GE 世界基準の仕事術

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103353911

感想・レビュー・書評

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  •  大企業の人事制度はGEのそれの焼き直しかもしれない。そう思わせる内容であった。
     発明家トーマス・エジソンが設立した会社が紆余曲折を経て未だに存続しているだけでも驚きなのに毎年成長を続けている。その源泉がどこかを日本法人のCEOが一般の日本人にも分かる用に書き下したのが本書である。

  • 【この本から実践したいこと】
    ・クライシス時の準備と対応、姿勢
    ・「What do you think?」自分の頭で考え、自分の意見を持ち、堂々と披露する。
    ・一番強いものが生き残るわけではなく、変化できるものが生き残る。聖域を設けずに、その時代に合わせたビジネスを作っていき、それを積極的に実行していく。


    【感想】
    うちの会社ともとも関係が深い、医療機器業界の雄・GE社の本。
    少しタイトル詐欺で、内容の大半が仕事術ではなく、「GE」という会社・組織の紹介文だった。
    ただ、うちの会社でも重複・実践されているシステムも多く、個人的には読んでいて楽しめた。
    (正直、「人材育成」「自由度の高さ」「フラットな環境」等々はかなりマユツバもので、名前負けしているシステムを持っているだけ、あるいは外ヅラを良くするために言っているだけで活用されていないだろうと思うが・・・・まぁそれはいいだろう、どこもそんなもんだ。)

    読んでいて一番感心したのは、組織全体の変化の激しさ・サイクルの速さだろう。
    特にダメな事業の撤退スピードは冷徹とも言えるほどで、まさに容赦なく切り捨てていく。
    まぁこういった変化のスピード感は「The 外資企業」って感じだが、そのあたりがGEたる所以なのだろう。

    物語の9割はGEの会社紹介に尽きるのだが、最後の章は主語が「GE」ではないため、特に参考になった。
    「クライシスの対応」や「What do you think」というのは、ビジネスマンとして身に着けておきたい。
    ビジネススキルを高めつつ、自分の哲学や意見をしっかりとプレゼンできるようになりたい。


    【内容まとめ】
    1.一番強いものが生き残るわけではなく、変化できるものが生き残っていく。
    企業もダイナミックに変化していけることが大きな強みである。
    聖域を設けずに、その時代に合わせたビジネスを作っていき、それを積極的に実行していく。

    2.プロセスの強さ
    GEは何かをプロセス化していくこと、あるいはそれを改善していくことが極めて上手。
    プロセスマップにして書き出し、どこにどのくらいの時間が何故かかっているのかを、プロセス全体を洗い出して見直す。
    プロセスそのものを変えなければ、いくら努力目標を作ったとしても良くはならないからだ。

    3.ファシリテーター
    議論が拡散し過ぎないようにしたり、同じ議論がぐるぐると回らないようにしたり、与えられた時間枠の中でしっかりと結論に向かってしっかりと議論を納めていく必要がある。
    その舵取りのためにも、ファシリテーターの存在は必要。

    4.クライシスを乗り切るコツ
    すべてのクライシスには終わりがある。
    また、クライシスは何年かに一度は起こってくるものなので、それに対して備えをしておくこと。

    ・「客観性」と「人のケア」
    ・頻繁かつ丁寧なコミュニケーション
    ・慎重でありつつ、基本は楽天的に
    ・危機が去った後のプランを早期に検討→危機は、真の人材を発見するいい機会!!

    5.複数分野でのエキスパートには中々なれない
    自分のできることやできないこと、強み・弱みをしっかりと理解しておく。
    とにかく自分を知ること!そしてその中から自分の得意分野を作っていくこと!

    6.What do you think?
    自分の頭で考え、自分の意見を持ち、堂々と披露できるか?
    自分の信念や人生哲学から発する意見があるか?
    メディアや人の意見を鵜呑みにしていないか?



    【引用】
    120年の歴史を持ちながら、今なおアメリカを代表する企業であり続けるGE。
    一体どういうもので、どこがすごいのか?


    p24
    投資銀行は出来上がった人を採用する傾向があるので、全体として人材育成の意欲が強くない。


    p29
    ・GEの特徴
    1.「ストレッチアサインメント」
    とにかく人材育成にエネルギーを注いでいる。
    自分の部下たちが伸びてもっと仕事ができるようになり、成長して良いリーダーになっていくことが大きな目標。

    2.細かな縛りがない。
    自由度が高い。
    新しいことを思いついたら、それを自分で事業計画にして持って行ってOKなカルチャー。

    3.変化の激しさ
    事業売却や合併などは明確な理由のもとで頻繁に行われる。

    4.30万人もの社員を擁する企業でありながら、組織の階層は極めてシンプルで分かりやすい。


    p46
    ・プラスティック事業からの撤退
    原油価格高騰のため、インプットコストが高まってしまった。
    しかし、コモディティ製品であり競合他社も多いため、安易な値上げができない。
    そうしたビジネスをGEとしてやっていくのが難しいから撤退、という判断。

    例外なしに常に事業を見直していく。
    自分たちは技術的に優位であるのか?
    イノベーションを起こして行った時、そのリターンを取れるのか?
    冷徹に見極めていく。


    p54
    一番強いものが生き残るわけではなく、変化できるものが生き残っていく。
    企業もダイナミックに変化していけることが大きな強みである。
    聖域を設けずに、その時代に合わせたビジネスを作っていき、それを積極的に実行していく。


    p59
    ・GEのリーダーに必要な資質
    1.変化をドライブする。
    2.パフォーマンスを出す。
    3.インテグリティを守る。


    p78
    ・GEの「リーダーシップ」
    CEOだけじゃなく、また各拠点のトップだけではなく、社員全体が各々のリーダーシップを持っている。

    自分の責任範囲だけでなく、色々なことができる。
    誰かに「やれ」と言われなくても何かを思いつく。
    誰もやっていないことをやってみようと考える。
    頼まれなくても、必要だと思ったことには皆が手を挙げる。
    人を巻き込んで行く。


    p83
    ・GEリーダーのコンピテンシー
    1.リーダーシップスキル
    2.専門知識・能力
    3.ビジネス知識・能力
    4.グロースバリュー

    ・グロースバリューとは?
    1.外部思考
    →業界、市場、顧客ニーズなど、外部の動向を正しく把握しながらアクションを起こすこと。

    2.明確で分かりやすい思考
    →分析力とコミュニケーション。
    不確実な状況下でも知識と経験を活かして的確に物事を判断し、効果的に相手に伝達する能力。

    3.想像力と勇気
    →色々な新しいアイディアを思いつく力。

    4.包容力
    →多様性を積極的に受け入れ、異なる意見にも耳を傾け、周りを鼓舞し、チームワークを推進する力。

    5.専門性


    p131
    GEのリーダーがよく行うのが、自分の優秀な部下を積極的に売り込むこと。
    売り込まれている若手もどこかでそのことに気づき、ますますモチベーションが上がる。

    自分の下でずっと使おうとせず、多様な業務のアサインメントを受けて人材を育てる。


    p154
    ・プロセスの強さ
    GEは何かをプロセス化していくこと、あるいはそれを改善していくことが極めて上手。
    プロセスマップにして書き出し、どこにどのくらいの時間が何故かかっているのかを、プロセス全体を洗い出して見直す。
    プロセスそのものを変えなければ、いくら努力目標を作ったとしても良くはならないからだ。

    ・「改善に終わりなし」
    プロセス全体を見て、不必要なものや短縮できるもの、自動化できるものやアウトソーシングできるものなどをそれぞれ分けて、改善につなげていく。


    p159
    ・会議は2通りのパターン
    一つ目は「情報を拡散する」会議。
    みんな朝から晩まで一通も逃さずメールを見るのは難しいため、会議にて情報共有する必要がある。

    二つ目は、「議論をして物事を決めていく」会議。
    これは不可欠だが、効率には常に注意を払う必要がある。
    議論が拡散し過ぎないようにしたり、同じ議論がぐるぐると回らないようにしたり、与えられた時間枠の中でしっかりと結論に向かってしっかりと議論を納めていく必要がある。
    その舵取りのためにも、ファシリテーターの存在は必要。


    p189
    ・私のCEOとしての役割と責任
    1.「戦略」
    →将来の大きな方向性を決め、資源を配分し、全体のポートフォリオをマネージする。

    2.「実行」
    →すべての経営資源(人、情報、知識、資金)を活用して、経営目標を達成する。

    3.「基盤」
    →GEの文化、グロースバリュー、インテグリティ最優先を組織の隅々まで浸透させる。

    4.「ブランド」
    →日本の金融界・実業界に対して積極的にGEを代表し、インパクトを与える。

    5.「人材」
    →優秀な人を採用し、教育し、コーチし、評価し、元気付け、成長を助け、リーダーを育てる。


    p194
    ・計測可能な目標を設定し、KPIでトラックする。
    方向性が定まっても目標達成に向かっているかどうかは、計らなければ見えてこない。
    目標に対して何パーセントできているのか、遅れているのか進んでいるのか、その原因や対策をどうすればいいのか?


    p207
    ・クライシスを乗り切るコツ
    すべてのクライシスには終わりがある。
    また、クライシスは何年かに一度は起こってくるものなので、それに対して備えをしておくこと。

    ・「客観性」と「人のケア」
    ・頻繁かつ丁寧なコミュニケーション
    ・慎重でありつつ、基本は楽天的に
    ・危機が去った後のプランを早期に検討
    →危機は、真の人材を発見するいい機会!!


    p216
    ・複数分野でのエキスパートには中々なれない
    自分のできることやできないこと、強み・弱みをしっかりと理解しておく。
    とにかく自分を知ること!そしてその中から自分の得意分野を作っていくこと!


    p225
    ・What do you think?
    自分の頭で考え、自分の意見を持ち、堂々と披露できるか?
    自分の信念や人生哲学から発する意見があるか?
    メディアや人の意見を鵜呑みにしていないか?

    日本人は、ついつい人の意見をそのまま信じてしまう傾向にある。
    つまり、自分の頭で考える習慣がついていないということ。
    大切なことは、自分の頭で考えてどう思うかということ。
    自分なりの分析や建設的な懐疑心、いわゆる「クリティカルシンキング」は必要!!

  • GE。あのエジソンが作った会社。
    すごいな、とにかく組織を強くしようとする意識が徹底している。
    見習うところが、いっぱいあるなぁ、

  • 単なる会社紹介で終わっている本という印象であったが、終盤でこれをもとにどれだけ自分で考えられるか、自分の意見を持つことがどれだけ重要かの問いがあり、共感できる部分があった。

    本書は、GEの経営、リーダーシップのあり方、評価、人材育成、ユニークな仕組み、安渕さんの考えるトップのあり方が描かれれており、参考になる部分も多い。

    特に気になるのは評価制度。どの会社も悩むのが、評価方法について、客観的にみれば素晴らしいものの、ワークしていないのが実情。GEのグロースバリューと成果の両面で評価するという仕組みを、経営層、管理職がブレることなく実行に移せているのであれば、素晴らしいと思う。
    インプリメンテーションまで具体的に落とし込めている内容であればよかったが、そこにはあまり触れられていないのが残念。

  • GEでは一対一のコミュニケーションを極めて重視している。部下とどれだけ「一対一」でコミュニケーションが取れるか

  • グローバルに働くうえで必要なこと

    リーダーシップ
    勤勉さ

  • ソニーの出井伸之前会長が目指し、キャノンの御手洗社長が「理想の企業」として手本とし、サムスンが徹底模倣するゼネラルエレクトリック社の人事への仕掛けと人事制度。

    ・複数分野でのエキスパートには中々なれない。とにかく自分を知り、得意分野を話せるようにさせる
    ・プロセスの強さを大事にしている。結果を常に向上させるために、プロセスマップにして書き出し、どこにどのくらいの時間が何故かかっているのかを、プロセス全体を洗い出して見直すなどプロセス改善を当たり前化している。
    ・自分の信念や人生哲学から発する機会→アウトプットできるようにする
    ・リーダーのコンピテンシー「リーダーシップスキル」「専門知識・能力」「ビジネス知識・能力」「外部思考」
    ・GEのリーダーがよく行うのが、自分の優秀な部下を積極的に売り込むことこと。売り込まれている若手もどこかでそのことに気づき、ますますモチベーションが上がる

    〇CEOとしての役割と責任
    1.「戦略」→将来の大きな方向性を決め、資源を配分し、全体のポートフォリオをマネージする。
    2.「実行」→すべての経営資源(人、情報、知識、資金)を活用して、経営目標を達成する。
    3.「基盤」→文化を組織の隅々まで浸透させる。
    4.「ブランド」→積極的に世に登場して、インパクトを与える。
    5.「人材」→優秀な人を採用し、教育し、評価し、元気付け、成長を助け、リーダーを育てる。・社長がリーダー研修を行う

    ◯人事評価
    ・明確な基準になっているのが基本
    ・人材評価は2つの座標軸「業績50%」「グロースバリュー50%」
    ・グロースバリュー=GEの定める行動規範、価値観
    ・業績は本人の努力以外で左右されてしまう場合はあるが、バリューは意識して取り組めば達成できる
    ・バリューに取り組めば、業績も上がるはず
    ・マトリックス上、業績もバリューも評価されない左下ゾーンの人間は削減されていく
    ・グロースバリューを明確に掲げ、人事制度に落とし込んでいるのは、こういう人材を評価する!という象徴であり採用にも良い影響を与える
    ・グロースバリューは事業部ごとに明確にガイドラインを策定し、自己評価し、上司と話し合う。評価基準にもなるし、成長方針にもなる。
    ・バリューで図って育てれば、外部環境による商材変化やGEのような超他業種事業会社であっても一貫して活躍する人材育成ができる

  • speak upすること。

  • 仕事術というよりかは、自伝+GEの仕組みの紹介って感じ。

    外資系の中でもGE、P&G、ちょっとジャンルが違うけどマッキンゼーあたりは仕事術や、リーダーシップ的な面でトップ企業という印象

    GE自体は、HBRなどで良く紹介されるので、書いてある内容は概ね知っていたかな。こっちの方が読みやすいけど。

    GE、P&Gに規模や利益で匹敵、あるいは凌駕する大企業は他にもあるけれど、やはり別格という印象がある。
    露出の上手さもあるんだろうけど、経営が上手くて、安定感があるというところにあるのかなと。
    事実、2社とも安定的に成長しているし、社歴も凄く長い。もちろんトップはカリスマなんだろうけど、もしトップが突然倒れても、きちんと後継者がいるような安心感がある。なにせ、2社とも20年位かけて、経営者を内部育成するらしいので。

    で、そう書かれているというのもあるけれど、やはりそれぞれの仕組みがつながっていて合理的だなと思う。
    例えば、
    ・組織力で勝てるビジネスを選んでいる
    ⇒要は、10年単位でコツコツ仕組みと人材育成をしていけば勝てるような産業、重厚長大な
    ⇒かつ、原料価格の変動など、アンコントローラブルなものが少ない産業

    ・徹底的な標準化
    ⇒仕事のやり方はかなりツール化されている
    ⇒だから、どの国、どの事業でも共通言語で会話出来る
    ⇒つまり、グローバル化・ダイバーシティ化にも対応出来る

    ・足の長いビジネスだからこそ長期政権
    ⇒CEOは40代でなって、20年位やる
    ⇒そのためには、20代でから目をつけておく

    日本企業は生産周りは、非常に型化されている気がするけれど、GEはそれに加えて、ホワイトカラーの部分(思考や資料作成のフレーム)まで型化している感じ。もちろん、抽象的なレベルでの標準化になるので、使いこなす人間の力量は重要だろう。

    一方で、この本でも少し言及されているが、万人受けする会社ではない。
    リーダーシップとかない人間は辛いだろうし、
    グローバルで統制が効かしているから末端の自由度は低いようにも思う。評価基準に、退職勧告的なものもある。

    ちらっと、
    転職サイトのコメント欄を覗いてみると、そんなようなことが確かに書いてある。

    良い会社だけれども、
    精神的・肉体的にタフで、上昇意欲がないと、持たない会社なのだろう。

    個人的には、ビバリーヒルズに出てきそうなナイスガイがいそうな雰囲気があって、ちょっと居心地悪そうと感じてしまった。

  • 講演会の参加特典として入手。講演会を聞いているからかもしれないが、大半がGEがどういう会社かの紹介と感じる。

    GEについては他の書籍でも何度か読んだこともあり、素晴らしい会社というイメージなのだが、「どういう会社か」よりも「なぜそうできるのか、そうなったのか」を知りたい。

    最終章の「グローバルな舞台で活躍するために」は参考になった。

著者プロフィール

日本GE株式会社代表取締役、GEキャピタル社長兼CEO

「2015年 『GEの口ぐせ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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