遠くの声に耳を澄ませて

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103139614

感想・レビュー・書評

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  • 人と人との繋がりを、優しく伝えてくれた。
    心が暖かくなりました。

  • なんだかあまり入ってこない・・
    自分好みの、ちょっとずつ登場人物が重なる短編集なのだが。不思議オーラを感じる。

  • 短編集。
    なんだか読んでいると幸せな気分になる。と、誰かが書いていたのを見て、気になって読んでみた。

    最初の一編を読んで、あ、なんか暖かい感じが広がるかも。と、思った。
    二編目を読んで、あ、こんな時もあるし、この最後の気持ちわかるなーと思った。
    三編目を読んだときは、途中まで、なんだよ、こいつら。。と思っていたが、最後にすとーんときて、暖かい心地よさが広がった。

    そんな感じの短編集。
    そして、読み進めると、ある線に気付く。
    それに気づいた時、「遠くの声に耳を澄ませて」の意味が分かった気がした。

    自分は、「アンデスの声」「どこにでも猫がいる」「うなぎを追いかけた男」「部屋から始まった」「ミルクティー」「夕焼けの犬」が好きかな。

    全編前向き。
    でも、主人公にも読者にも前向きになることを押し付けてはいない前向きさ。
    どこか、スルメを噛んでいるかのような充足感かもしれない。
    何処にでも、誰にでも必ずある遠くの声。。

    アンデスの声
    転がる小石
    どこにでも猫がいる
    秋の転校生
    うなぎを追いかけた男
    部屋から始まった
    初めての雪
    足の速いおじさん
    クックブックの五日間
    ミルクティー
    白い足袋
    夕焼けの犬

  • 旅先や出張先で誰かを思い出したり、過去の旅行の思い出を振り返ったり、二度と戻れない世界に旅立った人を想ったりする短編集。

    --------------------------------------

    ひとつひとつの話が短くて、たくさんの人と出会ったけど長く話す時間はなかった、そんな感覚だった。
    もっと登場人物たちに愛着が生じるくらいそれぞれの話が長ければ、彼らの関係図が頭のなかに作れたと思うけどほとんどすれ違っただけだった。短編って難しいな。

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    旅先でそこにいない人のことを想うこと。自分にも経験がある。
    中学の修学旅行で京都に行った時はただただふざけながら京都を見学してきたにすぎなかった。高校の修学旅行で二年ぶりに京都を訪れた際は、二年前のことを思い出して中学で一緒だったみんなは元気かなと思ったりした。大学四年でまたしても京都を巡ったときには色んな感情が駆け巡った。ここに書くようなことじゃないから書かないけど、時間を置いて同じ場所を旅するのはなかなかにセンチメンタルな行為でいいと思っている。旅情、というやつだ。

    もう何年も京都には行っていない。いま、京都駅の大きな階段を見たらどんな気持ちになるんだろう。京都タワーの下にある銭湯はまだ古臭いんだろうか。
    ラーメン二郎京都店にも行きたいし、天下一品の本店にも行きたい。

  • 表題となってる「遠くの声に耳を澄ませて」という一節が出てくる冒頭の「アンデスの声」がものすごく良かった。朝の電車で涙が出た。

    慎ましく、ただただ真面目に生きてきた祖父母がかつてふたりで耳を傾け、手で触れた遠い異国からの便り。そのときの驚きと喜び。なんだかふたりのことが目に見えるようだった。

    とても良かった。

    それ以外の話は、まあまあ、かな。

    一緒に暮らしていた人が遠くに旅立ってしまった女性の話「どこにでも猫がいる」、甘ったれたお嬢さんが料理研究家になる人生の岐路を語る「クックブックの五日間」がすきだった。

  • こういうリアルだけど少し希望もあるような小さな作品集って読んでいて良いね(((^-^)))
    特に登場人物たちが少しずつ繋がっているのが好き。
    その人の人生に広がりが見えるから、なおさら本が面白くなる!

  • 短編集。
    各編,最後の一言にぐっとくる。

  • 1話完結だけど、繋がっている話。
    この登場人物は先の話に出てきた人だ!と、
    繋がりが面白い小説でした。

  • 「旅」を絡ませた短編集。12編の物語が綴られている。私は「アンデスのの声」が好きだ。高齢の主人公の祖父母が話していた「キト」という街が、祖父母にとっての空想の街であると思い込んでいたが、実は実際に存在した街。祖父母は実際の旅行をすることはなかったが、ラジオから聞こえてくるエクアドルの放送とそこから送られてくるベリカード。これにより祖父母は豊かな「旅」を経験していた。また祖父母がカードのために受信確認の便りをエクアドルに送っていたという驚きもある。
    私は初めて「ベリカード」という者があることを知った。なかなか凝った内容だ。
    この作品集は「旅」のいろいろな形と「物語」を教えてくれる。

  • どの登場人物も、何かの壁にぶつかっている。
    でも、何かの拍子に、何かに気づく。
    遠くから聞こえてくる声に。
    そして、前へと進んでいく。

    起伏はないけど、しみじみと「ああ、なんかよかったな」と思える読後感。悪くない。

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著者プロフィール

1967年、福井県生まれ。上智大学文学部哲学科卒業。2004年、第3子妊娠中に書いた初めての小説『静かな雨』が、文學界新人賞佳作に入選。07年、長編小説『スコーレNo.4』がロングセラーに。13年4月から1年間、北海道トムラウシに家族で移住し、その体験を『神さまたちの遊ぶ庭』に綴る。16年、『羊と鋼の森』が本屋大賞を受賞。ほかに『太陽のパスタ、豆のスープ』『誰かが足りない』『つぼみ』など。

「2018年 『とりあえずウミガメのスープを仕込もう。   』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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