- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102091067
作品紹介・あらすじ
アメリカ南部の大農園〈タラ〉に生まれたスカーレット・オハラは16歳。輝くような若さと美しさを満喫し、激しい気性だが言い寄る男には事欠かなかった。しかし、想いを寄せるアシュリがメラニーと結婚すると聞いて自棄になり、別の男と結婚したのも束の間、南北戦争が勃発。スカーレットの怒濤の人生が幕を開ける――。小説・映画で世界を席巻した永遠のベストセラーが新訳で蘇る!
感想・レビュー・書評
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最初に読んだのは中学生の時。当時はメラニーが好きだったけど、だんだんスカーレットに憧れるようになってきた。もっとやったれ!って思う。憧れるヒロイン像。
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アメリカの南北戦争の時代。南部のタラやアトランタが主な舞台。
世界史で南北戦争の経緯や結果を知っていながら、スカーレットを取り巻く人生の細かな描写を読み進めていく。
歴史で取り扱う南北戦争は2行にも満たないかもしれないけれど、この作品には、今の自分と何ら変わらないほどの濃い1日1日が豊かな表現で綴られている。
とにかくスカーレットの自己肯定感の強さには多少羨ましい気持ちもあるけれど笑、メラニーの芯からの優しさや柔らかさがもっと評価されてもいいのにと思わずにはいられなかった。
5巻まであり、長旅を始める前の覚悟と同じような腹括りがなかなか出来ず、やっと読み始めたものの意外に読みやすく、面白くて少しでも時間があったらこの本を捲る日々。
本の端々から、当時の常識や美徳や文化が汲み取れる所も興味深い。
「このすべては、小柄で、実際的で、粗野なジェラルド・オハラがつくりあげたものなのだ!」
「南部の大地主の家に働く黒奴たちは、貧乏白人(プアホワイト)に対して優越感を持っていたため、その露骨な侮辱がプアホワイトの自尊心を傷つけ嫉妬心をかきたてた」
「英国によるアイルランド人迫害によって土地を奪われ、小作人にされた彼らは土地に対して深い渇望を持っていた。初めてタラに足を踏み入れた瞬間から、自分がこの地方の社会に属する人間であることを少しも疑いはしなかった」
「男たちが満足し、誰からも逆らわれず虚栄心を傷つけることもない土地は、女たちにとってもまた住み心地の良い土地であった」 -
タイトルがあまりにも有名かつ、カッコいい、その上全5巻の長編なので「高尚な文学作品なんだろうな」などと思い読んでこなかった作品ですが、読んでみると、予想以上にとっつきやすい作品でした。
何よりヒロイン、スカーレット・オハラのキャラクターに、いい意味で予想を裏切られました。
言ってしまえば、貴族階級で男子からモテるスカーレットが、自信満々に自分が思いを寄せる男子に告白したら、思いっきりフラれる、というのが話の書き出しになります。
現代的な翻訳の妙味というのもあると思うけど、スカーレットの生意気さ、傲慢さ、勘違い、一方でのフラれてからの現実逃避であったり、周りの見る目を気にしたり、八つ当たり気味の捨て鉢な行動など、
国も時代も違えど、等身大の思春期の女の子の感情や行動がありありと、みずみずしく描かれていたと思います。
高尚な文学というよりも、少女小説、もっというなら少女マンガを読んでいる感覚の方が近かったかもしれません。
このスカーレットの周りに現れるなんとも意味深な男、バトラーの存在も気になるところ。スカーレットの身分の下に隠れた、激しい感情をいち早く気づき、からかってくるバトラーと、それに心惑わされるスカーレットの姿を読んでいて
「いや、これ、マンガやアニメでさんざん見たパターンのやつですやん!」と心中で思わずツッコミをいれました(笑)
この時代の文学から、この手のカップルのパターンの黄金律はあったんだなあとしみじみ感じます。
キャラクター的には少女マンガ的な気風を感じるのですが、スカーレット家の歴史をしっかり描いたり、南北戦争や奴隷制度が残るアメリカ南部の世相を作品に落とし込んだりと、背景がしっかりと描かれているのが、さすが名作の雰囲気を感じさせます。
スカーレットの人生の波乱と、歴史の転換の交差を予想させ、先の展開を楽しみにさせる一巻だったと思います。 -
若者らが入隊すると言って盛り上がっている中、戦争に行ったことのある耳の遠い老人が
「お前たちは誰ひとり戦争の何たるかをわかっとらん。美しい馬に乗り、娘どもに花束を投げてもらって、英雄として帰還するのが戦争だと思っとるんじゃろう。戦争ってのはな、飢えることだ。じめじめしたとこで眠って麻疹や肺炎にかかることだ。そうでなければ腹下しだ。腹がピーピーになる。赤痢やらなんやらな」
若者たちはバカにして笑い、周りの女の人は「おじいちゃん最近ぼけがひどくなっちゃって」と言って連れて行った。
戦争が始まって数ヶ月でそれは本当のことだと判明した。陽気な若者たちのほとんどが戦死または病死して帰ってこなかったが、帰ってきた者も皆、飢えと下痢だけは体験していた。
スカーレットが結婚して未亡人になって子供ができたことが2行くらいにおさめられてて笑った。
知らない老人とレットパトラーの言ったことだけが本当だった。 -
生まれて初めて読みました。
おもいっきり少女向け小説なことに驚きつつ、とても楽しく読めました。
わたしもやっぱり女子だったんだと嬉しくもあり、「赤毛のアン」時代を思い出して懐かしくもあり。
序盤で、とても覚えきれない数のファミリーネームやファーストネームが だーっと出てきて億劫になりかけましたが、巻の最後には覚わりました(ちょっとメモったが)
とにかくスカーレットが抜群に魅力的。
他作品ではいわゆる「悪役令嬢」にあたるのですが、今作では主人公なので本音と建前がキッチリハッキリ描かれていて、彼女の若さも手伝って「バカな子ほど可愛い」状態。
「女子から嫌われる女子」の典型なので、たぶん同年代(中高時代)に読んでいたら、反感をもったかもしれない。
でも、今ならぜんぜん許せます。
むしろ可愛い、愛おしい。
メラニーみたいな天使タイプも嫌いではないですが、スカーレットが彼女にイラつく気持ちのほうがわかります。
それにしても序盤はゆったりだったのに、途中から怒涛の展開でした。
自信満々でアシュリに逆プロポーズするも玉砕。
可愛さ余って憎さ百倍とはこのことか、彼に思いっきり平手打ちするのをみて、スカーレットを大好きになれると確信(笑)
その後、自棄になって好きでもない男と結婚したと思ったら即未亡人になるとか、初めてその一文を読んだとき思わず「えっ!?」と声が出ました。
もはやコメディを通り越してギャグ。
ここから完全にスカーレット嬢のやさぐれターンになるのですが、これも面白いんだわ(笑)
「こんちくしょう!」なんて叫ぶ女主人公(17歳未亡人)が、他にいるだろうか?
レット・バトラーとの絡みも巧いです。
彼がスカーレットを気に入ったきっかけもよくわかったし納得だし、彼のアプローチにはふつうににやにやもとい、ときめきました。
(そういえばスカーレットが「にやにや」とか「にんまり」とかやたら悪人のような笑い方をしていたのが気になりました。
私的には読みやすさ重視で、もっとがっつり意訳してくれていいんですけどね) -
とにかく面白い。映画でも有名なバザーのシーン、スカーレットのプライドの高さと勘違いがやはり可愛い。バトラーとメラニーのさり気ないやりとりに注目。
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中学生の頃、チャレンジして、あっさり挫折した名作が、新訳になっているというのを、今日書店で見つけて、飛びついてしまった。
だから書店散策はやめられない。
読みやすく、なっているようです。 -
読書会での課題本。
大学時代に一応読んだハズだが、ほとんど覚えていないので新たな気持ちで(新たな訳で)読む。翻訳本にありがちな、読み返しをほとんどしなくて良いので楽に読み進められるし、第一自分が住んでいたアトランタの事だから、書かれている自然描写や匂いまでが具体的に感じられる。
若い頃に、多くの本を読破したという方々がいるが(特に天才系の方々)、人生経験を積んで初めて深いレベルで理解出来る事って結構あると思っている。そういう意味では、丁度良いタイミングでの再読の機会となったと思っている。
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一度、高校生の時に綺麗な装丁に惹かれて読んだ記憶。
当時は主人公のスカーレットがどうしても苦手で、その行動一つ一つが理解できなかった。でも3年後に再読してみたらスカーレットってなんで魅力のある女性なんだろうって思うようになりました。自分の中のなにが変わったのかはわからないけど、スカーレットの持つ自由奔放さへの憧憬が大きいのかなあ。
まだまだスカーレットの人生は始まったばかり。
その人生の行く末をしっかり見届けたい。