キス (新潮文庫 ハ 49-1)

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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102146217

感想・レビュー・書評

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  • 好きな文章を書く方のレビューを見ていたらたまたま一緒に見ていた姉もこの本を読んだことがあると言っていたので何となく覚えておりました。でも買うのはなあ…と思っていたので図書館で借りてみました。

    なんと言うのか。作家というのはここまで、こんなことまで書かなくては生きていけないのか、と言う作家の業のようなものを強く感じました。解説にありましたが自分を解剖するような作品だと思いました。

    失ってしまった20年間の記憶や感情は何をどうしても取り戻すことはできない。それをわかっていながら目の前に差し出された愛と言う名前のついた誘惑にあらがうことが出来ない。作中の人物全てが不器用で世の中に傷つきながら生きていて唾棄すべき父親すらもなぜか可哀そうな人だなあと思わせてしまう。母と娘、と言う同性であるが故の反目も。

    とても静かな、さみしい本でした。

  • ナラタージュに登場した本なので挑戦。
    なじみのない文体でも、眠くならずに読めた。

  • 父、娘、そして母の物語

    両親の離婚により生き別れになっていた父親と再会した著者。
    長年の別離により、あるいは母を渇望する者同士として、彼らは恋人のように一目惚れをした。
    この関係がおかしい事は理解している。しかし、相手を求めずにはいられない。

    ただ、そこには激情はあれど、幸せな匂いはあまり感じられない。
    罪の意識もあるのだろうが、それは本当に恋だったのだろうか。
    途中から傷を舐めあっているようにしか見えなくなってきた。
    積極的には関わる事はない母の存在。
    終盤へ向かい、これは親子の歪な物語だったのだと分かった。

    好きで、好きで。でも、本当に欲しいのは何?

  • 近親相姦とゆうところにまず着目してしまいますが性描写もほとんどなく、センセーショナルな内容とゆうよりはとても深く重く痛い作品
    母や祖父母との関係も複雑に絡み合っていて著者の痛みが痛烈に伝わってきます
    父との関係はもちろんですが、それ以上に母と娘の関係がとても悲しく痛いです
    彼女を形成しているのは母の存在で、だからこそ母を乗り越えなければいけなかったんだろうな
    解説のところに、"彼女は小説家としてこの体験を書いてしまわなければ、先に進むことができなかった"と書いてある
    なんだかとても納得した

  • 20091013読了。

  • 2009年5月25日(月)、読了。

  • 『私は変身する。浪費する時間は無限にあると思っていた人間から、自分の運命があと何年あろうと、けっして十分ではないと知っている人間へと。』

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