手のひらの京

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103326236

感想・レビュー・書評

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  • 京都に住んでいる人にとってはたまらない作品なんだろう。行間から地元愛に溢れてくるのがひしひしと。馴染みのない私でも郷愁を存分に感じられたのがとてもとてもよかった。
    三姉妹それぞれに色々とあったけれどついつい親目線で見守るように読んでしまった。

  • 京都に住む三姉妹 綾香、羽依(うい)、凛(りん)に日常生活の中に出てくるエピソードを、彼女らを優しく見守る両親のさりげない行動も含めて、軽快に進行する物語だ.凛は大学院生、京都を出て東京に就職したいが... 綾香は長女らしくおっとりした感じで羽依の紹介で宮尾との付き合いが始まる.羽依は会社勤めだが、彼女の話が一番面白かった.バーベキューでの女性たちのマウンティング.お局さんたちへの厳しい発言、前原への威嚇攻撃等々、楽しめた.祇園祭、大文字焼き、初詣などの描写で地元の人が感じる京都の雰囲気が感じられる点もよかった.

  • 京都に住む三姉妹の日常の物語。
    長女の綾香、次女の、三女の凛。それぞれの悩みや成長を京都という、古くておっとりした街の雰囲気と共に描かれている。
    京都独特の雰囲気や文化のなかで、姉妹が成長していく姿が興味深い。東京を舞台にしたらやっぱり違う感じになるだろうと思う。

  • 京都で生まれ育つって大変なことなの。
    京都に住み続けるのもいろいろと大変だし、京都人ってほんっとねちっこくて難しいのよ。

    ・・・ってことが表現したかったのかな?
    すみません、よくわからない小説でした。

    『細雪』と聞いたので楽しみに読んだのですが、谷崎のは「斜陽」「滅びの美学」。こちらはなにがテーマ?

    京都の四季の風景は読んでいて楽しかったです。

  • う~ん、普通。著者っぽくない作品。所々秀逸な表現はあるものの、ぞくぞくポイントもほぼなく、あっさり終わってしまった。物足りない...。

  • 京都の姉妹の物語は、どうしても「細雪」と比べられてしまうけれど、この物語はそんな気負いもなく、東京以外の地方に住む3姉妹ならあり得るだろう屈託や不安、希望や喜びが素直に描かれている。

    大好きな故郷ではあるけれど、このままこの街に埋もれて一生を終えてしまうかもしれない不安に怯える三女の凛。
    地元の不満をその都度小出しに表明することでガス抜きをして、なんだかんだと地元好きな次女の羽依。
    故郷の良いところも悪いところもそのまま受け入れ、自然に故郷で生きていく長女の綾香。

    京都という町に対するぞれぞれの思いは、個人差であるかもしれないけれど、一人の人間の年齢的故郷感のようにも思える。

    私は3人姉弟の一番上だけど、一番共感できたのは末っ子の凛だ。
    私も家から出たいとずっと思っていた。
    結婚するまでそれは敵わなかったけれど、本当は進学して札幌じゃない街で暮らしたかった。
    そうじゃないと一生親の目の届くところにいて、このまま朽ち果てるんじゃないかと怖かった。時もあった。

    今から思うとなんでそこまで思い詰めていたのかわからないけど、家にいるのは楽な半面、窮屈でしょうがなかった。

    凜がいつか京都に戻る時が来るのか、それとも故郷への思いを吹っ切って東京に根差すのかはわからないけれど、一度親の反対をも覚悟しながら決めたことなのだから、それはドロドロねばりつくような後悔にはならないだろうと思う。

  • 生まれてからずっと京都で暮らし続ける三姉妹のお話。「やっぱり猫が好き」や「海街diary」もそうだけれど、やっぱり姉妹ものはいいな。

    長女の綾香お姉ちゃんとは、職業や性格が自分にリンクしていたので、自然と投影して読んでいた。三十路を超えて彼氏もおらず独身であることに焦りを感じ始めている彼女。自分ものんびりしてたらあっという間に30になっちゃうし頑張らなきゃ、、!と読んでて焦りが出た。まったく他人事とは思えなかった。

    姉妹たちの京都での暮らしぶりが実にリアルだったので、作者は京都に住んでたことがあるのか?と思ったら、出身が京都府なんですね。

    京都の人って単にプライドが高いイメージだったけど、この本を読んで、京都人には京都人なりの地元への感じ方があるのかも、と思った。京都から出たくても出られなかった凛のように。

  • 京都を舞台に、三姉妹が自らの生き様に悩みながらも大人の階段を上って行く。悩める若い子向けかと思いきや、京都という町に根付くどこか霊的でおごそかな空気がよく描かれていて、そこは万人が楽しめるのでは。

  • 低い山々に囲まれた盆地を俯瞰すると、日本の歴史の中心を担ってきた京の都が意外と小さい。思い出も愛も憎しみも手のひらでそっと掬い上げられてしまう。小さな街の3人姉妹の小さな決意。どこにでもありそうな光景だが、それぞれの決意には壁を乗り越えた自信と力が漲っており、激しく勇気付けられる。秀逸な出だしにのっけから酔わされストーリーの面白さも相俟って一気読み。最後まで勢いは削がれることなく楽しませてくれた。生まれてくるパワーを存分に満喫できた。

  • 登場人物の女性達の可愛らしさ、京都のゾッとするような魅力、家族の煩わしさ、それ以上の安心感。色んな描写から小説が輝いてて、満足感の高い一冊

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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