ツナグ

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103283218

感想・レビュー・書評

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  • 都市伝説のように語りつがれる、使者、ツナグ。
    一生に一度、死んだ人に一人だけ会うことができる。
    死んだ人は、呼び出されたら、一度だけ、生きている人と話すことができる。
    その仲介をするのが、ツナグと呼ばれる使者。

    連作短編で、依頼者目線の物語と、(新米)使者自身の物語が収録。

  • 既に映画化されているこの本。
    評判が良かったので、図書館で借りてみましたが
    評判通り、とても素晴らしい作品でした。

    いくつかのお話が続きながら
    終盤で全てをまとめる文才は素晴らしく、一気に物語に引き込まれました。
    中でも畠田靖彦が母親に会いに行った話。
    その母親が、初孫を見せるため、亡くなった夫に会いに行った事。
    そしてそれらを全て理解した靖彦。
    自分にも息子がいるからか、感情移入をしてしまい、涙が溢れました。

    死者と生者をつなぐ「使者(ツナグ)」。
    そんな存在がある訳はないと思いながらも
    この本を読み終わった後、きっと誰しも考えるであろう
    『私だったら、誰に逢いたいかな?』を真剣に考えてしまいました。
    今の私だったら…
    きっとまだ使わずに取っておくだろうな。

    映画化されるのも納得!
    映画ではどのように表現されているのか観てみたいです。

    今回、初めて辻村深月さんの作品を読みましたが
    文章の構成、情景描写、全てが私好みで、とても読みやすかったです。
    辻村さんの他の作品を読んでみたいと思います。

  • 5話から成る連作短編集。
    カテゴリは迷った末ファンタジーにしちゃったんだけど
    実際に使者がいても違和感がないくらいのリアルさがある。

    人間ってホントにひとりひとり違うんだなぁ、と思わされた最初の4編。
    救われたねぇ、よかったねぇと胸を撫で下ろす結末が殆どの中にあって
    ひとつだけ哀しかったのが『親友の心得』。
    最終章を読むと何故そういう結末になったのか判るんだけど
    それでもやっぱりこの結末は双方にとって酷だなと。
    どっちが悪い、という話では無いので尚更。

    4話までで終わっても特に問題はないのかもしれないけど
    最後の『使者の心得』で縺れて絡まった糸が解けたような気がした。
    後の章に行くに従って使者の印象に直接かかわる描写が増えていき
    最終章に使者の視点を持ってくることで
    それまでの4編の印象を補完してくれているような感覚だった。
    安堵感も、遣り切れない思いも。
    巧いな、というか、まんまとしてやられた、というか(爆)。

    以前『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』を読んだときは
    個人的にはあまりにも生々しくてキツイ思いをしたものだが
    今回はいろんな人の視点があることで安心して読めた。
    ファンタジーだったのもよかったかも。

  • 辻村さんが大好きで、このお話も楽しんで読みました。
    ツナグに会えたらどうするだろう?
    今はまだ使えないなと考えながら読みました。

  • 使者と書いてツナグ。死んだ人と合わせてくれる使者。生者は一生に一回、一人の死者とのみ会える。死者も1回しか生者に会えない。

    短編の連作形式で、アイドルに会う人、母親に会う人、事故で死んだ友達に会う人、失踪した婚約者に会う人、の話が続く。それぞれ、丁寧に背景や心情が語られていく。特に3話目、4話目は生者と死者の間に強烈な葛藤があり、読んでいて人間の感情が恐ろしくもあり、せつなくもなる。

    そして5話は使者自体の話となる。高校生が使者になっていく過程が、1話から4話までの舞台裏を語りながら進んでいくが、この章こそが本作の中心であり、前の4つの話はその導入であったとわかる。
    最後に、高校生の両親の謎が解き明かされ驚かされる。

    単なるオカルトの話にならず、人と人との関係にある大きな感情のやりとりを丹念に描写した傑作と思う。

  • めっちゃ泣いたわー。

    前に、ビジネス書なんて読まないけど、小説ばかり読んでいる、という人がいた。
    確かにビジネス書で小手先の技術を学ぶことはできるかもしれないけれど、本質の部分を学ぶのであれば、小説のほうがいちばん適しているかも。SNSやなんだって、人間性が見られる時代ですし。

    誰かに事例を紹介したり、説得力を増すために使うのであればいいけれど、人としてのあり方を見つめ直すなら小説がいい。

    辻村さんの小説は、人の持つ弱さやもろさを的確に表現する一方で、アッと思わせるギミックが満載で、とにかくものすごく好きです。

  • 親友の話が好き。映画も見ました。

  • 死者―つなぐ―

    死んだ人とまた会うという話しは、きっと限りがあるからどうにも切なくて苦手。そういうのって間違いなく引きづってしまうから。この本も一度気になったものの読めずにいました。先輩が「よかったよ」と貸してくれたので読んでみることに。。。

    結果、小気味いい感じを抱いて読める本でした。
    何人かの事例から、いろんな事を考えさせられました。

    生前のままの死者と再会できるたった一度のチャンス、そして短い時間。その時間はとても濃密で神秘的で現実的でもありました。もう一度会ってよかったのか、よくなかったのか。

    ・アイドルの心得
    ・長男の心得
    ・親友の心得
    ・待ち人の心得

    ここまでは生きている残された人からの視点とした流れ。

    そして、読みながら気になっていた死者側との接点と使者(ツナグ)の役割りなどが含まれているラスト。

    ・使者の心得

    うまい構成だと思いました。それぞれの立場から訴えかけてくる心得。生きているからこそ自分で変えられる事もできる有難みを痛感した作品でした。

  • 図書館で借りた本。

    亡くなった人に、一晩だけ会わせてくれる使者。

    この発想が面白いと思った。
    これを基盤に、自分だったら誰に会いたいか、また、呼び出してくれる人はいるのか!?
    自分が作者だったら、どんなストーリーを書くか。
    この話の中でも、はしょられている部分にはどんなやり取りや、感情があったのか!?

    などなど。
    たくさん想像して楽しめるストーリーでした。

  • 死者と生者が会うことができる。4組のストーリーが描かれていて、それぞれの再会が切なすぎる。最後は死者と正者を会わせる仲介役の少年目線で描かれていて、それまでの話しが色々と繋がって面白かった。

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著者プロフィール

1980年山梨県生まれ。2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。11年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、12年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、18年『かがみの孤城』で第15回本屋大賞を受賞。『ふちなしのかがみ』『きのうの影ふみ』『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』『本日は大安なり』『オーダーメイド殺人クラブ』『噛みあわない会話と、ある過去について』『傲慢と善良』『琥珀の夏』『闇祓』『レジェンドアニメ!』など著書多数。

「2023年 『この夏の星を見る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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