- Amazon.co.jp ・本 (489ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102273029
作品紹介・あらすじ
結婚したガープは3編の小説を発表し幸福な毎日を送るが、妻ヘレンの浮気に端を発した自動車事故で1人の子供を喪い、ガープ夫妻も重傷を負う。女性に対する暴力をテーマに、傷ついた心と体を癒しつつ書いた小説は全米にセンセーションを巻き起こした。一躍ベストセラー作家となったガープは悲劇的結末への道を歩み出していた-。現代をコミカルに描く、アーヴィングの代表作。
感想・レビュー・書評
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とにかく面白かった。気に入った場面はいくつもあるが、同じぐらいの迫力で残酷な描写がリアリティをもって描かれており、怖くて飛ばし読みした箇所もある。最小限の言葉でも、むかつく場面はむかつくし、涙する場面は涙する。さすがの圧巻の文章力で、最後まで圧倒されて読んだ。
編集者のウルフが、売れる本を見極める方法として、全く本を読まないジルシーに下読みをさせるというあたり、最初はびっくりしたが、そりゃそうだと納得。そして、ジルシーが本の続きを読む理由も納得した。そのジルシーが、母ジェニーの死の場面で吐き捨てるように言ったセリフも酷く印象に残っている。
ジルシーの他にも登場人物の女性たちの個性も際立っており、リアリティがあるのだが、時々、描写が容赦なければリアルって訳でもないよね?と思ったりもした。だが、銃社会のアメリカと、日本とで現実の危険度や厳しさが同じはずがない。アメリカは本当の意味で、自分のみを守るのは自分だけという考えが確率されているんだと、度重なる銃の描写、女性が発砲する描写で考えさせられた。
ガープが殺されるあたりでも、女性の発砲が描かれているのだが、そこは思わず二度見三度見して読んでしまったあたりでもある。そこを、次は映画で見てみたいが、文章だから表現出来ているところを、どんな演出になっているか心配でもある。
個性の際立つキャラの中でも気になったのは口が聞けないエレン=ジェイムズと、ガープの会話で、エレンが子供の頃に好きだった作家に、ジェイン=オースティンをあげており、またオースティンを読みたくなった。あそこは、良いシーンだ。
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爆笑問題の太田さんのオススメ小説のうちの一つ。
ラジオではこれをオカリナに勧めたと言っていたが、ちょっと中学生の娘には今は勧められない。
あまりにも性(作品の言葉では「欲望」)が多過ぎるし、悲劇も多い。先が気になって読み進めてしまうものの、これを名作と言うのだろうか?余りにも生々しかった。
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上巻に記載。
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こんなにふざけた設定があっていいのか、滑稽さと哀しみや感動が共存していいんだと教えてくれた一冊。
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2018.1118
清掃員とジョンウルフの会話なところがよかった
「紙くずカゴがからになった時に、からになったとわかる人間だったら、ほんとぉーのこたを書いている本を見たときに、ほんとぉーのことだとわかるはずだよ。」
「ほんとぉーのとこが書いてあるときってのはよ、そうだ!人間ってやつはいつもこういうふうに動いてるって、そういうふうにいえるときさ。そう思えたら、それはほんとぉーのことだ」
人生のうねりの発端がとてもささいであること、ひきがえるは常に日常に潜んでいること、ゆっくりゆっくり近づいていること、人生の不思議を感じる物語 忠実に人生を書いているため、エンターテイメントというより観察日記のような印象をうけた -
下巻は、交通事故、強姦、殺人等の目をそむけたくなるような描写が多い。しかし不思議に明るい印象を受けるのは作者ならではかと思った。最後の登場人物のその後を語るエピローグも良い。
人はすべて死から逃れられない、エネルギーいわば熱量をもって今を生きるべきだ、そう感じた。 -
Sリクエスト
途中挫折 -
2000-00-00
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後半戦もまったくテンションが落ちることなく、最期まで徹底的に面白かった。改めて、海外文学を何となく避けてきたことを後悔。というか、たまに読んだとして、ミステリ系ばかりを読むってのも悪かったんですね、きっと。同時並行で「ブラウン神父」も読んでるけど、正直そっちはあまりピンときてないし。それはさておき、極上の一代記でした。ガープさん、そんなに生き急がず、もっと色々楽しませて~!って思っちゃいました。終わるのが残念でならんかった。登場人物各人の後日談とか、人によっちゃ要らないと思われるのかもしれないけど、個人的には大歓迎の最後も素敵でした。面白かった、他の作品も読みたいす。