大地(二) (新潮文庫)

  • 新潮社
3.88
  • (60)
  • (58)
  • (64)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 637
感想 : 42
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102099025

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 王龍の三男、王三改め王虎の物語。百姓という定めを拒絶し軍人として生きる決意をし邁進する王虎。一巻の王龍の立身出世物語も素晴らしかったが、二巻の王虎の行動力と計略を織り交ぜながら天下に名を馳せていく描写がなんとも見事だ。加えて一族と実質的決別をしながらも甥に血脈を求める血への枯渇、匪賊の女や梨花との恋物語の切なさが物語に重層感をもたらしている。三巻が楽しみ。

  • 「大地」第2巻、息子たち編。
    王龍の息子たちの生き様を描いた一冊で、土地への執着の
    薄い息子たちが時代に翻弄される話。
    次巻へ続く。

  • 王虎

  • 一巻と同様に二巻も物語の展開が気になり、するすると読めました。
    息子たちは好き勝手にやってるなぁ という感じで。
    この先、梨花(りほわ)と王虎(わんふー)がどうなるか気になりますね。

  • 前回は農家のおっさんの成り上がりストーリーだったのに、今回はいきなり風雲急を告げると言わんばかりの三國志。どうなっているのか。
    ありがちな中国の動乱期の展開なので、まぁいつものかーってならんでもないけど、まぁ面白いけどね。男子ですから。
    しかしこの先の展開はどうなんだ。このまま天下統一ってこともないよなぁ。
    と言うわけで、まぁ気になる。

  • 「大地(二)」パール・バック著・新居格訳、新潮文庫、1954.03.08
    352p ¥440 C0197 (2018.10.26読了)(2018.10.18借入)(1991.02.15/69刷)
    以下読書メモです。

    第2巻を読み始めました。
    この巻から、第二部「息子たち」になっていますが、王龍の臨終の場面から始まっていますので、第1部から切れ目なく続いています。王龍の最期をみとったのは、梨花です。
    盛大な葬儀が行われました。三男も葬儀に駆けつけました。
    葬儀の後は、財産分けが行われました。長男が4分の2、次男と三男が、4分の1ずつです。
    10節まで読み終わりました。
    三男の王虎を中心に話が進んでゆきます。中国南部で、某将軍の下で軍人をやっています。次男の王二の下に手紙が届きました。長男の王大と次男の王二の17歳以上の男子を王虎に預けてくれ、というものでした。預けてくれたら、軍隊で偉くしてあげる、というのです。王大は、次男を王二は、長男を預けることにし、王二が連れて行きました。王虎は、毎月現金を送ってくれるようにとも依頼します。
    王虎は、現在仕えている将軍に見切りをつけて、独立しようとしています。お金はそのためのものです。兄たちの息子を預かったのも信頼を置ける部下が欲しかったためです。
    独立の時期を狙っていた王虎は、百人ほどを仲間に引き入れて独立し、北を目指しました。故郷に近いところまで行って、部下たちに休養を取らせ、自分も兄たちの家で一週間ほど過ごしました。再び自分の隊に戻るときに、長兄の次男に自殺されてしまいました。
    王虎は、移動しながら自分たちの軍隊の居場所を物色してきましたが、豹将軍の率いる匪賊の支配している県に狙いを定めました。
    県知事を訪ね、豹将軍を征伐するための計画に協力してもらう約束を取り付けました。豹将軍を県知事邸に招き歓待し、油断しているところを襲い殺害しました。間をおかず、豹将軍たちの根拠地も攻めて、匪賊の仲間たちも一掃しました。但し、王虎たちに寝返るものは、赦しました。
    14節まで終りました。
    王龍の長男・王大は、すっかり地主生活の贅沢になれて、怠惰な生活を送っています。それでも、小作人たちにごまかされないように、季節ごとの土地の見回りだけはやっていました。そのうち、それも面倒になってきて、土地の管理は弟の王二に任せ、土地の半分は売却して贅沢費に回そうとしています。王二は、贅沢はせず、商売を営むと同時に、金貸しや投資、等、多くのお金を運用して、金もうけに余念がありません。兄の土地も肥沃な分は自分で購入しています。
    王虎は、県知事に掛け合って、自分たちを官兵にしてもらいました。自分たちの軍を維持するための税金を設けてもらい、暮らすことにしました。多くの精鋭を募り、八千人ほどになりました。兵に訓練を施しながら、空いた時間で、裁判などを見物したりしていましたが、判事たちの不正を見かねて、多くの官吏たちを追い出してしまいました。王虎たちを征伐に来た省兵とは、和解することができました。
    王虎は、自分の子供が欲しくなり、豹将軍の妻に恋して妻にし、信頼していたのですが裏切りが発覚して、殺してしまいます。しばらくは、寂しい夜を過ごしていたのですが、子どもを産んでくれる女の必要性に気付き、兄たちに嫁を世話してもらいます。王大と王二の意見が合わず、それぞれの見つけてくれた女性二人を妻に迎えました。王虎はまじめな男なので、二人の妻を公平に扱いました。妻たちも反目することなく暮らしています。

    【目次】
    第二部 息子たち
    一~二十一

    王虎、あばた、兎唇、鷹、豚殺し、豹将軍、黄巾党、梨花、白痴、せむし、

    ●埋葬(21頁)
    死んだ王龍の肉体に宿っている七つの魄は、次第に離れていった。七日目ごとに、和尚は息子たちの所へ行って言った。
    「また一つ魄が離れました」
    こうして、日は過ぎていった。七々四十九日たち、埋葬の日は近づいてきた。
    (人間の魂は、七つあって、七日目ごとに一つずつ離れてゆくので、七十九日経って、すべての魂が離れたところで、埋葬する、ということなのですね。いまの日本では七十九日を待たずに埋葬することが多くなりましたけど。)

    ☆関連図書(既読)
    「大地(一)」パール・バック著・新居格訳、新潮文庫、1953.12.28
    「坂の上の雲(一)」司馬遼太郎著、文春文庫、1978.01.25
    「日清戦争-東アジア近代史の転換点-」藤村道生著、岩波新書、1973.12.20
    「日清・日露戦争」原田敬一著、岩波新書、2007.02.20
    「李鴻章」岡本隆司著、岩波新書、2011.11.18
    「孫文」深町英夫著、岩波新書、2016.07.20
    「宋姉妹」伊藤純・伊藤真著、角川文庫、1998.11.25
    「中国の歴史(12) 清朝二百余年」陳舜臣著、平凡社、1982.12.15
    「中国の歴史(13) 斜陽と黎明」陳舜臣著、平凡社、1983.03.07
    「中国の歴史(14) 中華の躍進」陳舜臣著、平凡社、
    「世界の歴史(9) 最後の東洋的社会」田村実造著、中公文庫、1975.03.10
    (2018年10月31日・記)
    (表紙カバーより)
    大富豪になりながらも、終生その肉体と精神が大地を離れることのなかった王龍と対照的に、三人の子供たちはもはや農民にはならなかった。王大は文字を学んで地主に、王二は商人に、王三は王虎将軍と呼ばれるほどの軍人となった。そして、王龍の死の床で息子たちは父の土地を売る相談をはじめるのだった。父が辛酸を重ねて手に入れた土地は一代限りで再びバラバラになってしまう。
    内容紹介(amazon)
    十九世紀から二十世紀にかけて、古い中国が新しい国家へ生れ変ろうとする激動の時代に、大地に生きた王家三代にわたる人々の年代記。

  • レビューは最終巻で

  • 1巻の主人公亡きあとの息子たち(地主、商人、軍人)の話が展開する。それぞれ考え方が異なり、三者三様で面白い。父の遺言に反し、少しずつ土地を売却してしまっているが、どのような展開となるのか・・。

  • 長男と二男の名前が、1巻で先生にもらった「農」のつくものではなく「王大」「王二」になっているのだが、それについてなんの注意書きも断り書きもない。
    作者が彼らの名前を忘れてしまったのではないか知らん・・・それとも三男王虎のように、呼び名を使って書いているのかなぁ。
    英語で読む読者にはどうでもいいだろうが、日本人は漢字が読めるので、そのあたりはちょっと訳者が説明をしてくれてもよかったのでは。
    さて、2巻は怒涛のごとく読み終わった。
    3人のそれぞれのどこに父王龍の姿が垣間見えるか探しながら読んでいたけど、王大には父の悪いとこ全部がいっちゃったかのよう。王二には父親の意外な計算高さや、みてくれを気にしない部分、家族を大切にするところなんかがいってる。三男はなんといっても、優しさと誠実さ、正義感、まっすぐな気質が受け継がれたのね。
    彼らがこれからどうなって世を渡ってゆくのか、楽しみ。
    でも、さすがに戦争の話ばかりになると読む気が起きなくなるんだよねぇ、どうなるだろう。

  • 2巻は1巻の主人公・王龍の三男・王虎の話。軍人になった王虎の潔癖かつ荒々しい性格と、躍進劇が楽しめます。
    こうやって書きだすと、この一族の名前がカッコ良すぎる……

    相変わらず読みやすいし、冒険譚としてもワクワクできます。かなり古い本なのに、この魅力はすごいなぁと。
    3巻も楽しみです!

著者プロフィール

(Pearl Sydenstricker Buck)
1892-1973。アメリカの作家。ウェスト・ヴァージニアに生まれる。生後まもなく宣教師の両親に連れられて中国に渡り、アメリカの大学で教育を受けるため一時帰国したほかは長く中国に滞在し、その体験を通して、女性あるいは母親としての目から人々と生活に深い理解をもって多くの作品を発表した。1932年に『大地』でピュリッツァー賞を、38年にはノーベル文学賞を受賞。また1941年に東西協会設立、48年にウェルカム・ハウスの開設と運営に尽力するなど、人類はみな同胞と願う博愛にみちた平和運動家としても活躍した。

「2013年 『母よ嘆くなかれ 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

パール・バックの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×