ブラック・ジャック・キッド

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103059714

感想・レビュー・書評

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  • 小学3年生、織田和也。将来なりたいものはブラック・ジャック。

    彼はなんとなくブラック・ジャックに憧れているわけではない。服装、髪型、持ち物、全部ブラック・ジャックと同じにしたかった。
    自分をブラック・ジャックと思い込んでいた。

    黒いコートをマント代わりにしている彼は同級生から見ても奇怪。
    バカにされることだって何度もあった。

    でも他の男子とは違う彼に女子たちは惹かれていく。
    パンツを見せてきたり、お医者さんごっこと称して性行為まがいの勝負をする女子たち。

    彼も女子を守るために上級生を返り討ちにする。

    学校でうまくいき出したのに、彼の家庭環境は悪くなっていき、父親は借金で苦しみ、母親は家を出る。

    金銭的な面から引っ越しすることになった彼は、新しい学校で浮いてしまう。ブラック・ジャックかぶれの少年に対する同級生のまなざしは冷たかった。彼は小学5年生になっていた。

    友だちもいない生活のなかで彼は女の子の姿をした神様に出会い、状況が少しずつ変わりだす。
    ちょっかいを出してきていたワルガキたちはおとなしくなり、児童館で友人を見つけ、ブラック・ジャック以外の素晴らしい漫画、素敵な小説を教えてもらう。

    運動会のリレーや学芸会での演劇で彼は居場所を見つけ、恋をする。

    彼は好きな女の子の弟を助ける。
    名前を聞かれた彼は「ブラック・ジャックだ!」ではなく、「織田和也」と名乗る。

    ブラック・ジャックと同じくらい大切なものが彼にはいくつも見つかっていた。友だちがそれが教えてくれた。
    彼は小学6年生になっていて、もうすぐ中学生だった。

    --------------------------------------------

    男の子が成長していく過程を感じられて、気持ちよく読めた。
    物語の雰囲気的には、『みなさん、さようなら』に似ていたかも。

    織田和也が過去を振り返る形で語られていき、最後に現在の年齢や状況を言うのが少しさみしかった。村上龍の『69』のオマージュなのかな。

    大人になった織田和也はブラック・ジャックにはなれなかった。
    でも手塚治虫には少し近づいていた。

  • タイトル通り、ブラック・ジャックが大好きで、ブラック・ジャックになりたい男の子お話です。
    主人公が「シャー、シャー」と言って走るシーンは笑えました。

  • 少年はブラック・ジャックになりたかった。
    みたいに、でなくそのものになりたかったのだ。
    服装も髪型もメス投げもそして黒いマントも。。

    ブラック・ジャックはあまりにも有名な漫画だ。

    少年の日々は面白いばかりではない
    痛かったり、辛かったり、親と別れたりする。
    やがて少年は少年でなくなる時がやってくる。
    いろんな人や漫画や小説と出会う。

    少年のおもしろ切ない感じがとてもよく現されていた。

    眼鏡をとると美少女の泉ちゃんが
    「君はブラック・ジャックにはなれないよ。
    手塚治虫はブラック・ジャックになれるけどね。
    ならないとブラック・ジャックを描けない」というのは
    なるほどぉである。

    単行本の装幀がブラックジャック走りでかわいい。

  • 理屈抜きで構わないから、
    夢中になれることや「憧れ」を持っていること。
    それって人を成長させるって思う。
    突っ込みどころも多いけど、楽しいお話しでした。

  • 思い込みが激しいのもトラブルの元だね。

  •  なんだか不幸なんだけれど、それが当たり前になっていて、夢中で、独りよがり。忘れてしまった子供の世界って感じ。

  • さくさく読めて面白かった。
    ちょっとエッチな要素もあったけど、そこを含めて笑えたー
    面白いだけじゃなくて生い立ちなんかは暗くって、人生楽しいだけじゃなくて辛いこともあるんだなと当たり前のことを考えた。

    ただ、幽霊要素はちょっと受け付けなかった。
    ただ頭の中のお友達なのかと思ったら、いじめっ子たちを懲らしめてくれて、こっちが「あれ?」となった。そこはいじめっ子たちにも姿は見えなくて(妄想だから)自分の力で解決するって流れにしてほしかったかなぁ。
    現実っぽい話の中にそういう異次元のものが絡む話はあまり得意じゃない。

  • 手塚治虫の「ブラックジャック」を愛読する小学生。姿形もブラックジャックになり切る主人公が経験する試練を綴る。
    子供特有の思い込みと純情さ。時に吹き出すような表現もあって楽しめた。

  • 少し途中で横道にそれたけど、全体的には面白い作品

  • あまり馴染めなかった。

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著者プロフィール

1969年東京都生まれ。立教大卒業。2007年「みなさん、さようなら」でパピルス新人賞、「ブラック・ジャック・キッド」で日本ファンタジーノベル大賞優秀賞、「すべての若き野郎ども」でドラマ原作大賞特別賞の新人賞三冠を達成。他著に『空とセイとぼくと』『オープン・サセミ』『ハロワ!』『中学んとき』『青少年のための小説入門』などがある。

「2022年 『明日はきっと お仕事小説アンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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