手のひらの音符

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著者 : 藤岡陽子
  • 新潮社 (2014年1月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103348719

手のひらの音符の感想・レビュー・書評

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  • もうね~すごく良かったです。

    誰しも心の奥にひっそりと生き続けている人、いますよね。
    どんな大人になっているのかな~と、ときおり思い出したりしてね。

    水樹と信也の絆。 憲吾のせつない恋。 信也と悠人の兄弟愛。
    すべて良かったです。

    子供時代の話もとても好き。
    夢中で走ったリレー、相手から目をそらさないで走るドッジボールの練習。
    たがいに支え合い励まし合って、ひたむきに努力する姿の美しさ。
    そして、信也の自転車のサドルの秘密…。
    あ~なんてやさしい子なんだろう。

    最後のレースの場面は鳥肌が立つくらい感動的!
    もう無理…と、つい弱音を口にすることの多い自分が恥ずかしい。

    自分の信じるものを手のひらにそっと握りしめ、
    あきらめないで生きていたら願いは届く。
    そんなふうに思える勇気をもらえました。

  • デザイナーの水樹は、自社が服飾業から撤退することを知らされる。45歳独身、何より愛してきた仕事なのに……。途方に暮れる水樹のもとに中高の同級生・憲吾から、恩師の入院を知らせる電話が。お見舞いへと帰省する最中、懐かしい記憶が甦る。幼馴染の三兄弟、とりわけ、思い合っていた信也のこと。〈あの頃〉が、水樹に新たな力を与えてくれる――。


    初読み作家さんでした。

    ここに出てくる誰もが、それぞれに悩みや苦労をかかえているけれど、
    なぜだか幸せに感じてしまうのは、
    人に対する思いやりや愛情がしっかり描かれているからだろうか。

    他の作品も読んでみたくなるような、
    とてもいい作品でした。

  • 2015キノベス13位

    大切な人たちからもらった本物の愛情は、一生消えずに生きる力になる。あきらめそう、へこたれそうになった時、もう一度立ち上がる力になる。」著者がこの本に込めた思いを知った時に涙が止まらなかった。私はこの思いをたくさんの人に届けられる書店員でありたい。【小泉真規子・梅田本店】

    「一人の女性のうねりのある半世紀」といったテーマが出発点だとインタビューで書かれているのを目にしたこの作品。
    激動のといえなくもない内容だが、不思議と親近感や親しみを覚えてしまう登場人物達。それは、誰しも主人公であるということなのかもしれない。そう感じてしまうように登場人物達のそれぞれの生きてきた時間に思いを馳せたくなる。

    バブル期の浮き沈みの中で翻弄される女性の物語とも、一人の人を思い続ける恋愛小説とも、色んな読み方ができると思う。個人的には、男3人、一番下は少し皆と違う弟をもつ兄弟愛にほろほろ泣けてきてしまった。理屈じゃなく誰かを大事に思う気持ち。守ろうとする強さ。でも悠人は守られているだけではない。そんな理屈を超えた絆のようなものにほろほろ涙が出てしまう。

    ー人はそれぞれ自分の闘い方がある

    みんなそれぞれ一生懸命で。ぎりぎりで生きている。
    でも決してひとりぼっちではない。
    そんな力強さを感じる1冊。

    2014年 新潮社 カバー写真:山本菜那

  • 読み終えた瞬間、あぁ〜と、目をつぶり、
    幸せな気分に満たされた。
    言葉選びもやさしいけれど、ストンストンと
    あたためるようにつもっていく。珠玉の言葉がたくさん。

    人と関わるということは、こんなに心を温めて、
    切ないけれど、甘くて、嬉しいものだったなぁ
    と、ただ、ただ、幸福な想いになった。

    心が疲れたとき、また読みたい一冊となった。

  • 服飾デザイナーの水樹が務める会社が、服飾部門を廃止することとなった。
    大好きなデザインの仕事、この先の自分の身の振り方を考えながら、水樹が思い出すのは、団地暮らしの貧しかった昔のことだった。

    予備知識なしのまま手にした本でしたが、とっても良かったです。
    水樹の過去の話が、少しずつ明かされてく様子に引き込まれ、夢中になりました。

    水樹と一緒に成長していった三兄弟と、同級生の憲吾、遠子先生、みんな純粋で暖かい。
    辛いシーンが多かった過去ですが、それぞれの暖かさに救われました。

    著者の本、いいですね。他もまた読もうと思います。

  • ★4.5

    服飾デザイナー瀬尾水樹45歳。独身。
    水樹の勤める服飾メーカーは大手ではない。
    16年前の29歳の時に極限までコストを抑え、かつ大量に売れるものを作り続ける事に疲弊し、
    国内の生産にこだわり、品質にこだわる。
    良いものを創れば必ずお客様に伝わる。そう信念をもってやってきたこの会社に転職した。
    順調に仕事を続けてきたはずだった。
    しかし、ここにき限界をきたした。
    社長から服飾業界から撤退すると告げられる。
    今後の身の振り方に悩む水樹のもとに一本の電話が入る。
    高校の同級生の憲吾からで、恩師の遠子先生が体を悪くして入院している。
    それをきっかけに再会した所、憲吾は地元京都で西陣織の再起を図ろうとしていた…。

    人生の岐路で思い出すのは、貧しい子供時代の事だった。
    現在の水樹と過去の水樹…思い出が交互に登場するんだけど、
    特に子供時代の様子は、決して恵まれているとは言えない瀬尾一家と森嶋一家。
    同じ団地に暮らす水樹と森嶋一家の三兄弟・正浩・信也・悠人。
    二つの家族が互いを思いやり、助け合い色んな苦労はあるんだけど真摯に生きてる。
    多感な思春期の少年少女の心情や行動が繊細な描写でまっすぐに届いて来る。
    表現が美しく自然で、景色や情景や気配までが、目に浮かぶ様でした。
    心にグングン染み入りました。
    森嶋兄弟の凄い兄弟愛も良かったなぁ。
    信也の優しさや強さも凄く良かった。

    それぞれ、事情があり苦労も沢山してるけど、それでも前向きに生きる姿が眩しかった。
    とっても良かったです(❁´ `❁) ♡
    物語全体に流れる空気感もとっても良かったです♪

  • 読みながら何度も何度も熱い思いで胸がいっぱいに。
    読み終わってからも、こんなにも全力で誰かを思い続けたことが、あっただろうかと、自問し続けている。
    早く大人になりたい、早く一人で生きていきたい、誰も自分を知らないどこかに行きたい。
    そんな思いを抱いていた思春期の私のそばに、信也のような誰かがいてくれたら、何かが変わっていたかもしれない。
    一生懸命生きることが恥ずかしくて、斜に構え、強がることで本当の気持ちを隠していた、あの頃の自分に、この一冊を届けたい。かたくなに心を閉ざし触れるもの全てを傷つけていたあの頃の自分に、この一冊を届けたい。
    そして、言ってやりたい。「もっとゆっくりと歳を取っていけばいいんだ」と。

  • 純粋でまっすぐに自分の信じた道に向かって生きている人が身近にいるからお互いに襟を正して生きていられる、そんな感じがした。後悔しない生き方のお手本のようにも思える。初読みの作家だが他の作品も読んでみたいと思う。

  •  一気読みしたんですが、それで終わってしまうのがもったいなくて、再読しました。
     瀬尾水樹は服飾メーカーに勤めるデサイナー。
    そこの仕事に満足して、頑張っていた。
    しかし、そこの国内産に拘る丁寧な仕事は、海外での工場生産をメインにした、低価格の大量生産に負けてしまい、服飾業界からの撤退を示唆される。
     その後の進路について悩む水樹。
    そんな水樹に、高校の同級生から電話があり、自分の今の仕事を選ばせてくれた、高校の恩師が病気で入院しているとの知らせ。
     ぞの先生のお見舞いに行ったところから、以前の自宅近くに行き、いろいろな思い出を思い出す。
     その中の一番忘れられない大切な一家。
    森嶋家の三兄弟。
    大人になれなかった正浩。大好きな信也。そして、変わった子どもだった悠人。
     さまざまな思いが丁寧に描かれていて、心に染み入る感じが良かった。
    もういい大人になってから、夢をかなえる信也や悠人が素敵だったし、希望を感じさせるラストも良かった。

  • 語り手である水樹は高校の同級生、憲吾から恩師の入院を知らされ、お見舞いの為、故郷で再会。そこから幼い頃からの思い出が水樹の目線で語られていく。水樹をはじめ、水樹にとって大切な幼馴染みの信也と2人の兄弟や憲吾は決して幸せな子供時代ではなく、子供には背負いきれない悲しみを背負いつつ、優しく強く成長する様が、とても丁寧に描かれていて、思う存分、作品の世界に浸って読む事が出来ました。それぞれの現在も新たな局面を迎えていますが、幼い頃に培ってきた優しさや強さでなんでも乗り越えて行けるはず…!とても印象深い作品。

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