- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103007517
感想・レビュー・書評
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事故でなくなった元彼の友達と付き合う女の子のお話。三人の関係が清らかで素敵でした。プラネタリウムで告白するなんてロマンチックだね!川嶋君は偉い!
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奈緒子は半年前から玄関で眠るようになった。人が出て行く場所、そして人が入ってくる場所・玄関で奈緒子は、磨りガラスの模様を眺めながら眠りに就く。そして呟くのだ「おやすみ加地君」と。
本書で描かれるのは一人の優しい男の思い出と、その思い出に様々な意味で苦悩する一組のカップルの成長である。
恋人の加地を事故で失った奈緒子は、加地の親友・巧と付き合いはじめる。恋人を失くした後にその友人と付き合うという事実に、奈緒子は加地の事をどうしても意識してしまう。しかし一方、巧も加地の優しさや強さが大好きだったため、奈緒子と付き合う事にある種の後ろめたさのようなものを感じている。
つまりみんな加地の事が好きだったのだ。
巧は加地と奈緒子が寄り添っているのを見ているのが好きだった。なのにその加地が死んでしまった。自分が奈緒子の事をしっかり見てあげなければ、という義務感もある分、逆に加地を思い出して戸惑ってしまう。だからある事を奈緒子に言い出せないままでいる。
三人の真ん中にいた加地がいなくなってしまった事で、それぞれの関係は軸を失ったコマのように不安定になってしまった。
そんな「永遠の三角関係」を通して奈緒子と巧は過去を、自分を少しずつ見つめなおしていく。
なぜ奈緒子は玄関でしか眠れなくなったのか。巧が言い出せないままでいる事とは何か。
人間って本当に悲しくて愛しいものだと思う。みんな優しすぎるが為に自分を傷つけている。
高校時代の加地と巧のエピソードが現在のストーリーとつながっている。それは流れ星を見に行きたくなるような、宝物のようなエピソードである。
人はみんな悲しい思い出を抱えて生きている。それがどうしても忘れられない思い出だった場合、一生その記憶から逃れることはできないだろう。でも過去を乗り越えることができなくても、抱きしめたまま生きていくことはできる。
『なあ、加地。僕は夜空に向かって話しかけた。おまえという人間はこの世にいないけれど、それでもおまえは僕と奈緒子の中で…いや僕たちのあいだで生きているんだよ(中略)とにかく、奈緒子はもう僕のものなんだ。そしておまえが奈緒子という人間の一部となってしまっているのなら、僕はおまえごと奈緒子を大切にするよ』
『たとえそれが、同じ場所をぐるぐるまわるだけの行為でしかないとしても、先を怖がって立ち止まっているよりは百倍も……いや一万倍もましだ。/だから、わたしは進もうと思う。/恐れながら、泣きながら、進もうと思う。』
<本書より>
少しずつでも歩いていけばいい。きっと星が見守っていてくれる。
奈緒子の家に突然転がり込んでくる奈緒子の父親の話も面白い。しかし最後までお母さんはなんだかかわいそうな気がした。
大切な人の死というあまりにも辛い現実と向かい合って生きる若者たちのラブストーリー。
もし今度流れ星を見かけたら…流れ星が消えないうちに、願い事をたくさんかけよう。 -
いつ読んだかなぁこれ(笑)計算したら、どうやら中学生の頃のようです(笑)当時私は、とっても大切に思っていた人が、突然いなくなってしまうという事態(亡くなったのではありません)に直面して、相当なダメージを負ってました。もういつまでもいつまでも泣いてた記憶があります。ある日本屋に寄って、なんとなく手にとり、内容が「あ、今共感できそう」って思ったのと、題名と、表紙を開けてすぐ目に入る扉(でいいんでしょうか…)が気に入って買いました。
内容は、奈緒子と巧という一組のカップルがいて、巧にとっては親友、奈緒子にとっては恋人だった、加地君を忘れられないという二人がメインです。内容、結構忘れてしまいましたが、奈緒子は、加地君が死んでから、玄関でしか寝られなくなるんです。そんな彼女が毎晩見る風景、巡らせる思い、感じてる温度が、伝わってくるみたいで好きです。全体的には、印象に残るような話ではなかったんですけど、橋本紡さんの文章の書き方が好きになりました(笑) -
読んだのは去年だけど思い出したので登録。
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最初のうちは「流星の絆」っぽい話かと思いましたが。
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発売当初に読んだ本。約5年ぶりに読んだけど、切なくてだけど暖かい気持ちになる。
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また何年ヶ後に読み直したい。良い話でした。
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大切な恋人を事故で失った女の人
大切な友人を事故で失った男の人
絶対的な「加地君」という存在を前に
それでも前に進んでいこうとする、けどぎこちなかったりする。
それにしても
玄関で寝たり、押し入れで寝たり
作者本人は一体どこで寝てるんだろう。 -
加地君がすてきだけど巧君もすごくいい人だと思います。そしてやっぱり奈緒子もすてき。
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加地君が死んでしまい、友達だった巧君と付き合い始めた奈緒子。
対照的な2人をそれぞれ好きだけれど
まだ加地君との思い出が濃い部屋では眠れない。
ある日転勤で別々に暮らしていたお父さんが家出してきた。
家族の不和の問題と、昔の恋人の死の問題に
なかなかうまく向き合えずにいる。
写真:Pete Turner/Getty Images
装丁:新潮社装丁室
島本理生を彷彿とさせる状況設定です。
恋人との死別に区切りをつけようとする女の子。
手作りのプラネタリウムなんてロマンチックすぎます。
青春の塊みたいな回想。
「世の中には動かなきゃ見えてこないものがあるんだよ。俺はそういうのをずっと避けてきたんだ。でも、これからはできるだけ動こうと思ってる。たとえ状況自体は変わらなくても、見る目が変わるはずなんだ。」