- Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103014737
作品紹介・あらすじ
青春の痛ましさを描いた名作『ボトルネック』の感動ふたたび! この町はどこかおかしい。父が失踪し、母の故郷に引越してきた姉ハルカと弟サトル。弟は急に予知能力を発揮し始め、姉は「タマナヒメ」なる伝説上の女が、この町に実在することを知る――。血の繋がらない姉と弟が、ほろ苦い家族の過去を乗り越えて田舎町のミステリーに迫る。著者2年ぶりとなる待望の長編登場。
感想・レビュー・書評
-
2023/11/07読了
#このミス作品87作目
父親の背任により住む場所を失い
田舎に越した母親、兄弟が巻き込まれる事件。
急に未来予知ができるようになった弟。
高速道路誘致に異常なまでに固執する住民。
排他的な町の空気。
過去より引き継がれるタマナヒメ伝説と儀式、
そしてそれにまつわる不審死。
登場人物に生気がなくすごく薄気味悪い。
王道ホラーでもないが寒気のする作品。
でもめちゃくちゃ面白い。好き。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
子供の頃住んでいた家の近所には小高い丘のようなものがあった。
てっぺんには簡単な遊具がある程度のせまい公園があり、そこにいたるまでの道はランニングコースとして整地されていた。
だが、そこを走る人はほとんどおらず、公園で憩う人もほとんどみたことがない。
僕ら子供たちでさえ、遊ぶのはその先にある新興住宅地内の広場か校庭だった。
新興住宅地と古くからある地元の農家が集まる地区の狭間にある、だだっ広い田んぼ。
その真ん中にある「丘のようなもの」としか呼びようのない、自然の摂理から外れた奇妙な隆起。
遊ぶには中途半端に寂しい場所にある公園。
変な傾斜と短い距離のランニングには不向きな小ぎれいな道。
その「丘」が大昔の何者かの墓、つまり古墳であると知ったのはずいぶん後になってからだ。
地元の名のある神社を宣伝し、歴史資料館を建て、所々に観光案内のプレートを立てている町役場が、何故その「丘」の来歴をそこに記していないのかはいまだにわからない。
リカーシブ【recursive】
(形容詞)再帰的な。自分自身に戻ってくるような。
プログラミング言語においては、処理中に自らを呼び出すような処理をいう。
リカーシブ・ルとは米澤さんの造語だろうか。
ママと弟のサトルと三人で新しい町に引っ越してきた越野ハルカ。
中学の新入学と同時に編入ということで、これを好機にうまくクラスに馴染もうと必死だ。
しかし自分の周りに感じる不穏な空気。
環境の変化というだけでは説明できない何か。
自分の周りで何が起こっているかわからないが、確実に何かが起こっているという不気味さ。
それを読者も一緒になって体験するという面白さ。
断片的に散りばめられた情報が最後になって像を結び、目の前に現れる。
田舎の風景や日常の細かい描写はさすがだな米澤穂信、なんて油断していたら、まさかそんなところにまで。
どこにヒントが転がっているかわからない。
この作品が書き下ろしではなく『小説新潮』で連載していたというのだから凄い。-
jyunko6822さん!
コメントありがとうございます。
「ブクログで花丸が欲しいんです」って『何者』のレビューの冒頭で書いていました...jyunko6822さん!
コメントありがとうございます。
「ブクログで花丸が欲しいんです」って『何者』のレビューの冒頭で書いていましたね、僕。
物語の主題に絡めて、半ば冗談まじりに書いたのですが、そういう気持ちが多少あることは否めないですね。
でも、狙って書いている訳ではないので、僕にもコツを教えてください(笑)。
しかし、みなさんのレビューを参考にして本を選んでいるところはあるので、自分も「こんな面白い本あったよ」って気持ちでは書いていますね。
あと、特にミステリに関してはネタバレせずに面白さを伝えるにはどうしたら良いか、いつも悩みます。
『リカーシブル』は米澤さんのビターテイストが滲み出ていました。
これは再読がまた楽しそうです。2013/04/30 -
いろいろお勧めありがとうございます。
周りからの刺激で、読みたい本がお陰さまで山積み。
そういえば、kwasaさん、プロフィールのBEST3...いろいろお勧めありがとうございます。
周りからの刺激で、読みたい本がお陰さまで山積み。
そういえば、kwasaさん、プロフィールのBEST3が代わっていましたね。日々成長されてるってことで、眩しいです。(上から目線?ごめんなさい)2013/04/30 -
jyunko6822さん!
山積みになりますよねぇ、読みたい本。
そう! BEST3変更しました。
でも、ベストを決めるって難しいです...jyunko6822さん!
山積みになりますよねぇ、読みたい本。
そう! BEST3変更しました。
でも、ベストを決めるって難しいですよね。
日によって気分で変わったりもしますし。うーん。2013/05/03
-
-
予言と伝説
弟の予言、街に伝わる伝説が妙に不可思議で、それを今でも伝承する同級生が妙な動きをする。そこで姉は謎を解くために観察し始める。中でも幼い弟の予言が意外な展開を見せる結末は予想外で、ミステリーとしてはもう一捻り欲しいところだ。 -
父が事件を起こし、義母と義弟と共に義母の故郷にやってきた主人公。閉鎖的な町と、その町に伝わる伝説、最後の展開はとても怖かった。少し最後駆け足感はしたし、解決されたか分からない感じもしたので☆3つ。閉鎖的な空間というのは、時に思ってもみないような常識外れを生み出す。何事にも盲目的になってはいけないね。
-
独特の世界観が好きです。一応現代ものの話ではあるのですが、ちょっと恐い童話を読んでいるような気分になりました。昔話、それに囚われる街の風景が印象に残ってそういう感想になったのかもしれません。米澤さんの本はいくつか読みましたが、ちょっと世界がいつもとは違う気がする。
なんだかんだいいながらも、自分の身を挺してでも「弟」を守ろうとする主人公の女の子がなんともけなげで可愛いです。
ただ個人的にちょっと表紙のデザインはミスチョイスな気がします。ぱっと見SFかと思いましたし。 -
雰囲気は「ボトルネック」に似てるけど、
まだこちらの方が救いがあるお話、、、なのかな。
優しい母親と、勝気な姉ハルカと、泣き虫の弟サトル。
最初は一見普通の家族に見えるのだけれど、
お話が進むにつれて、徐々に歪な関係が明らかになってくる。
寂れた閉塞的な町。常に誰かから見張られているような視線。
町の人間達は一体何を隠しているのか?「タマナヒメ」の伝承とは?
ミステリと伝奇を絡めたような展開は面白いが、なかなか気が滅入る。
登場人物に感情移入できなかったのが残念です。 -
久々にミステリーっぽいミステリーを読んだ気がする
少し収まりが悪かったかな