ホテル・ニューハンプシャー〈下〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102273043

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  • 一昨日読了。

    「ソローはただただ漂い続ける」を証明するかのように、悲劇的運命に翻弄され続ける風変わりな人物揃いのベリー家を描いた家族小説?。

    近親相姦や自殺等というショッキングなエピソードが連続する一方で、驚くほど純粋に、家族のきずなや愛情にも真っ直ぐ光を当て描いてもいる。

    ユダヤ系オーストリア人「もう一人のほうのフロイト」の相棒のクマ「スージー」。
    心身を深く傷つけられその苦しみから逃れられずにいた長女フラニー、ベリー家のソロー(悲しみ)を傍観者の立場で見つめているようでその実、運命に抗えずに誰よりもそのソローに飲み込まれていた(そしてその事実に対し無自覚を装っていた)次男ジョン、二人の魂を救い導くのが、この一匹のクマ(?)であるという寓話性!。
    エピソードのユニークさが際立つあまり寓話的印象が強いが、実は、現代をデフォルメせずに余計なメタファーも一切排し描いていて、そのギャップが非常に面白い。

  • 物語の前半に夢中になり、中だるみを経て、ラストでまた夢中になる。J・アーヴィングらしい作品。後半、家族の数年後を描いているところ、私的にとても評価高い。わかってるなアーヴィング。

  • 第三期に入って、やっと読むペースを取り戻せた。2014.2.27

  • 下巻ではウィーンにて第二次ホテルニューハンプシャーでの不思議な生活と、アメリカに戻ってきてからの第三次ホテルニューハンプシャーへと移行し、ラストへ。
    登場人物全員のクセが凄い小説だった。語り手である僕の思考がとっても変態なのに堂々と語ってるのが面白かった。

  • ホテル・ニューハンプシャーの下巻。
    上巻の内容の散逸さに、投げ出してしまいたい人もいたのではないか。でも、そこはジョン・アーヴィング。全てが絡まり、全てが物語としてゆったり落ち着く。
    この結末は見事としか言いようがない。
    第二次、そして第三次ホテル・ニューハンプシャー。

  • 楽しい物語とはこういう作品をいうのではないだろうか。ユーモア、せつなさ、悲劇、喜劇等のあらゆるものを含み、そして、なにより登場人物一人一人が生きている。

  • つまらない。
    途中で何度も挫折しかけた。
    ホテルを経営して再建して…の家族の話。
    最後まで読み切るのが大変だった。

  • ユーモアの感覚が面白い。アメリカのホームドラマを見て居るよう。笑いと感動。笑いがあるからこそ感じられる人間の可笑しみ、尊さ、愛しさ…。著者の人間に対する愛が感じられる。大団円へのアプローチが見事。

  • よくある暖かいホームドラマと思いきや、登場人物は皆変人。夢に取り憑かれた父さんに盲目のフロイト。ホモのフランク、小人症のリリー、難聴のエッグ、勝ち気でレイプに悩むフラニー、熊のスージー。僕、ジョンはそんな変人の中では中立であり、それ故にこの小説の語り手になっているが、実の姉を愛している。
    アメリカ、オーストリアそれぞれのホテルを舞台に織りなす物語は悲しみが常に漂っている。しかしその悲しみは三月に降る静かな雨のように心をかき乱すことはなく、むしろ優しく寄り添っている。
    そんな悲しみに向けて祖父であるアイオワボブやスージー、リリーときにはフランクの言葉がどう対処すればいいのか教えてくれる。
    それぞれの人生論、人生観を描いた傑作だった。特に私はアイオワボブ定められた運命には逆らえない、だけどなるようになるさという人生論に助けられた。

    「ソローは漂う」
    「開いた窓の外を見ずに通り過ぎなさい。」
    「一生ネジで固定されているんだよ」

    名言が多いのも印象的

  • 全体的にどこかおとぎ話のようにふわふわしていながら、家族間のやり取りなどは非常に繊細でリアルに感じられました。ときに面食らうような場面も多いけれど、物語の持つ大きな力を感じた作品です。ずっと読みたいと思っていたけれど、やはり読んでよかった!

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