- Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103139614
感想・レビュー・書評
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登場人物が微妙に重なったりする連作短編集。
「Re-born はじまりの一歩 」という本の短編で宮下さんを知り
スコーレNO.4を読んでやっぱり好きだと思い、この本も読んでみる。
日常に佇む(潜むというより佇むと言いたい)繊細な感情をとても
うまく表現できる作家さんだと思う。
どの短編も結論があるわけではないんだけど、これからへと続く
爽快感というかここから始まる、良いことが始まるんだっていう
気持ちのよい読後感が絶妙に表現されていてとても好きだった。
また新刊が出たのでそちらも読んでみたい。
これから注目したい作家さんだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
暗いけど読みやすい短編集。
人それぞれに、幸せを感じる何かがあり、
どんな事でも見くびらず、丁寧に毎日を過ごしていきたいとおもった。
この作者は、ことばにしにくい事や、感情を描くのが本当に上手い。 -
いやー切ないすね。よかとですよ。
なごみ系でした☆ -
どの小説も優しく,そして美しいです。
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宮下奈都さん、はじめて読みました
よかったです
人の心の中を描くのがうまいんだな、と思いました
気付かなければ気付かなくてもいいようなつながりのあるお話たち -
少しずつ重なり合う12編の短編集なのですが、始めの数編を読むと、タイトルの素晴らしさにおののきます。
宮下さんの『スコーレno.4』を読んですっかりファンになってしまったのですが、本作を読んでますますその度合いが深まりました。
いやぁもう!ひとつひとつが秀作!!
特に大好きなのが「アンデスの声」ですかね。
小さな世界しかしらなかったと思われた老夫婦の、そのワールドワイドな思い出。私、この年になって初めてベリカードって言葉を知りました。
あとは「どこにでも猫がいる」に感じる時間の流れとか、「うなぎを追いかけた男」の中にある、わからないものへの想いとか、読んでいて不思議と心地よくなるお話が好みでしたね。
あ、あとところどころに登場する、台湾のお医者さんが気になりました。
私もいっぺん見てもらいたいわぁ。 -
ほんの少し心をほどけば、私たちはいつだってどこにだって行ける。 終わらない毎日に奇跡のようにおとずれる、小さな「気づき」の瞬間…。看護婦、OL、大学生、母親など、普通の人たちがひっそりと語り出す。ページをめくるたび、頑張っているあの人の顔がうかぶ。ごぶさたしている人に手紙を出そうと思う。
“ささやかだけど特別な12の物語
その本は、あなたの小さな応援団が見つかるかも -
12の短編集でした。
よその国や住んでいる場所とは離れた場所のことが少しずつ含まれているということで「遠くの声に耳を澄ませて」なんだと思います。このタイトルの短編はありませんでした。
全て読むと登場人物が少しずつかぶっていて、短編なのに前の方に出てきた「あの人」のその後がちょっと分かったりします。
サクッとサラッと読めて、気軽に読みました。
普段元気な登場人物がちょっと精神的に弱っていて寂しい気持ちになっている時に、ふと遠くの人の温かさに触れるというお話が多かったかな。
私は後半の「ミルクティー」という話で涙が出ました。
「コーヒーってこれからのための飲み物なんじゃないかな」
「じゃあ紅茶はどうなの、何のための飲み物なの」
「紅茶は、どちらかというと、振り返るための飲み物なんじゃないかなぁ。何かをひとつ終えた後に、それをゆっくり楽しむのが紅茶」
という表現がものすごく気に入りました。
そしてそれを聞いた女性が仕事に失敗して落ち込んでいる同僚を元気付けたくて、人生初のミルクティーをいれてあげるシーンで涙が出ました。
あーー、私もミルクティー大好きだけど、もっと飲み物も一杯一杯を大事にしたいなーって思いました。
食べ物もそうだけれど、美味しい飲み物も心が弱っている人をほんの少し元気付ける元になってくれると信じます。
あと「どこにでも猫がいる」という話で思い出したことがありました。
モロッコ旅行に行った時、レストランの中に猫がたくさんいて、みんな平気な顔をしていたので私も夫も「なんでレストランの中に猫がいるの? それでいいの? みんな平気なの??」という意味でモロッコ人に「なんで猫がいるのでしょう?」と(英語で)聞いたら「あっちのドアから入ってきたからじゃないかな」とニコニコ笑顔で答えられたのを思い出しました。
モロッコではレストランの中に猫がいるのが当たり前なんですね。
日本の常識を当てはめちゃいけませんね。
あはははは。 -
元気よく暮らしていた祖父が突然倒れたと聞き、母と病院へ急ぐ瑞穂。幸い命に別状はないものの、ナースステーションのそばの病室で一回り小さく見える祖父の姿に、瑞穂は悲しい気持ちを抱くのだった。
生まれ育った土地を殆ど出ることもなく、1年じゅう休むことなく働き続けた祖父母。懐かしい景色にふれながら、瑞穂は祖父母と暮らした幼いころを思い出す。一面にれんげの咲く田んぼや、祖父が語ってくれた空想の街「キト」
しかし、ベッドで祖父がもらした一言で、瑞穂は「キト」が実在することを知り…(『アンデスの声』ほか11編)
宮下奈都さんの短編集です。自分の心の動きを見過ごすことなく、丁寧に見つめる宮下さんの姿勢がどの物語にも表れていて、短編なのにキラキラとした感じがあふれていました。1話1話に余韻があるので、サクサク読むのは何だかもったいない感じです。
物語は何気ない日常、「旅」という雑誌に掲載されたらしく、読んでいるとふっと何もかも置いて出かけたくなるような物語です。びっくりしたのは、途中から、「あれ!この人知ってる」…物語の登場人物が微妙にリンクしているのです。しかも、意図的ではなく、すごく自然な感じで…。あれれ、ここにも、あっ、これもそう!…ととめどなく…。
個人的には『どこにでも猫がいる』と『ミルクティー』が好きでした。しかし、一番気になるのは、「台湾のお医者さん」です。
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旅をテーマにした12編の短編が収められている。なぜか一つだけ男性視点だが、他はすべて女性が語りの物語。文章はどれも、かなり綺麗で読んでいて気持ちがいい。内容も女臭くなく、さらりとしていて好感が持てた。