- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102091067
感想・レビュー・書評
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『嵐が丘』の名訳を送り出し、話題になった鴻巣友季子さんの手になる『風と共に去りぬ』。林真理子さんの『私はスカーレット』と読み比べたくてKindleで読了。
まず、地の文が美しいこと、読みやすく情景が頭に描きやすいことが第一の印象として立ち上がってきた。きちんとした翻訳の骨格を持っているので、軽くなりすぎていないが、わかりやすい。登場人物の口吻も、昨今の演劇やミュージカルのセリフなどもきっとご存知のうえで、とても「らしい」話させ方をなさっている。タールトン家の兄弟とか、召使いたちなどまで、それはもう、いきいきと。
林訳だと、人物、特にスカーレットの心情にぐっとフォーカスを寄せて、ライトノベルともまた違うが、疾走感のある感じ。こちらの鴻巣訳だと、映画や舞台のように、全体の広がりや奥行きを感じさせるが、話し言葉が今風のリズム。林訳では砕けすぎるという方には、やはりこちらが良いだろう。
時代背景や南北戦争の注釈、スラング的な言葉の使い方なども、親切でわかりやすい扱われ方で、風と共に去りぬの読みどころの一つである、服装・習俗・食事や文化なども、知らなくてもついていけるように、手を止めないでも想像できるようにしてあるのが、なんとも心憎い。長らく読まれてきた大久保訳のいいところも、たくさん受け継いでいる。
でも―。
どうして手厳しいレビューを見かけるのかな?面白いのに…。と考えていたのだが、スエレンを「スーちゃん」とは、スカーレットは呼ばないのではないか。だってあの二人、仲悪いのに…。ちゃんづけなんて、彼女の性格なら誰にもしないだろう。スエレンのフルネームやメラニーの愛称など、紹介してあるのはすごくいいけれど、スエレンはスエレンでいいし、メラニーはメラニーで良いと思うのだ。
その方が聞き慣れている人名の部分などは、混乱しないようそのままでも良い気がする。面白さに没入して読んでいると、はっとそこで空気が変わるので、読んでいるリズムや空気感が、現実に戻ってしまう。たぶんそこが惜しくて、厳しいことをおっしゃる方がいるのだろう。ただこれは、作品鑑賞としては些末なことで、この小説を楽しむには、そんなに大事な問題ではない。
華やかで、ある意味豪快で、優雅だけれど土の匂いのする、波乱万丈のロマンを、息切れしたり飽きたりしないで一気に読み切る事のほうが絶対大事。第一巻の豪奢で古き良き南部の、まだ夢の中のような様が、次でどう変わるのか。レットが、スカーレットが…南部の人々がどう生きるのか。戦乱のタラはどう描かれるのか…。きっとソッチのほうが大事。
そして、もしお気が向かれたら、大久保訳もぜひ、お手にとって頂きたい。そして、ご自分の、ベストな『風と共に去りぬ』を見つけて頂きたい。さぁ、続きも読むんだもん!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
名著放送からだいぶ経ちましたが…おかげさまで早速面白いです。
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全体の感想は5巻のリンクにて。
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初めて読んだのは、まだ、10代の頃。今回は、鴻巣さんの新訳も味わってみたいと思って手に取りました。
スカーレットが母親やマミーから伝授された、若い女性が、まわりとそつなくやりながら、うまく旦那さんを捕まえるためのノウ・ハウが書かれているとこで、苦笑い。
物語はまだ序盤。
これから、昔は気づかなかったどんな発見があるのか楽しみ。 -
文学
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展開の緩急に翻弄されてしまった。
どんな人物像が描かれていくのか、今後が楽しみ。 -
とてもわかりやすい翻訳だけどスカーレットのお嬢様の部分が消えすぎているような・・・
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訳が斬新、現代的なので、何とか読み終えた感。第1巻は登場人物紹介中心という面が多い気がしました。これからどんなお話になるのか、どんどん展開して行って欲しい。
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アメリカの南北戦争について調べる機会があり、この作品は南北戦争の最中を生きた女性に焦点を当てて描かれたということを知った。ひとまず1巻を購入。
はじめのうちは、進みが遅い!って思って辛気くさかったけど、だんだん面白くなっていった。スカーレットがアシュリと結婚できると信じてるのがおめでたすぎて、笑える。天真爛漫で、自分に正直で、わがままに突っ走ってるスカーレットがなぜか憎めない。
南部連合軍からみた戦争の様子や暮らしぶりもよくわかるように描かれており、勉強になる。アトランタにとどまれるようになって、スカーレットはどうなるのか、2巻もさっそく注文したし読むぞ!