仮想儀礼 上

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 543
感想 : 97
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  • Amazon.co.jp ・本 (469ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103133612

感想・レビュー・書評

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  • 宗教団体を立ち上げるお話。
    とても面白い。
    初めて読む作家さんだったし、分厚すぎる本を手にとったとき読みきることができるのか不安だったけど
    ずーっとだれることなくあっという間に読了。寝不足がつづいてしまうほどにひきつけられる。
    下巻では何が巻き起こるのが非常に楽しみ!!!!!!

  • 「もし行政の中級管理職が宗教をたちあげたら?」

  • やられた。9.11を逆手に取って、世の中に進んでいくという道を小説の中で実現してしまう。
    篠田節子なら、小説を書くだけでなく、この手の団体を立ち上げられるかもしれない。

    役所勤めという経歴といい、
    「社会のシステムや精度についての正確な知識を持って折らず、そのために問題が解決できず、相談相手もいない状況に置かれている」「論点がはっきりせず、果てのない愚痴としてしか語られることのない彼女たちの悩みに、家族は本気で耳を傾けてくれない。家庭の中心にいて家族の生活を守っているはずの彼女たちが、その家庭の内で孤独に陥っている。」
    という現状分析といい、的確だ。

  • 決して短い小説ではないのに、面白くてぐんぐん読み進めてしまえる一冊です。
    実際の事件などを踏まえて、現代社会の歪みや心のあり方はどうするべきか、読むほどに悩んでしまいます。
    自分たちの作った宗教にすがり、生きる道を見つけたかに見える者、迷い続ける者、教祖・慧海(正彦)の心の葛藤と野望・・。

    集会所に集まる人たちが抱えるそれぞれの問題もさまざまで、
    今時の若い「生きづらさ」「トラウマ乗り」と言う言葉にドキリとしたり。

    豊かになった世の中で、心だけが飢餓期になっているのかと思った一冊です。
    善とか悪とか割り切れないのが人の世なんでしょうね・・

  • 読了。

  • かなり分厚い本が上下の2冊組。
    ハードな読書になるかなと思いましたが、
    ストーリーの面白さに一気に読み終わりました。

    貧しい生活をしている正彦と矢口。
    正彦の書いたゲーム本の原作をもとにインチキ宗教集団をたちあげます。
    何の根拠もない全くの空想から生まれた神を元にした
    インチキ宗教でしたのに、なぜか大評判。
    順調に信者も増やし、本部だけでなく支部を持つまでに発展します。
    もちろん主人公たちは教祖として宗教集団に君臨し、
    好き放題、勝手放題、やりたい放題…。

    この傾向は、少し前に世間を騒がせた
    あの新興宗教と全く同じだと思いました。
    どうして人は宗教にはまり込むのかと、
    ずいぶん不思議に思ったのですが、
    小説の中で、そのあたりの人々の事情が書かれてあり、
    そういうことか、と妙に納得。

    頼れるものはわらにもすがりたいという人間の不安感をうまく利用し
    大発展した新興宗教に翻弄される信者の女性たちやその家族に、
    宗教に頼る人間の愚かさやおかしさが感じられました。

    と、前半は愚かさばかりが感じられたのですが・・・
    後半はちょっと違いました。

    (続下巻)

  • 「砂の王国」つながりで手を取りました。こちらもかなりの長編。男2人が生活のために立ち上げた宗教団体が、偶然の幸運もあって組織を拡大していく前半。
    ただし、ところどころに散りばめられている、小さな綻び。今後あるかもしれない崩壊の序章みたいな記述が気になって、先を読み進めずにはいられない、そんな感じでした。

  • 金儲けのために偽の新興宗教を立ち上げた、正彦と矢口。
    正彦の書いた、日の目を見なかったゲームブックをヒントに、詐欺師であるが、善人の二人はだんだんと軌道に乗って、どんどん組織は大きくなっていく。
    信者のみんなも個性派ぞろいで、ずっと飽きずに読み進んでいった。
    下巻ではどんな展開になっていくのか、とても楽しみ。

  • 「ゴサインタン」「弥勒」と続く篠田さんの得意の宗教もの。
    でも非常に読みやすくとっつきやすいです。
    仕事に失敗して人生から転落しかけた男2人が思いつきから新興宗教を立ち上げ一儲けたくらむ。
    上巻ではその団体が紆余曲折を経て成長していく過程が書かれます。
    教祖様が言う事やることが意外と最もだから、読んでいるとこのまま上手く行きそうな気がします。
    っていうか、エセ宗教だけれど別に悪いことないじゃない、責められる事もないよね?とすっかりほとはらも騙されてる?
    これが下巻では奈落に転がり落ちていくかと思うと・・・残念だ、と思うところ自体、すっかり騙されているようです。
    下巻が楽しみ♪

  • いわゆる新興宗教の話。だけれどもそれだけに終わらないのが篠田さんの怖いことろ。きっかけは小さな失敗から、そしてどんどん暴走していく信者達。上下巻で大ボリュームにもかかわらず一気読みできます。とにかくどこまで行くのかどこにたどり着くのか、その先に何が残るのか、どきどきします。

著者プロフィール

篠田節子 (しのだ・せつこ)
1955年東京都生まれ。90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞しデビュー。97年『ゴサインタン‐神の座‐』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、2009年『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、11年『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、15年『インドクリスタル』で中央公論文芸賞、19年『鏡の背面』で吉川英治文学賞を受賞。ほかの著書に『夏の災厄』『弥勒』『田舎のポルシェ』『失われた岬』、エッセイ『介護のうしろから「がん」が来た!』など多数。20年紫綬褒章受章。

「2022年 『セカンドチャンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

篠田節子の作品

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