- Amazon.co.jp ・本 (251ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103038313
感想・レビュー・書評
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読み終わってしばらく惚けた。花魁ものは物悲しい。でも自分の肉体のみで生きるその姿は凛とした美しさを放ってる。永遠につづく愛だけをしあわせとよぶわけじゃないと私は思うし、そうであってほしいと願う。
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第5回女による女のためのR-18文学賞で大賞と読者賞を受賞した作品です。
江戸は吉原での遊女のお話。性描写があるので好き嫌いは分かれるかもしれませんが、女性作家のためか、きれいで切なく描かれています。
ブログにて詳しいレビューしています*
https://happybooks.fun/entry/2021/03/14/200000 -
描写がすごい。しかし、花魁それぞれの考えに圧倒された。映画も見たいと思った。
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久々の耽美系宮木作品。清貧だけど強く美しい生き様に、読み終えるのが惜しくなるほどだった。当時の時代背景に詳しくなくとも楽しめるが、わかるとより一層楽しめるのではないかと思う。
2013.07.14 -
日本古来の美しい色彩、まがまがしい色彩、いろいろな香りや匂いにあふれる悲しく切ない物語。
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最近まとめ読み中の宮木さんのデビュー作。あんまり図書館で見かけないんだけど、先日行ったらたまたま棚にあったので借りてきた。
おもしろかったー!
江戸吉原の遊女たちのお話。
4代くらいにわたる姉女郎と妹分たちが、時系列問わずそれぞれ語り手になっているので、話が繋がっていて引き込まれる。
遊女たちの恋のお話はどきどきするし、自由になれないと諦めて慰め合う姿はなんだか哀しい。
「女による女のためのR-18文学賞大賞作」だったらしいのでちょっと身構えて読み始めたんだけど、萌えるお話ばかりできゅんきゅんした。
他の時代小説作品も読みたいー -
江戸末期の吉原の小見世「山田屋」の5人の遊女たちのお話。
「花宵道中」「薄羽蜉蝣」「青花牡丹」「十六夜時雨」「雪紐観音」の5本が収録されていて、それぞれ少しずつ繋がっています。
「花宵道中」
あと数年で年季を迎える「朝霧」の話。
この話自体は「よくある話」なのかもしれないけれど、他の話を読んでから読み返すと一番身悶える話。
彼女の選んだ結末が後の遊女たちに与えた影響は計り知れないと思います。特に妹女郎として一番近くにいた八津なんか人生観変わっちゃったんじゃないかしら。
「薄羽蜉蝣」
もう少しで初見世を迎える「茜」の話。
恋すら知らないのに男に貫かれなければならない少女の切なく悲しい話。…なのだけれど私のセンサーはひたすら茜の姉女郎の八津に反応してました。むしろこれは茜を主人公に据えてはいるけれど実は前作の「花宵道中」の為の話なんじゃないかしら。後日譚なんじゃないかしら。それくらい随所に朝霧を感じました。
肝心の茜ですが、彼女は普通に逞しい遊女になると思います。朝霧よりも八津よりも強さを感じさせる終わり方でした。
「青花牡丹」
京都から売られてきた「霧里」の話。
霧里は朝霧の姉女郎なので初見世前の朝霧が登場します。この霧里が朝霧をきちんと粋に育て上げたからこそ、更にその妹女郎の八津が朝霧好きになったんじゃないかなと思います。すいません私、霧里一番好きなんです。
内容としては「遊女の悲劇」とは少し違う気がします。もっと救いようのない悲劇な気がする。そしてこの話を読んだ後「花宵道中」を読むと部屋中ローリングしたくなる気分になります。あちらこちらに霧里を感じるよ!
「十六夜時雨」
年季明けまで折り返しくらいの「八津」の話。
姉女郎として茜を見ている八津と、妹女郎として朝霧に守られていた八津。どちらの描写もあるのが余計切ない。
八津は登場人物の中で精神的に一番弱いんじゃないかと思います。結論。一番遊女に向いてないよ八津…!(そういえば要領よくないって朝霧が言ってた)(確かに要領よくないよ八津)
この話の結末も嫌いではないのですが、どうせなら一人くらい違う選択をしてくれても良かったのになと思わなくもないです。
「雪紐観音」
山田屋の看板女郎「桂山」の妹女郎「緑」の話。
ぶっちゃけ百合です。霧里の筋を主人公に据えるのかと思っていたので最後に何で桂山さんの筋なのかと思いましたが、八津の妹女郎で茜の先輩の三津が大変重要な役割で登場しました。納得。
個人的感想としては主人公の緑よりも三津が素敵で悲しい。 -
吉原の遊女たちの話。
短編5話ですが、すべてが繋がっていて読むたびに切なくなりました。
描写の色合いがとても綺麗で、目の前に情景が浮かびそうな作品。
人間の欲や悪がどろどろに混ざっているのに、それでも凛と
綺麗な場面が見えて、それがまた物悲しいなと思いました。
「お座敷の遊び方も心得ん人に暖簾をくぐられたら、うちの暖簾が汚れます」 -
どの遊女たちも今を必死に生きている。
強がったり、泣いたり、怒ったり、あるいは自分の感情を押し殺したり。
非常に人間らしいなと思った。
吉原の中で中堅の店という設定がまたいい。
珍しいものを見たときや、綺麗な着物を前にした時、異性のちょっとした言葉に感動したり、普段食べることの出来ない豪華なものを食べ、子供のように無邪気に喜ぶところが可笑しくてせつない。
そう考えると現代人はなんて欲深いのだろう。
遊女は商品であって、他に男を作ることなんて許されない。
彼女たちは必死に自分の感情を抑えようとしたり、抑えきれないものは男と駆け落ちをする。
店から逃げるものとそこに残されたもの。
どちらが幸せかなんて分からない。
それでも誰かを本気で好きになったり、その相手と一瞬でも互いの気持ちが通じ合うということはなんて素晴らしいのだろうと思った。