- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103288213
作品紹介・あらすじ
VAIO、スゴ録。大ヒット商品を次々生み出した男は、なぜ愛してやまないソニーを去ったのか-。その後、グーグルの日本法人社長を務めた著者が振り返るソニーでの22年間とグーグルでの3年間。興奮と共感のビジネス戦記。
感想・レビュー・書評
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ソニー在職中にVAIOのデスクトップパソコンとテレビレコーダーの「スゴ録」とヒット商品を開発。ソニーを退職しては、グーグルの日本法人社長に就任。そんな華々しい著者の経歴を書籍化。
ソニー時代の著者はよく働き、実績を残したけど、喧嘩もするし、失敗した事業もある。言うなれば、喜怒哀楽のあるビジネスマン。だけど、グーグル時代は具体的な実績がなく、部下を発奮し、教育する管理職に終始。
著者は退職直前のソニーを批判するけど、ソニー社員の頃の方が読み物としてはおもしろい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
著者のソニーでの22年間、
グーグルでの3年間の半生を綴った本。
ソニーではカンパニーの社長まで上り詰めたものの、
事業を成功に導く度に
会社からはその事業を奪い取られたり、潰されたりする。。
そんなちょっと不遇の人生を送ってきた著者が
それでも好きなソニーのために会社を変えようと
努力する姿がカッコいいです。
一方、中々変わらない会社に対してはやや批判的。。
ある程度は仕方ないとはいえ、
家電の細かい技術や内容、製品については、
理解が及ばないところがありましたが、
そんなところは分からなくても、
充分に楽しめる本です。
ガジェット好きなら、より理解が深まるのではないでしょうか。
自分が高校生とかのときとかは、
ソニー全盛期だったと思うのですが、
そんな時に既にソニー崩壊の兆しはあったんだなぁ。。 -
ソニーでカンパニープレジデント、グーグルで日本法人社長のキャリアを積んできた辻野氏の書き下ろし。
前半ソニーでのキャリアのくだりは、どん底から始めて這い上がり、また谷底に落とされて這い上がり、また落とされて・・・とジェットコースター状態。ソニーを愛し、ソニーをつくりあげた盛田氏をはじめとする旧経営陣が持っていた「ソニー魂」を体現しようと奮闘する姿が描かれる。そのモーレツさゆえ、2チャンネルに「辻野ってどうよ?」というスレッドまで立ち上がり、社員としか思えないほど、内情がわからないと書けない内容ばかりで、大いにショックだが、逆に開き直ったということ。スゴイ人だと思うが、ついていく人は大変だったと思う。
そして、ソニーという会社が巨大化して、もはや成熟から衰退の域に入ったことを感じさせる。このあたりは本当に愛あり、恨みあり、様々な感情を込めて書かれており、人間臭さをうかがえる。
それに対して、後半のグーグルに入社した後のくだり。HPにも載っているグーグルがみつけた「10の事実」をはじめ、クラウド・コンピューティングの世界を自分達が創っているんだという企業のカラーなど、グーグルの素晴らしさがこれでもかと書かれているが、22年間つとめたソニーに対して3年間という短さで退社したこともあり、感情はあまり感じられなかった。これからの会社、ということや、立場もあり、自重しているのか?と感じられるほど。ただ、引用として参考にできる部分は、ほぼこの後半に集中していた。
今後、5年間でIT環境が大きく変わることを予感させる。その大きな変化に抗うことなく、その波にのり、積極的に自分を変えていくことが生き残る唯一の道だなぁと、覚悟をした一冊であった。 -
グーグル日本法人前社長 辻野氏が、ソニーでの22年間とグーグルでの3年間を振りかえった一冊。著者の経験上、ソニーとグーグルの例で語ってはいるが、日米の企業比較論と受け取ることができる。また、自分の身の回りのことに置き換えて考えることもでき、非常に面白いタイトルである。
◆著者が辞める直前に感じたソニーの状況
・競争原理が切り替わっていることに気が付いていない:ネットワークとの連携による付加価値の追求を考える時代に、デバイスを中心に考えている
・ガバナンスの不在:外に向かって闘っているときに内側から背中を撃たれる
・プライドのなさ:プライドでいくら儲かると思ってんだ?と押し問答する上司
著者が辞める直前に感じたソニーの状況には、今の日本を象徴するかのような記述が並ぶ。この視点での「ソニーが教えてくれた」こととは、ソニーを反面教師として捉えており、皮肉交じりの意味がこめられている。しかし、本書にはもう一つのソニーが登場する。古き良き時代のソニーである。
◆著者が感じた古き良き時代のソニー
・人がやらないことをやる、ということを社是として自身に満ち溢れていた
・自由闊達な社風
・海外からの不当な圧力や理不尽なルールに対して、一歩も譲らなかった基本姿勢
・単なる一企業の思惑やルールを遥かに超え、ソニー以外の企業にも大きなビジネスチャンスを生み出した。
・生意気だけが取り柄のような自分を背後で救済してくれる度量の大きさ
・「上司にやめろと言われたくらいでやめるようなら最初からやるな」というカルチャー
この視点からの「ソニーが教えてくれたこと」は、文字通りの意味で使われている。古き良き時代のソニーが、今のグーグルに決して劣らないカルチャーを持っていことを熱く語っており、引いては日本全体を鼓舞するような内容になっている。
著者は「現在価値を守る」仕事にばかりに注力し「将来価値を生み出す」仕事を伴わない企業は衰退していくと主張する。そして、今まさに「現在価値を守る」としか思えない業務に従事されているビジネスマンも多いのではないかと思う。だが、著者の言葉を短絡的に捉え、会社が悪い、環境が悪いと、周囲に問題を押しつけるのはやめた方が良さそうである。著者が取り組んできたことは、目の前の「現在価値を守る仕事」を「将来価値を生み出す仕事」に変革してきたことに、ほかならないからだ。
答えは、意外と自分の身の回り、もしくは我々自身の中にあるのかもしれない。 -
グーグル日本法人の社長といえば「村上憲郎」のイメージだが、村上さんの後を引き継いだのが本書の著者である辻野晃一郎氏だった。
タイトルからすれば、ソニーの素晴らしいカルチャーはグーグルでもそのまま生きた、かのように思えるが、実際はソニー時代の旧態依然としたカルチャーを自分がどのように打破して、そして最終的には見切りをつけてグーグルに入ったら、そこはソニー時代に考えていたことをみんなが考えている理想郷だった、というような形である。正しくタイトルをつけるなら「ソニー時代に苦労した思想は、グーグルでは当たり前だった」ぐらいか。
ただ、実際に実務をわたりあるいてグーグル社長になった人のことばは、重い。p242あたりで、今の日本経済がうまくいかなくなった理由を考察しているが非常に的を射ている。曰く、オフライン時代には製品の完璧さが求められており日本人の品質管理が成功したが、今のオンライン時代にはスピードが最重要であり、瑕疵があってもオンライン上で直すことできるため、品質を完璧にするよりもまず走り出さないといけないとのこと。そこに日本人の消費者としてのカルチャーも加わって、グローバルではなかなか勝ち抜けなくなっているのだろう。
それと個人的にスマッシュヒットだったのは、p104あたりの「上司にやめろと言われてもやめるな」の下り。最近の自分の状況を省みて、こういうスタンスはほんとに大事なだなと痛感しました。
やはり、本は良い。 -
近年の挑戦的な商品の裏に辻野さんが常にいたという。数年置きに挑戦的な商品が各部門から出ていたのはそういうことか。 挑戦的なことを自分もやってみたいけど、逃げるか倒れるかのどっちかだなw
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SONYとGoogleの内情がよく分かる本だった。
カリスマ性のあるSONYも、やはりどの日本企業も抱えているような問題があることを知り、少し残念だった。
改めて思ったのが、SONY創業者の一人、盛田昭夫さんの偉大さだ。盛田さんの功績をよく知らなかったのだが、アメリカでのユニタリータックスの廃止や、ベータマックス開発時の著作権侵害の訴訟など、SONYだけでなく業界の発展のために、一歩もひかず戦われたというのはすごいことだと思う。
辻野さんの夢は、SONYとGoogleの良さを併せ持った会社を作ることだそうだ。私もそんな会社に勤務できるような人材になりたい。 -
著者の半生記。タイトルはつり。特にGoogleとSONYの関連性はない。
SONYのグチャグチャとした内実が描かれていて興味深い。立て直すのは相当大変だ。 -
SONYを愛するが故の叱咤激励、そしてかつての光を失ったSONYへの哀しさ、悔しさが滲み出ています。
AppleやGoogleの話も会社の中からの目線で書かれておりとても面白かった。
内容はやや繋がりが分かりにくく、文章もプロの文ではなく、逆に自分で気持ちをこめて書いたのがよく解った。
幻の名機コクーンの思い入れもとてもよく伝わりました。元ユーザーとして嬉しいです。 -
■グーグル的
①ただ誰かにやれと言われたことをそのままやるな。命令されたことをやりたいなら海兵隊にでも行くがいい。
②グーグルでは原則的にすべてがハンズオン(自ら動く)であった。それだけでも日本の通常の大企業とは違う。立場が上になるほど、秘書や部下に細かい作業を任せるのは日本の企業スタイルとは逆である。
③Great just isn't good enough.
④人間は、あまりにも忙しすぎると、自分がやっている仕事の本質的な意味を忘れてしまう傾向がある。目先のスケジュールを守ることが優先されて、目標それ自体の意味を考えなくなる。
⑤人生はたった一度しかない。自分の人生は、人に操られるよりも、できるだけ自分でコントロールするほうがいいに決まっている。