ユダヤ警官同盟〈下〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102036129

作品紹介・あらすじ

マフィアが巣食い、宗教指導者が影響力を揮うシトカの街を、深い傷を負った刑事の魂が彷徨う。殺された若者はチェスの天才だった。神童。奇跡の子。ユダヤ人の間で囁かれる救世主伝説。警察ばかりか、幾多の勢力が事件を葬り去ろうとするなか、相棒ベルコと暴走気味に捜査を続けるランツマンはある事実に気づくが-。故郷喪失者の挽歌が響くハードボイルド・ミステリ大作、佳境へ。2008年度のヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞というSFの主要三賞を制覇。エドガー賞長篇賞、ハメット賞最終候補。

感想・レビュー・書評

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  • ハードボイルド風味。読みづらく、わかりづらく、読後も釈然としない。チェスは棋譜を読める程度に知っていたので、ラストはついていけたが、知らない人はサッパリだろう。ユダヤ人の感性が垣間見れる点と、救世主の卵という着想は良かった。""

  • 仕事が立て込んでてしばらく読めてなかったけど、ようやく読了。
    下巻になって、一気に速度が増した感じ。そこそこ面白かった。

    歴史改編物ということで期待していたのだけど、改編部分がちょっとぼくには「遠すぎた」。
    ユダヤの話とか全然知らないって事に初めて気がついた。そうかー。
    なのできっと、本書の面白さは半減してたように思う。
    ラストもちょっと肩透かし感。まあ、悪くはないんだけど。
    期待が大きすぎたのかも。

    とはいえ、きっちりとハードボイルドで面白かった。
    こういう男臭い小説も良いもんだ。
    ベルコがもっと活躍してくれるとなお良かったかな―。

  • これが、アメリカ人なのだろうか。故郷喪失者。他のダブルクラウンと比べたときの内容の相違を考えてしまった。

  • 海外ミステリーの話題作を読んでみようと思うことがしばしばあり、これも「いつか読もう」とリストアップしていた作品。まさかSF賞トリプルクラウン受賞作とは思ってもなかった。しかもIFもんとは…。

    そのIFの設定が「もしも中東戦争でイスラエルが負け、ユダヤ系難民がアラスカに期間限定の居住区を与えられていたとしたら」って…あかん、俺の過ごしてきた文化土壌には馴染みがない世界や。きっと西洋もしくは中東あたりに住んでいるか、キリスト教かユダヤ教の信者であれば物語世界の呑みこみも深くできたんだろうけど。

    主人公たちのハードボイルドな生き様、主人公の元嫁現上司のツンデレッぷり等、読みどころは色々あったものの、やはり物語の根幹となる「イディッシュ文化」なるものにイマイチついていけなくて、きっとこの本の本質は読みとれていないんだろうなと思った。

    そこが分かっていたら、断然オモロかったであろうと思うだけに、余計残念。

  • 歴史改変小説。イスラエルが建国して三ヶ月でなくなった世界で、アラスカに閉じ込められたユダヤ難民の人たちの話。ベルリンに原子爆弾が落とされていたりさらっとすごいことが書かれている。思ったのはとにかくユダヤ人は増える。それは民族なのに国を持たないからなんだろうか。今はイスラエルがパレスチナにどんどん増殖してるし。この小説では汚いホテルで男のひとが殺されて、そこから陰謀が暴かれていく。もしかしたら救世主になったかもしれない男のひとで、主人公は祝福をうけなかったことを悔やむけれど、最後にひとつの愛に戻れてよかったなぁと思った。

  • (上・下の感想です)
    第二次大戦前アラスカにユダヤ人自治区が設置されそこにユダヤ人が移入し、さらにイスラエル建国が失敗したことによる難民の移入があり、特別区は人口三百二十万人になっているという設定(訳者あとがきによるとアメリカでユダヤ移民亡命受け入れ計画は実際あったらしい)。特殊な政治的経緯で成立した特別区はさらに流派の違いで一様ではないというユダヤ教内の事情も加わり、複雑な様相を呈しているが、そこに殺人事件が起こるという小説である。ユダヤ文化要素が多分に盛り込まれているのがユニークでこちらは謎解きにからんでくる(同じくナチス歴史改変小説である)『プロット・アゲンスト・アメリカ』よりさらに大胆なアイディアが導入されSFミステリならではの面白さがあるともいえる。イディッシュ語という言語学的な部分も本書を支えているようだ。チェスも伏線に効いてくるところもいい。

  • アラスカにユダヤ人が住む特別区があるという設定でのミステリー&SF。現実のネイティブアメリカンの居留地のようにはならないのね。
    評価が分かれる作品だと思う。そして私は肯定派に入る。
    ハードボイルドに暴力や陰謀が入り乱れているのだけど、その背景のユダヤ教&教徒に対する他国や他宗教の人達の思惑を考えれば、もしこういう居住区があったら、こうなっても全く不思議はない、と思わせられるのだ。
    そして、ユダヤを扱う小説や映像に出会うたびに抱く、「どうしていつも彼らなのか」という思いを強くする。
    ユダヤ人やナチを題材とする架空世界小説が多々存在するのには、確かに理由がある。

  • ☆☆☆☆

  • 独特のジョークや、価値観、言い回しになかなかスルッとは読み進められず、てこずった。
    ユダヤ人が暮らす、アラスカ州シトカ特別区。2カ月後にアメリカへの返還が迫るシトカ警察のランツマンは、未解決事件を残さないよう、元妻の上司から言い渡される。起きたばかりのヤク中殺人事件を追ううち、ユダヤ過激派の中枢部に近づいていくことにー。
    結局犯人は自分の叔父で、相棒ベルコの父でもある人物だった。
    ストーリーを楽しむというよりは、ユダヤの置かれた状況やものの考え方を知ることができる、面白い一冊。なかなかページは進まないけど。

  • まあ…オレには合わなかったという事で…。

    ただ、民族意識、と言ってしまっていいのか分からないけど、
    そういうものの強さや、逆に今の日本人がこの本のように
    なった場合に、何を持って日本人と言うのか…てな事を
    何となく考えた。

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