マザーズ

著者 :
  • 新潮社
3.73
  • (110)
  • (178)
  • (122)
  • (34)
  • (14)
本棚登録 : 1237
感想 : 241
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (457ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103045328

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • すごかった。辛かった。
    誰もが持っている悪や闇の部分(ユカがいうところの魔界?)にこれでもかというほど目を向けていく。
    やめて、やめてと思うのに、どんどんと流れるように広がる展開を止めることができない。
    誰もが持っていたはずだった部分がどんどん腐食して爆発し、戻れなくなっていく。
    消耗したけど、すごい小説でした。

  • お…重い。読んでてかなり肩が凝ったし、何度も何度もため息をついた。子育てってこんなにハードで凄まじいものなの?作家のユカは作者そのものじゃないかと邪推してしまうし、なんだかリアルすぎて。確かに作者の全てを注ぎ込んだ意欲作ではあるのだろうけれど、私には刺激が強すぎた。彼女とは住む世界が違うなぁと再認識したので、当分金原ひとみは読まないだろうなぁ。2013/203

  • 金原ひとみさんの作品の中で一番人間らしかった。

  • 同じ保育園に子どもを預ける三人の若い母親たち―。
    家を出た夫と週末婚をつづけ、クスリに手を出しながらあやういバランスを保っている“作家のユカ”。密室育児に疲れ果て、乳児を虐待するようになる“主婦の涼子”。夫に心を残しながら、恋人の子を妊娠する“モデルの五月”。
    現代の母親が抱える孤独と焦燥、母であることの幸福を、作家がそのすべてを注いで描きだす、最高傑作長篇。

    なんてリアルな小説なんだろう、と思いました。
    現在1歳半の娘の子育てまっただ中で読みましたが、三人の母親に幾度も自分の影をみつけ目を背けたくなる思いでいっぱいになりました。こんなに愛しているのに、どうしてこんなに私を苦しめるのか。娘はひたすらに可愛くて可愛くてしょうがないのに、どうしてこんな気持ちになってしまうのか。母親は本当に孤独だと思います。
    幸い、私には頼りになる優しい夫がおり、育児にもとても協力的で本当に夫婦で一緒に子育てをしているのでここまで思いつめることはありませんが、この作品で描かれているのは紛れもない現代の母親たちだと実感しました。
    その母親たちが、金原ひとみさんの勢いのある圧倒的な文章でめまぐるしく交錯しており、ページをめくる手が止められませんでした。『蛇にピアス』を読んだときも感じましたが、彼女は比喩表現が多彩で上手く、何度も引き込まれ感情移入してしまいます。
    なんだかあまりの息苦しさに体力かなり消耗しました。
    読んでいる最中も読了後も、自分の娘をぎゅーっと抱きしめ頬ずりしたくなります。

  • 幼少期、仲が悪かった両親の顔色を伺いながら無邪気を装って二人の関係を取り持とうとしていたことを、この本を読んで思い出した。
    そして弥生に自分を重ねた。

    母親が、どんな思いで私を産んで育ててきたのか、初めて考えた。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「無邪気を装って」
      切ないね、、、
      子どもに仲が良くないコトを隠さないって、よっぽどだったのかなぁ(ゴメンね、こんなコト書いて)
      「無邪気を装って」
      切ないね、、、
      子どもに仲が良くないコトを隠さないって、よっぽどだったのかなぁ(ゴメンね、こんなコト書いて)
      2013/08/02
  • 正直、「蛇にピアス」から金原ひとみには
    自分にはなじめない感じがして倦厭していたんだけど、
    お母さん友達から「これはすごいよ」と薦められて
    図書館で借りてみた。

    これはすごい。
    この母親像は、金原ひとみにしか書けないんじゃないかと思う。
    こんな、剥き出しの、露悪的な、抉り出すような、母親像は。
    でも、これがほんとうだ。と思う。
    これは自分だ。とも。
    読んでいて、これは登場人物のユカのことなのか涼子のことなのか五月のことなのか、金原ひとみのことなのか私自身のことなのか、混沌としてきてわからなくなる。母親という役を負っている自分の汚い部分、おぞましい部分、後悔したこと忘れたいこと、そして今もしてしまっていること、それらが次々目の前にぶちまかされて、ものすごく嫌な気持ちになりながら、ものすごくいい気分にもなっている。

    母親はいつも怯えてばかりいる。
    子どもに。夫に。周囲の視線に。自分自身に。
    怯えて、迷って、一人でジタバタ足掻いて、泣き叫び、怒り狂ってばかりいる。
    その点、子どもには迷いがない。
    まっすぐに、母親を愛してくれる。母親のしたことを許し、愛し続けてくれる。
    その愛に癒され、その愛に怯えているのが母親なんじゃないだろうか。

    むぎがいつか妊娠したら、この本を薦めたい。
    そして、ぽんたのお嫁ちゃんが妊娠したら、ぽんたに強制的に読ませたい。

  • 子どもが生まれるってことは確実にホルモンの変化の影響を受けている。娘だった女が、母に変化する。まるで羽化する直前の蛹のように、体も精神状態も変貌を遂げつつあるのに、意識がついていかず、乖離してしまう。そのことがこんなにシビアな文章になり、自分の育児時のあのやるせない一瞬一瞬が浮かび上がってくる。
    子どもによる幸福感と、感じることがないはずだった虚無感、無力感、圧倒的な孤独が一人のものではないことを今更ながら知って、あらためて歩いて行ける。本当に救われる思い。

  • ニュース「ZERO」で板谷由夏さんが金原ひとみにインタビューしていたのを見て、
    この「マザーズ」のことを話していた。
    以前から、金原ひとみの作品は大好きだったので、この本が出版されたことを知らなくて、すぐに手配した。

    金原ひとみさん、なんか、作風も変わったな~。
    もちろん、出産、育児をしたからだろうけど。
    女っていうのは、環境に馴染むことができる動物だと聞いてるけど、
    育児ほど、個人差があるものはないのだろうな~と感じさせられた。

    この小説には、モデルで有名人の五月。
    自由奔放な作家、ユカ。
    ユカと高校時代の同級生で、セレブとは程遠い生活を送っていて
    1歳にならない乳飲み子を抱え、育児にまったく協力しない夫。
    あまりに育児に疲れ果て、これ以上子供とは一緒にいてはいけない。と
    本能的に察することで、保育園に預けようと決めた涼子。

    ドリーズという、ちょっと高級なニオイのする無認可保育園で知り合い
    この3人を軸にストーリーは展開されていくのだけど。
    お互いの子供の年齢は、ちょっとづつ違って。

    母親であって、一人の女であり、
    母親であって、一人の人間であり、
    母親であって、子供によって、母親にならせてもらっている。

    衝撃的な出来事が終盤にはあったりあと、
    けっこう、引きづった。

    これまでの金原ひとみ作品は、けっこうセックスを事細かく表現されてきてて、
    ここまで書くか!!芥川賞作家!と思うほどだったけど、
    このマザーズは、わりとアッサリめで(ちょっと残念で。。)
    セックスをした。という描写だけで終わってることも多く。
    ユカのところだけ、ドキドキさせられるような場面もあるのだけど。

    「マザーズ」というだけあって、1~3歳の子供を持つ母のお話なので、
    普通の母親たちからしたら、がぜん自由すぎるだろ!と突っ込みたくなるところだろうけど、
    わきまえ、思いやり、いたわり。というところが、これまでとは
    まったく違う作風。

    環境が変わったぶん、こういった作品も増えていくんだろうな~と
    金原ひとみの本が、今後も楽しみになった。

  • 図書館借り。買わなくてよかった。なんの救いもない。三人の女がでてくるけど全員同じ印象なので読むのがたいへんだった。金原ひとみの文章、あまり好きじゃないな。もう読まなくていいや。

  • 私は、母親じゃない。
    でも・・・びっくりするくらいに感情移入した。

    それは今私が置かれている状況が原因だと思う。
    女なら誰しもが似たような経験をするのかもしれないけれど
    なぜ今この時期に、この本を手に取ったのか否応無く考えてしまう。

    彼女の作品をグロテスクで下品というヒトも多いが
    私は、そういう表現が彼女らしくて好きだなと感じる。

    難解なストーリー展開の作品が多いだけに
    今回は混乱せずに読み進められたことが満足。

    蛇にピアスの次に好きな1冊。

全241件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2004年にデビュー作『蛇にピアス』で芥川賞を受賞。著書に『AMEBIC』『マザーズ』『アンソーシャルディスタンス』『ミーツ・ザ・ワールド』『デクリネゾン』等。

「2023年 『腹を空かせた勇者ども』 で使われていた紹介文から引用しています。」

金原ひとみの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×