芥川龍之介短篇集

著者 :
制作 : ジェイルービン 
  • 新潮社
3.52
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本棚登録 : 170
感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (317ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103048718

作品紹介・あらすじ

英語圏の読者を魅了した短篇集。「さびれゆく世界」「刀の下で」「近代悲喜劇」「芥川自身の物語」の四部構成。

感想・レビュー・書評

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  • 芥川龍之介を腰を据えて読みたい、という人はこの本を買うべき。読むべき短編は全て収められているように思う。

    それは、村上春樹の序文の素晴らしさでも分かる。これほどきちんと芥川について語られた、紹介された文章はなかなかないのではないだろうか。谷崎潤一郎についてもどこかで書いて欲しいものだ。

    『地獄変』は恐ろしい小説で、実は読んだのは数年前なのだが、その凄まじさに驚いた。

    一番好きな話は『竜』、そして最後の作品である『歯車』は好きとはとても言えないが、あまりにも生々しく、正確に亡くなる前の闇(狂気と書こうとしたがやめた)が描かれていると思う。

    そうだ、装丁もすごく良い。僕は部屋に飾っている。

  • おぎんの「いんへるの」という表現、面白ぅ。本自体にも工夫があり、芥川龍之介の短編作品を芥川龍之介自身が描いた時間軸に沿って並べていて、極めて独特な構成となっている。

  • 結構、本を読んでいたつもりだったけど、村上春樹の文学観に追いつくためには、まだしばらくかかりそうだ。しかし単なる序文なのに、いちいち上手いな。ほんと吸盤付の文章。

  • 表紙の猫が前々から気になっていたのですが、久しぶりに芥川龍之介の文章を読みたくなったので手に取った1冊。
    「羅生門」、「藪の中」、「地獄変」、「鼻」などのよく知られた作品だけでなく、「葱」や「馬の脚」などの、耳に馴染みのない短篇も収録されています。

    編者のジェイ・ルービン氏がペンギン・クラシックス版短篇集に英訳した作品をそのまま日本語で収録しているのが本書。
    短篇の配列は、物語が設定されている時代順に並べられています。
    なので、後半に行くにつれて芥川の自殺の予感がついてまわる内向的な作品(「或阿呆の一生」や「歯車」など)になるため、なかなか読み進まず…。
    個人的には、芥川の初期の作品のほうが馴染みな…と思います。

  • 代表的な所だと羅生門、鼻、藪の中、地獄変、おぎん、あとは歯車等の本人の話がいくつか。
    作品の中で、結末が明確に提示されずにあらゆる可能性が考えられる終わり方が多い。儒朱の言葉の中であらゆる角度からみても美しいというような作品があるが、まさにそれであると思う。富士山も、見るシュチエーションと場所によっては印象と感動のベクトルが異なるけれど、それも富士山の特徴であり、つまりは各々の見方をしても、元来兼ね備えている美の本質は変わらないと認識出来る。芥川龍之介の作品は完成度が高い故に、仄めかされている解釈の角度から作品を眺めても、文学上のデッサンがしっかりとしているため、あらゆる結末それぞれの感じ方は異なるけれども、それぞれの美が存在している。その美を受けとるのは読者次第であると思う。

    藪の中は盗人、女性、男性の幽霊が降りた巫女の意見が各々異なるのがおもしろかったし、其々に人間の汚さと自己欺瞞があるのが恐ろしい。

    地獄変もともと結末は最悪であるが、その最悪の要素と過程に謎めいた所があり、それがハッキリと提示されない事で不気味さが際立っている。また、芸術至上主義的な要素も素晴らしい。

    おぎんはキリシタンの弾圧物であるが、滑稽に見えている反面、狂信さを持っている人の強さを感じさせた。これがあたかも美談かのように感じるのは、いくらなんでもお人好し過ぎる。

  • 芥川龍之介の作品に苦手意識がある(好きなのは河童と歯車)。この本もやはり、特に初期作品が読み進めづらかった。それでも、まだ他の作品を読んでみたいし、過去に読んだものも読み直したい。芥川を知りたい。

  • 村上春樹の序が付く。芥川短編の妙。なじみある初期短編から、病的な「車輪」まで採録。

  • 有名な「羅生門」、「鼻」と有名な作品が掲載されている。短編なので、短くて読みやすい。

  • 「現代のキリスト」を書こうとして毎回失敗するというお約束が
    村上春樹の味だと僕は思っています

    芥川龍之介は逆に、「日本の迷える子羊」ばかり書いてきた小説家なのだけど
    それがいつのまにか彼自身、気付いたら教祖的立場に祭り上げられていた
    …というのはおそらく
    菊地寛が「文藝春秋」を創刊したのに深く関わりあることで
    べつに芥川だけの問題ではなく
    当時の流行作家はみんなそういうものだったはずなのだけど
    彼の繊細な神経だけが、それに耐えられなかったのだ
    あるいは、自らの「文章」が人殺しを肯定する道具に使われてしまう
    そんな未来を「ぼんやりした不安」のように幻視していたのかもしれない

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

芥川龍之介の作品

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