手のひらの京

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103326236

感想・レビュー・書評

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  • 京都を舞台にした三姉妹と家族の物語。
    三姉妹それぞれが、結婚とか仕事の人間関係とか、生まれ育った街を離れることとかで、悩みながら、前向きに生きていくお話です。
    登場人物の性格とか関係性とか、とてもリアルにかけていて、興味深く読めました。

  • 「こら、お客さんに安いお肉を出すなんて失礼でしょう」
    「安いは言いすぎた、普通のお肉を科学の力ですごく柔らかくしました。どうぞ召し上がれ」

    『私を嫌いな人もいれば、好きな人もいる。みんなに好かれるなんて無理。当たり前のことなのに、ときどき憔悴するほど傷ついてしまうのは、自惚れがあるせいだろうか。』

    『宮尾とのデートなどんなものだったか測りかねていた綾香だったが、楽しい時間だったと書いてあるのを見た途端にうれしい気持ちが湧いて、そうだ、私も確かに楽しかった、滅多にないほど幸せな一日だった、私もまたご一緒してみたいです。と、メッセージに向かって何度も頷いた。』

    「待たれへん。待ったら、私のなかの大切ななにかが死ぬ気がする」

    「どういうのがいい男なの?」
    「ちゃんと働けるとか周りの人と仲良くできるとかの人生の基礎がしっかりしてる上で、正確に致命的なひねくれや歪みがない奴や。この基本を満たしてるのを一番の条件にして、そのあと自分の好みを加味してから男を選び。間違っても自分の好みだけで選んだらあかんで。」

    『二人で裸になって至近距離で見つめ合っていると、邪魔なものなど何も入ってこない。ベッドの上だけが内の世界、あとはすべて外の世界だ。』

    『最後にもう一回、と彼の顔が遠慮がちに近づいてきたとき、綾香は自分のすべてを預ける心地で安心しきって目を閉じた。』

    『「自分で選んだ道や」
    声に出して呟いてみると、思ったほど厳しい言葉ではなく、どんな言葉よりも自分を励ます言葉に聞こえた。そうや、自分で選んだ道や。』

    『とはいえ、できれば人生の楽しい、優雅な面だけ見て生きてゆきたい。難しいときこそ、楽観的に。そう思うことは弱虫じゃない。生きるためにひらひら舞いながら踊り続けたい。』

  • 久しぶりの綿矢さん、すごく良かった。
    やっぱり好きだわ.鴨川べりの表現の仕方なんて好みです。
    京都独特の因習など、住み慣れた家から飛び出して行く末っ子のたくましさ。
    子供時代の自分と重ねたり、家から出て行った子どもと重ねたり、しみじみ読みました

  • 神戸の人にとって京都は近いのに遠い。
    私にとって京都はずっとそういう場所だ。

    やや東に住むようになって
    以前より時間をかけずに行けるというのに
    やっぱり遠い場所だ。

    自分の子ども達は毎日通っているというのに、
    そういう場所だ。

    その京都に住む3姉妹のお話。

    同じ親から生まれて、
    同じように育てられたのに三者三様。
    姉妹って面白いなぁ。

    京都に住むって感じがちょっとだけ味わえるかな。
    まぁ、でも、
    いつまでもお客さんなんやろねぇ。

    私の元上司で京女なのに京都嫌いの人がいますが、
    あれはあれで、屈折した地元愛だよなぁ。
    そんな彼女が私は嫌い。オイオイ。

    感想になってないな、素敵な作品でした、ホントだよ。

  • 今年はまったく小説が読めていません。
    そんななかで綿矢先生はとても好きであり。タイミング的にも車整備の待ち時間に読めてしまいました。

    3姉妹の話。
    ウチの娘達と10歳くらい年齢が違う設定ですね。そんなこと思いながら読んでいました。
    内側でなく外側から、お年頃の娘達のあれやこれやを覗いている感覚でした。
    おもしろかったです。

  • 20170813読了
    #京都府

  • 読みやすく、うまく纏まってた。さすが綿矢さん、という感じ。

  • 小説としてはよく出来ているんだと思う。でも、因習のきつさが匂い立って、現代版細雪も、あんまり面白くなかった。

    手の中にいるうちは愛想が良いけれど枠からはみ出たら、とたんに居場所がなくなる。そういう関西の佇まい。

    夫はほしくないけど子供は欲しい、という感覚も、私にはわからないし。

    思えば帰郷しないで東京で定住してしまったのは、そこらへんが嫌だったからだと思い至る。

    なんとなく湿り気のある感じの人間関係を書いてるのが嫌で、長女の綾香が宮尾さんという男性とファーストデートするところで、ため息をついて本を閉じ、返却することにしてしまった。

    蹴りたい背中の時も、上手なのに合わなくて読了を逃し、中断してしまった。

    京都を舞台の三姉妹のお話で評判もいいから、最後のページまで読んだら面白いのかもしれない。

    でも、何かがダメという。息苦しい。
    読むのをすごく楽しみにしていたから残念だった。そして…やはりこんなに評価が良いのに、自分だけ嫌いなのはなぁぜ?って思ったので…お風呂入ってさっぱりしてから読了してみました。

    うん。ヒロインたちが鬱屈してる辺りだったので、生々しくって嫌だったんですね。

    お正月のお重や着物の着付けや、渡月橋の辺りの寒さ。おばんざい屋さんの様子。私達が、ああ、京都らしいと落ち着く風物が上手に散りばめられ。

    結婚出産がゴールの女も、本音はそうだけど、痛い目にあってしばらく頑張らなきゃならないOLさんも、仕事を機に東京に出る院生さんも、姉妹。家族という枠と、積み重ねた愛情に結ばれて、いずれ手のひらで遊んでいたお猿さんのように、ふっくりと家と京都に帰っていくんだろうな。そして、今度はそこからもう出ないんだろうな。

    仲いいのね、この家族は…と、まずは幸福感のある結末になっていました。

    まずますは上手な小説で、私は京都が舞台なら、いっそ瀬戸内晴美氏の『京まんだら』や山村美紗氏のミステリを採りますが、確かにオーソドックスな上手なお話なので彼女たちに共感できるならお勧めします。

    ですので、好みは分かれますが☆2から☆3へ
    変更しておきます。

    読み手の私の方が、ぐったりしていてあまり良い評価を付けられなかっただけかなと推察しますので。

  • 綿矢さんの作品は何冊か読んでいますが、この作品が一番しっくり来て面白かったです。直前に三浦しをんさんの作品を読んでいて、同じような雰囲気ですが、綿矢さんらしさが出ています。

  • 「色白でちょっと四角い大福顏」がきれいなのか
    想像できない

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著者プロフィール

小説家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

綿矢りさの作品

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