抗したとして尊敬される。だがそのせいで、宿で偶然居合わせたプロシアの将校に旅を続けることを許さないと云われてしまう。その理由がブールド・スイフがその男と寝るのを拒んだからだと判明すると、他の人々は最初はその姿勢を支持するが、旅が中断されて長引くにつれて、娼婦のくせに客を選ぶなとか、一緒に旅をする人のことを考えて、黙ってその男と寝ればいいじゃないかとか、逆に恨むようになる。最終的にブールド・スイフは他の人のことを思ってプロシア兵と寝るわけだが、その後に彼女に対してとる態度はまるで汚らわしいものを扱うような感じ。他の人たちのことを考えて自分の気持ちを曲げたのに、軽蔑を買ってしまう。いっしょに馬車で逃げているお偉いさん方がとても自分勝手な人たちに思えた。
     最後の馬車の中の描写は非常に絵画的で、それだけでもこの作品を読む価値はあるかと思う。

     『テリエ館』では聖体拝受を受ける子供がその前日に娼婦の胸に顔をうずめて寝たりだとか、あばずれのローザが聖体拝受の儀式のときに一番最初に涙を流し、それにつられて周りの人も涙を流し始めるが、そのローザが数時間後には男といちゃついている。祭司から、聖体拝受の儀式を神聖なものにしたとして感謝の言葉を受けるのは娼婦たちで、「主よ、憐れみたまえ」と発生すると、教会の天井からごみや腐った木が落ちてくる始末。なんだか神聖なものを茶化していたりして、皮肉っぽくて面白かった。

  • 脂肪の塊である彼女だって人間である。
    肩書、権威、人の心、それが入り組む社会の相関を描くようなシンプルでありながら痛烈な作品だった。

  • 人の醜さがありありとわかる一冊です。
    貧富、職業、地位、男女、ありとあらゆる差から派生する人間感情の生々しさが短い中に凝縮され作者の観察眼に屈服するしかありません。

  • 犠牲になった「脂肪の塊」を蔑むし、お弁当はくれないし…。
    金持ちひどい!

  • 某企業の某会長にすすめられて読んだ本です。

    いつの時代も人間の醜さ・汚さ・愚かさは変わらないんですね。

    1880年発表ということを忘れてしまいそうになりました。


  • やはり人間は人間で、窮地は尚更醜い。

  • 脂肪の塊 このラスト最強

  • 脂肪の塊とテリエ館、両方同じ娼婦を扱った作品だけどとらえ方、描き方は正反対。
    だけどそれが良かった。この2作品を一緒に収録したのは大正解だとおも。
    両作品とも堪能でけた。
    脂肪の塊のほうがハッキリと評価は高いようだけど、俺はテリエ館も負けず劣らずよかったなー。
    脂肪の塊のあとに読んだから尚更そう感じるのかも。
    収録の順序も大正解だったようでつ。

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著者プロフィール

フランス人。1850〜93年。母の友人フローベールにすすめられ文筆に転向。最初の成功作『脂肪の塊』(1880)で一躍新聞小説の寵児となる。短編約三○○、長編数作を書く。長編に『女の一生』(1883)『ベラミ』(1885)。短編小説『幻覚』や『恐怖』は戦慄させるほどの正確さで狂気や恐怖を描写し、この狂気の兆候が1892年発病となり、精神病院でなくなる。

「2004年 『モーパッサン残酷短編集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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