- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103045342
感想・レビュー・書評
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セックスと薬と酒にまみれた破滅的な生活から結婚を機に何不自由ない人も羨む安寧を一度のセックスで擲ってしまう。築いてきた関係性も積み重ねてきた言葉も行為も全て喪失する。行きつく先の想像のつかなさに途方もない気分が覆いかぶさる。ぽっかり心に穴が開いている感じ。自分の中から突き動かされるような衝動もない。愛しているのかどうなのかを確かめなければならないという衝動と、離婚することになったらという打算だけに突き動かされる。軽薄とは理由なのか結果なのか。
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共感はできないけどおもしろかった。
未成年の甥を自分好みの男性に仕立て上げようと、
留学を執拗に勧めるカナの傲慢さが怖かった。
軽薄というタイトルがぴったり。 -
平成12年『マザーズ』以来の、金原ひとみ久々の長編。
この『マザーズ』は紛れもない傑作だと思ったのだが、その後上梓された短編集2編が色々と微妙だったので、本作は個人的にはとても注目していた。
実際本作は期待に違わず、主人公カナのある意味ドライな世界観を通して描かれる、リアルかつ緊迫感溢れる筆致は、流石だと認めざるを得ない。
だがしかし終盤、物語が動き始めると、その筆致に乱れが感じられてしまったのは残念だ。
特に最後の主人公の選択......ジャンル的には純文学なので、これはこれで十分に「あり」なのだが、前半のクールかつドライな世界観からするとやや唐突感は否めない。
特にその決断の大きな判断要素の一つが、夫の不貞(疑い)というもの、純文的にはなんか『コレジャナイ』感が拭えないのである。
それなしに主人公の最後の選択に納得感(共感である必要はない)を読者に与えることが出来たなら、何倍も豊かな純文小説になっていたと思う。
そうすると、もしかしたら題名も『軽薄』ではなく、別のものになっていたかもしれない......と考えると、作者がこの作品で表現したかったものは、いったい何だったのか?......という、残念な結論になってしまった。
次作に期待する。 -
海外から帰ってきた姉の息子(甥)から
熱情をぶつけられ
関係を持ってしまう主人公。
いやいや
合法ですけど、甥か〜〜〜〜
共依存だった若い頃の彼には刺され
逃げた先の海外での生活
スタイリストとしてモデルたちとの仕事
そして甥とのただれた関係
この人は安定した生活は向かないんだろう
高スペックの夫と生活にも
結局満足してないんだもんね
子ども作らなきゃよかったのに
物語としてはおもしろかったけど
友だちだったら縁切ってるわ〜
エッチの最中にかかってきた電話
いつのまにか通話になってて
しばらく聞かれてたシーンには
血の気が引いた(笑) -
著者名で図書館から借り、冒頭読んで、マジか。と呟いたが結局読んだ。
気持ち悪いと思った反面、先が気になる好奇心が勝った。夜にボーっと読みたし。 -
・これまで書かれてきた母親視点の小説群から、女性としての自分に回帰した作品。甥との関係を描くが、その関係性やモラルは問題にしておらず、そのときそのときの感情だけを重視した視点が特徴的。
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人を好きになることは純粋だと思いたいけど
やっぱりいろいろ邪推がはいる、、、。 -
疲労、疲弊、破壊、愛
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図書館で借りた本。主人公のカナはおそらく絶世の美女なんだろうと思える。誘惑してないのに年齢差もいろいろな男から愛される。だけどカナ自身はとてもドライ。冷たくも生真面目でもない。軽薄というタイトルがピッタリだ。内容は既婚者で8歳の息子がいるカナは姉の子供である弘斗から告白され性的関係を続けていく。カナは昔、当時の恋人からストーカーに遭い背中を刺された経験もあったが海外留学により現旦那と出会い結婚しセレブの仲間入り。カナより10歳下の弘斗は19歳の大学生。弘斗はアメリカで生活していた中学生時代にある暴力事件を起こしていたのだが…軽薄なカナと嫉妬すると何するかわからない弘斗の関係が怖いが、ジタバタしないカナは愛され慣れている気がした。