手のひらの音符

著者 :
  • 新潮社
4.10
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本棚登録 : 671
感想 : 99
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103348719

感想・レビュー・書評

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  • あぁ、良かった…最後全てが報われたと涙がにじみました。苦しくて悔しいことの多かった子供時代。大切な人との別れ。大人になっても苦労が多くて、でも逆境の中で時間はかかれど自分の幸せを手繰り寄せていく姿は本当に素敵でした。人にはそれぞれの戦いかたがある。与えられたステージで、与えられた能力の中で戦うということを考えました。逃げてもいい、相手を見ながら逃げるドッジボールの練習シーンが頭の中に鮮やかに浮かび上がってきました。

  • 好きな仕事を、一生懸命やってきて突然の事業撤退
    いままでの自分、仕事、人生、全てを否定された気持ち
    ひとりで生きていること、苦しい気持ちが身につまされる
    子供のころのいじめ、幼なじみたちとのこと
    どうしても自分のことと重ねてよんでしまい
    胸が苦しく悲しく、でも懐かしくやさしい気持ちになる
    こういう小説だったんだ… 読み終わってしばらく呆然でした

    「これまでどんなふうにして、自分は立ち直ってきたのだろう。
    辛いことや悲しいことが起こった時、どんなふうに?」
    「これまで一生会えなくなると確信しての別れは、
    この世にどれくらいあるのだろう。
    人はいつだって、知らない間に一生のさよならをしている」
    「いや、ほんとうにだめだなって。
    おれの周りにいる人間の大多数が
    日本はだめだと思ってるということが、だめだ」

    読み終わって、少し落ち着いてからこれを書いていますが
    勇気というか、明るさといか、大切なものをもらった小説だと思います

  • 良かった!1日で一気に読んだ。こんなのは久しぶりだろう。
    現在と過去を交互に書いているが混乱は起きない。登場人物が魅力的で感情移入もしやすい、読後感も非常に良い。
    幼い頃〜10代のいくつもの出来事の描写が胸に痛いぐらい響く。あるシーンが特に!
    信也が魅力的なので、水樹に感情移入し、共に追いかけ、最後まで一気に読ませる。
    ひたむき。頑張れ。私も頑張ろう。

  • 自分の夢を叶えるのは、強い意志さえ持っていれば、年など関係なく挑戦することだと思った。
    高校担任の先生が、もっと自分の事を親身に考えてくれる人がだったら、人生変わっていたかも!
    何て人のせいにしてはいけないな!
    この本は、よく過去の話と今の話が交互に出てくるが、違和感なくすんなり読めた。
    好きな作家の一人になり、他の本も読もうと思う。

  • 団地で過ごした貧しい子供時代。バブル時代を経験し、今、懸命に生きる人々を描いた感動作。自分も同じ年代、しかも子供時代の空気感が、本当に共感できた。貧しかったけど、近所のみんなとよく遊んだなあ。やっぱり幸せだったんだな。いま思えば。登場人物たちが語る言葉の一つ一つが、胸の奥に突き刺さり、途中から涙が止まらなかった。最高!!

  • 初読み作家、書き下ろし長編。バブル期から現在までを服飾デザイナーとして仕事に生きてきた主人公・水樹、自分自身の会社の部門撤退をきっかけに転職を考え、人生の岐路・選択肢を与えた恩師の病気の見舞いから、貧しい子ども時代を共に団地で過ごした幼なじみ達を思い出し振り返る…。虐められる弟を守る為虫を食べ、水樹がクラスでのけ者にされ自転車籠に塵芥を入れられ気落ちした時、サドルの無い自転車で現れた同級生信也。彼を忘れられない水樹。現在と過去の対比、サドルの行方など中盤から終盤長さを感じさせない感動作品でした。

  • 憲吾にシンクロ。自分の中学時代を思い出して、苦しかった気持ちが蘇った。
    憲吾ほど面倒をみていたわけじゃないけど、正常なときと、異常なときの違いに、まだ未熟な中学生は翻弄され苦しむのよね。
    そして行方がわからなくなった信也。
    これもシンクロ。身近の男友達がいつの間にか実家にいなくなってて、さっぱり音信不通。10年以上たって、連絡をつけようと試みたときの勇気やらドキドキやら、もうリアルに思い出してしまった。
    重くなんかない。めっちゃリアル。

  • すごい好き。
    『大事に思える好きな仕事』がどんなものなのか、夢や希望とはどんなものなのか。
    『家族を大切に想う』とはどんなものか。
    『めっちゃ好きな人』はどんなものか。
    とてもふわっと語ってくれる。

    それぞれの人生が、色んな経験を積んでキラキラ輝いているのがとっても素敵やった!!
    何回も読みたい。
    水樹の人生がもっとキラキラしますよぉに。

  • 主人公の水樹が昔を思い出しながら、迷いながら今を生きていくお話。

    憲吾の「諦めるって気持ちは周りに伝染するんだ。…」というセリフは今の自分にじわりと響いて、人と人との繋がりが気持ちを弱くしたり奮い立たせたりするよなと思った。

    水樹、信也、憲吾の3人とも理不尽な環境に囲まれながら、それでもいろんなものに支えられながら、もがき進んでいくのがかっこよかった。

    ☆4.0

  • 何度も涙して読みました。諦めないで強く生きてきた水樹や信也に感動しました。

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著者プロフィール

藤岡 陽子(ふじおか ようこ)
1971年、京都市生まれの小説家。同志社大学文学部卒業後、報知新聞社にスポーツ記者としての勤務を経て、タンザニア・ダルエスサラーム大学に留学。帰国後に塾講師や法律事務所勤務をしつつ、大阪文学学校に通い、小説を書き始める。この時期、慈恵看護専門学校を卒業し、看護師資格も取得している。
2006年「結い言」で第40回北日本文学賞選奨を受賞。2009年『いつまでも白い羽根』でデビュー。看護学校を舞台にした代表作、『いつまでも白い羽根』は2018年にテレビドラマ化された。

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