- Amazon.co.jp ・本 (623ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102105023
感想・レビュー・書評
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「ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。舌の先が口蓋を三歩下がって、三歩めにそっと歯を叩く。ロ。リー。タ。」
書き出しからバキバキに飛ばしていて最高
人にお薦めする際、「主人公ハンバート・ハンバートは幼女見境なくすきなわけではなく、幼いながらにどこか妖し気な雰囲気を持つニンフェット、妖艶な精霊ですね、を愛してやまない純な愛情の持ち主であり、このハンバート・ハンバートは…」って一息で言いがち、興奮しがち、絶対にハンバートって言わない、一度読んだらもはや沼入り
そして馬鹿みたいに(褒めている)分厚い注釈が私の心を掴んで離さない、至高のロ。リー。タ。
文学として大好きだけどペドは滅びろってちゃんと思っているよ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
『テヘランでロリータを読む』と『わたしが先生の「ロリータ」だったころ』を読みたいと思ったのですが、そもそも『ロリータ』を読んだことないじゃん、ということで読んでみました。
前半は主人公ハンバートが語る幼女の魅力とか、ロリータに警戒されることなく、いかに彼女に近づくかといった話が延々と続き、ただもう気持ち悪い。
彼のいうところの「ニンフェット」とは、9歳から14歳で、2倍以上の年上の相手に対してのみ、悪魔的な魅力を発揮する少女のこと。
出会ったとき、ロリータは12歳、ハンバートは37歳。この年齢差で恋愛が成り立つとはやはりありえず、ロリータが早熟な少女だとしても二人の関係は児童虐待に思えます。
『テヘランでロリータを読む』では、イスラム世界では幼い少女が年上の男性に嫁がされる現状が指摘されていて、ハッとしました。
『ロリータ』自体はハンバートの視点で書かれているので、奔放な少女に振り回されている哀れな中年男性の話に見えますが、『テヘランで〜』の視点から読むと、子供時代を奪われたロリータの悲鳴のようなものも感じられます。
プルースト、ポー、ジェイムズ・ジョイスからの引用や言葉遊びを多用した文章は非常に読みにくく(そもそも元ネタを知らないのでひねってあってもおもしろくもなんともない)、訳者の若島さんはナボコフの研究者でもあるようですが、詳細な訳注の「ハンバートはなぜそうしたのか、考えてみること」といった上から目線にちょっと引きます。
後半、ハンバートが苦しみだしてからやっと話がおもしろくなってくるんですが、冒頭から伏線がめちゃくちゃ引かれているので、残り3分の1くらいになってから前半をちょこちょこ読み直しました。スラップスティックな終盤は戸惑うところですが、ここでのハンバートの後悔が一番の読みどころ。
読了してみると全体的には読み応えのある作品だったと思うのですが、「ロリータ」という言葉自体が作品から離れて一人歩きしており、日本における「ロリコン」とか「ロリータ・ファッション」などはまた別に考えてみたいところです。
以下、引用。
秋が空気の中に鳴り響いていた。
「ほら、死ぬのがすごく怖いのは、完全に一人っきりになってしまうからよ」
「人は小説を読むことはできない。ただ再読することができるだけだ」という、『ヨーロッパ文学講義』でのナボコフ自身の名言どおりに、『ロリータ』も読み直したときに初めて気がつくような仕掛けにあふれている。
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前半は「俺のロ、リー、タ。ハァハァ…」みたいな記述で、後半は現実とも妄想ともつかぬ旅と、狂気と、絶望。
ハンバートの独白は利己的でうぬぼれていて、呆れるほどのニンフへの愛で占められている。
それだけに、ハンバートの欲望が読んでいる自分自身の醜い欲望や感情ともひどく肉薄してくるように感じるし、抱えている秘密をも抉り出してくるよう。 -
「痴人の愛」と前後して読んだ。痴人の愛に軍配。
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ほとんど紙面に空間がないほど,みっちりと詰まった言葉の海,蛇行する思考に目が眩む.全く意味の通じない文があったり,固有名詞の渦に翻弄されたり.楽な読書ではない.
しかし,ロリータから手紙がくるあたりから,白熱の展開になる.最後は奇妙な解放感に包まれる. -
とても言葉で感想書けぬ。脳も心臓もぐったり疲れた。またこの疲労を味わいたいと思うくらいの。
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2018.12.04 社内読書部で紹介を受ける。
http://naokis.doorblog.jp/archives/reading_club_14.html
2018.12.15 読書開始
2018.12.25 朝活読書サロンで紹介する
http://naokis.doorblog.jp/archives/reading_salon_123.html
2019.01.17 読了 -
カメラ・オブスクーラに続いてナボコフ2作目。
カメラ~はロリータの原型といわれており、共通する部分もあるが、完全に別物だと思う。
『ロリータ』では、すばらしくふざけたネーミングの主人公・ハンバートハンバートが、自分を性的異常嗜好者だととても明晰に理解していることを前提に、ロリータにのめりこんでみせるという、ユニークな設定なので、割と安心して筋書を追える。
ロリータがハンバートから逃亡し、数年後に再会しなおも執着するというこれ以上にないくらい惨めなラストも、どこかコミカルというか、他人事みたいに冷たいタッチなのが、ナボコフの良さなのかなと思う。
どうやら、ナボコフさんはとても私の好みである。 -
読み終わって一番の感想は「そりゃぁ気付くよね」でした。物語のほとんどを占める好意のあれこれが、これだけ内心想われてるのだからさ。
結末は良かったんじゃないかな、これで良かったんだと思える。
いろいろと噂ばかり聞いていて、読んでいなかった小説でしたが、普通に恋愛に悩んだ主人公の話として、面白かったです。
ニンフェットへの情熱の描写が凄いなと素直にそう思いました。 -
2015/01/18読了
積読してあったものを何のきっかけだったか、読んだ。
物語はとても良く出来てる。よくまとまってる。
所々分かりかねる表現はあったけど。
引用、援用されてる文学バックグラウンドは異常。
早めにもう一度読みたいが…