風と共に去りぬ 第5巻 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (572ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102091104

作品紹介・あらすじ

スカーレットの二番目の夫フランクは敗戦後の混乱のなか殺されてしまった。周囲の批難を意に介さず、スカーレットはついにレット・バトラーと結ばれる。愛娘ボニーも生まれ、レットはことのほか溺愛するが、夫婦の心は徐々に冷え、娘の事故死をきっかけに二人の関係は決定的に変わってしまう。メラニーは、アシュリはどうなるのか。物語は壮大なスケールにふさわしい結末を迎える!

感想・レビュー・書評

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  • マーガレット・ミッチェルの『風と共に去りぬ』最終巻。これまでスカーレットにとって嫌いとはいえないまでも好きではなかったメラニーとの関係を中心に描かれる。スカーレットにとって最も理解し難くとはいえ、見捨てられない存在であったメラニーが最も大切な存在であることに気がつく。鴻巣さんが言っているように、スカーレット=赤とメラニー=黒という色もどこか象徴的だ。
    そして、タラ。南部の大地がもたらす力。しかしそれは古き良き南部ではなく新南部でもあってそれを象徴するのがスカーレットという存在なのだ。
    南北戦争前後のアメリカ。現代のトランプにつながるアメリカ文化を理解する上で必読の作品と言えるだろう。

  • 読書会で取り上げられてなかったら、読まなかっただろう。読書会での発表を意識して読んだお陰で、訳されている言葉の適不適であったり、表現されている意味を考えながら読む事が出来た。

    また、読書会参加者の視点を得る事で、新たな気付きや新鮮な考え方に触れる事が出来た。

    特に自分自身が年齢や経験(今回の場合はアトランタ在住経験も)を重ねてきた事で、頭の中の理解だけでなく実生活を通した感覚を持って読む事が出来たと思う。

    後半になるに従いスカーレット自身の登場場面が少なくなると共に、今まで美しく見えていた彼女の力強さが、今度は醜くく変幻してきている様に思えてきた。

    訳の良さもあってか(細かい点においては色んな疑問や注文、はあるけれど)文庫本5巻あってもあっという間に読めてしまう。そのため読書会のペースを越してしまうので、次に進みたい気持ちを抑えるのが大変でした。

  • 2023.12.19

  • 戦争がかくも人の考え方や生き方を変えてしまうのか。主人公マーガレットのような、狡賢い女でさえも、戦争さえなければ。
    ただ一方で、戦争でマーガレット自身の根本が変わったかというと、そうでもないと思う。ひもじい思いをしていた時代以外、相変わらず自分のことしか考えていない。最終盤で、メアリーやレットの有難さを知り、アシュリに対する思いはただの自分の妄想に近いものだと悟るが、彼女は果たして本当に心から自省したかというと、してないと思う。結局自分の為になってくれた人、自身の損得勘定でその時プラスだと感じた人の為に好きと言えたり泣けたりするだけであって、彼女は本当に冷たく心の貧しい人だと思った。
    現代日本にもこういう人はいる。外面はいいんだけれど、知れば知るほど自分のことしか考えてない人(家族とか大親友レベルにまでならないとわからない)。本作が、そこに対する批評的な面までかかれていたら傑作だなあと思ったが、触れてないので、もしかしたら作者としては「マーガレットは本当に改心した」というお話なのだろうか?

  • 私の人生で至高の作品!!
    明日には明日の新しい風が吹くわ、と言って、どんなに絶望的な局面でも希望を捨てないスカーレットは、永遠の憧れ。、

  • 正直スカーレットが子供すぎて、辟易でした。
    アシュリに対してもレットに対してもメラニーに対しても、とにかく自覚なしに甘えすぎ。

    フランクの死でちょっとは大人になったかと思ったのに、同じことを繰り返しているし…
    (メラニーを失って初めて、大切さに気づく)

    バカ?(すみません)

    とりあえずレットに関しては、いったん失うことは避けられそうにないけど、読者はそこまで悲嘆したりバットエンドと思ったりする必要はないかなと思います。
    (実際スカーレットは悲嘆していないしね…)

    だってレットは生きているんだから。
    明日も明後日も。

    それだけでも希望はあるし、やり直せるし、わたしはハッピーエンドと思いました。
    初めは、「えっ!? これで終わり!?」と思いましたが。
    (なんだかんだ最後にはふたりの心が通いあうシーンが見られると思って、それを楽しみに読んでいたので)

  • 読み終わってしまった……
    読み終わったその日に朝ドラ「スカーレット」の俳優さん同士がご結婚とのニュースを知り、読了後の寂しさは忘れ、次は「スカーレット」があるじゃないかと思い出す。

    シンプルにスカーレットの人生に荒波がありすぎて、平和な時期なんて本当に一瞬、5巻の初めの章のみだった気がする。
    南北戦争の最中が縦軸なのだけれど、それが荒波のメインというよりは、戦後のスカーレットの人生そのもの、関わる登場人物の人生の波乱の方が圧倒的に大きいような感覚。

    戦争がもたらすものは、戦時中の苦悩だけではなくて、戦争が終わってからの再生、復興、取り戻すことのできない現実、取り残された人たちのもがき、後遺症が遥かに大きい。

    変わってしまったレットと、どうしても素直になれない2人の波瀾万丈な生活に、読み手はもどかしく、似たもの同士が過ぎると逆に上手くいかないんだな、と考えさせられる。

    とにかく1巻目からどんどんメラニーという人物が大きくなって、最終的にはメラニーが主人公でも良くないかとまで思わされるほどに存在感が増してくる。


    スカーレット…本当に人を見る目が…ない!笑


    解説にもある通り、トルストイの「戦争と平和」も読もうと思う。

  • 読み終えてしまった…思っていたラストとは違って、しばらく呆然としてしまった…
     
    レットの情熱を押し隠したプロポーズから始まり、ついにレットとスカーレットが結ばれる!と思いきやスカーレットはレットの愛情を信じきれず、レットもひたすら情熱を隠し、結局最後まで二人の心が通じることがなかった。ああこんな終わり方だなんて…

    最後、スカーレットは持ち前の強さでレットを取り戻そうと決心していた。それにより「決してへこたれず振り返らず、目的に突き進むスカーレット」が読者の心に刻みつけられるけど、でもスカーレットのそういうところが変わらない限り、例えレットを取り戻すことができたとしても、二人で幸せになることはできないんじゃないか。

    スカーレットとレットはこのあとどんな人生を歩むことになるのか、読み終えた後もずっと考えてしまう。

  • とうとうラスト。
    5巻は初めてほぼ全編がスカーレット・オハラとレット・バトラーの話、そして二人の関係が終わりを迎える。

    「風と…」は南北戦争前後の南部を舞台にした男女の愛がベースになっていますが、それはある意味枠組みに過ぎなくて、南部のアメリカの女性に求められた「淑女」としての姿と、そういう「常識」に逆らって自分らしく生きようとする女性の話であり、しかも、その女性が清廉潔白とか、清楚でもなく、ある時は身勝手で、利己的であるにも関わらず、その泥臭さに親密感がある、、、
    レット・バトラーも生き残るために南部の男子の典型からは外れる事を選ぶ男ですが、スカーレットの生き生きとした感じに比べると、いささかステレオタイプ、物語のために作られたキャラクターのような気もしました。

    いずれにしても映画の「風と…」とは全く違うと思う。(僕は映画を観てませんが、小説の解説でもそう書かれているし、原作者であるマーガレット・ミッチェルも別物と言っている)
    読めばわかりますが、この話を映画にはできないと思います。
    映画の評価はおくとして、小説単体として、面白い!

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