- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103316510
作品紹介・あらすじ
自分には、愛される価値がない。ずっとそう思ってきた39歳の紫麻。恋の最初の光が差し込む瞬間をあざやかに描く長編。
感想・レビュー・書評
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木村さんの作品は二作目。
前回読んだ「夜の隅のアトリエ」が重苦しい雰囲気を持っている読む人を選びそうな作品だっただけに、軽く衝撃。
ずいぶんとライトタッチ。
だってタイトルが「春待ち海岸カルナヴァル」だもの。
カルナヴァルはカーニバルの事。いかにも楽しそうじゃないか。
おそらく南伊豆辺りを舞台にしたカルナヴァルという名のホテルが舞台。
サンドイッチや瓶入りオレンジジュースをバスケットに入れて提供される朝食が美味しそうで。
このバスケットを海岸まで持って行ってカモメに盗まれそうになりながら食べるなんて、なんて素敵。
姪っ子が妖精を信じて毎晩牛乳をそっと軒下に忍ばせる下りや、幻のジャズトランペッターの話、夫との思い出とともにホテルを訪れる夫人の話。
出てくるエピソードがどれもほんわかしていて癒される。
ホテルを営む姉妹のやりとりに、女同士ってこうだよね~と共感したり。
もちろん本筋の主人公の心の葛藤もリアルだし、淡い恋の行方も気になった。
実際にあったら泊まりに行きたいと思わせるホテルと、魅力的な人々。
海に向かう電車の中で読みたい本です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
妹とともに海岸沿いのホテルを切り盛りする主人公・紫麻。
ホテルを出入りする人々との心の交流や家族との関係、そして淡い恋などの日常を描く。
現実のビターがちゃんと存在していて、でも重くなりすぎず明るい余韻を持たせた終わり方に好感。
木村紅美さんの著作を読むのはこれで二冊目。
結構好きかも。 -
ラストで劇的に主人公によい事が訪れた訳ではない、ところがよかった。
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じれったい恋愛です。
もう代わりに告白しちゃいたい!
でも、恋が実ってもそれはそれで悩みが多そうだよ。
母親の作ったバレエシューズを誰彼構わず配るって…どんだけマザコン。
ちょっと怖いし。
海辺でバスケットに入った朝ごはん食べてみたくなりました。 -
2018年3月2日
装画/山下アキ
装幀/新潮社装幀室 -
表紙が可愛い。
つまらなくはないけど、中々進まず読み終えるのに時間がかかった。
バスケットに入った朝食を海辺で食べるのに憧れる。
杏里の性格がチョット苦手。 -
可愛らしい装丁に惹かれて手に取った読者は、きっと読みながら主人公のキャラクタとのギャップに違和感を覚えたんじゃないでしょうか。私はそうでした←
父親がある日突然亡くなり、母親も調子を崩したため、ホテル・カルナヴァルをイケイケ()な妹とその娘と共にやりくりしなければならなくなった主人公、紫麻。
40歳を目前にして独り身の彼女は、ある日、外出先で出会った男性に惹かれ、彼の訪問を心待ちにするようになるが…。
私は彼のことが好きみたいだ、好きなんだ、って自分に言い聞かせるとこでは完全にシンパシー感じた(笑)。ネガポジどっちの意味でも、そういう時ってあるよねー(笑)。三十路の女が何ヲトメなこと言ってんねんって感じですねすんません(笑)。
内気な人、と帯でも書かれている通り、ナイーブな主人公の静かな生活がメインに描かれています。そんな彼女の恋の顛末も、ドラマチックな展開は見せません。ものすごい生々しいよ特に結論(笑)。
でも、そんな主人公、内気というより、世界が狭いの方が表現として適当じゃないかしらとちょっと辛い目で見てしまいました。将来の自分の片鱗を見たような気がしたからこそ、少しの苛立ちを交えて、そう思ったのかもしれません。
心地よいぬるま湯に浸かるのは快適だけど、どうして一歩、外に踏み出そうと思わなかったの?
という主人公への問いかけは、私自身に返ってくる言葉でもあります。
い…痛い…←←自業自得 -
アラフォーで未婚の主人公、紫麻。
そんな彼女の平凡な日々とちょっとの刺激。
海辺のホテルというロケーションに
過去の恋愛が垣間見えたり、ちょっと新たな恋の欠片が舞い込んできたり。
シチュエーションは楽しそうなのに、なんだかずっとくすんだ色の日々が描かれた小説。
進みもせず、戻れもせず、ただその日その日を歩いているような主人公。
共感はまず無かったし、こういうのも良いなとも思わなかったけれど、
流れている静かな時は好きだな。 -
ホテルを切り盛りする主人公。ペンションを思わせる素敵な演出にワクワクしながらも、当人の妄想と現実の狭間で揺れる恋愛がもどかしすぎ。
文章が非常に読みにくかった。
文脈から時の流れがぷっつりと途切れたりするところが何カ所もあって
頭の中で整理しながら
何度も読み返すのが億劫だった。 -
読むのが苦痛で、ずいぶんと時間がかかってしまった。
内向的でネガティブで成長しない主人公の、ネタにもならない後悔や妬み嫉み、妄想に塗れた日常を見せ続けられるのがしんどかった。
だめんずと、それを好きになる女の話。
宿泊代を勝手に肩代わりするとか……。
もしこの作品がだめんずウォーカーの女を表現したい物語だとしたらいいんだろうけど、それにしては茅野さんが中途半端。
再読はない。