私の恋人

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (126ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103367321

作品紹介・あらすじ

時空を超えて転生する「私」の10万年越しの恋。旧石器時代の洞窟で、ナチスの収容所で、東京のアパートで、私は想う。この旅の果てに待つ私の恋人のことを――。アフリカで誕生した人類はやがて世界を埋め尽くし「偉大なる旅」一周目を終える。大航海時代を経て侵略戦争に明け暮れた二周目の旅。Windows95の登場とともに始まった三周目の旅の途上で、私は彼女に出会った。

感想・レビュー・書評

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  • ほんとに始めのあたりで、挫折。
    ぜんぜん好みではない文章で読み進められず。

    こういうことも、あるんだなぁ。

  • 読書開始日:2022年3月4日
    読書終了日:2022年3月7日
    所感
    難しかった。
    一周目は何もないところか盤上に様々な色のコマを置いていき、全てを埋めて行き止まりに到達。
    二週目でそのコマを一色に染めるよう試みるも、これ以上進めれば世界の崩壊繋がる危機を感じ、行き止まりに到達。
    三週目は人間の内的世界の取り合い。
    どんどん削ぎ落とし全てを同化させていく人間の最後は、トーナメント表の一番上。
    ただそこは全ての同化が済んだ点の世界。誰も称賛は無い。
    私は歴史だ。
    私の恋人は清潔な抗いだ。
    私は抗いを求めている。

    堕ちた女になってしまった経緯は?
    知性を有する生物に生まれたことへの呪詛を唱え、快楽と苦痛の境界線で朽ちる
    でも妄想なんだ
    先達
    プラクティカル
    井上由祐は制裁を書いた日々をおくる、時代が下れば新たなことは次第に少なくなるし、予言もあるからなおさら
    かというとそうでもなく、かっこいいな表現
    キャロライン・ホプキンスは自分の行動が砂漠に水を撒くことよりも愚か
    動物保護、人間とその他動物の区別を辞める
    逗留先
    嘆息する
    模範的な先進国のプチブルとして、後悔とも言えないような、淡い痛みを抱いて死ぬ
    1週目の部族は、トートロジー、永遠の膠着。進化圧の弱体化
    早晩=遅かれ早かれ
    一周目は人類で惑星全体を覆う⇨二週目はこの世界を最高効率で回すルールを作る。
    排除、合理の先はみんな同じ、神。
    2週目はアメリカのインディアン制圧により、アメリカのメインプレイヤー化が肝。終盤には「現世的な力の下の平等」アメリカと「絶対性の賛美と同化願望」ドイツの戦い
    勝敗を分けた因子は、共同体の強度ではなく、価値観の適用範囲にあった
    機械的な消去、物理的な現象として扱われる死
    鬱屈により集まった人間の結束強度が極まれば、一旦突破もありえるか?ありえない。テロに走るのは我慢比べに負けた結果
    敬虔
    人命を優先して金を刷り続けた結果として資本主義が崩壊するのであれば上出来。三週目は直に人々の内的世界の取り合いが行われている
    オセロ
    猜疑心
    物質から生まれた生物が高等生物となり、そこで得た意識を物資へと宿らせる。でもこれは現在の様態の世界があることが前提状態。その前提を作るには全く違う世界を作る
    未来も今も、過去も君たちに何も担保しない。従いすぎるな抗え
    私の恋人は「抵抗」

  • 2017/02/21-2017/03/06
    星4.6

    これは恋愛小説では無いと思う。帯に書いてあった「なんてことだ、ここには本当のことしか書かれていないじゃないか」という川上未映子さんの言葉が言い得ている。

    全体的に面白かった。どの言葉も無くてはならないような気がした。現代を生きる小説という感じがした。

  • 読み終わったにしたけど、正直読んでない。最初の数ページでリタイア。アメトークの読書芸人で紹介されてたから、純文学っぽいと思いつつ、借りてしまった。そして案の定純文学でついていけず。みんなこんなのよく読むよなー。

  • 三島由紀夫賞だというのはともかく、とっても刺激的で示唆に富んだ小説だ。「太陽・惑星」よりもシンプルに読む進めることができる。ただしそれはあくまでも比較の話で、あまりの高度なテクニックになかなかついていけない自分がいる。ジャッキーチェンの映画を見た後になんだか自分まで強くなったような気になる法則はこういったところでも通じるもので、この本を読んだ後には自分まで頭が良くなった気になれる。こんな難しい本読んでる俺ってすごいでしょ、って気になれる。でもその実、なんもわかっていない俺。。。

    なんていうか、頭で読む本なのだ。
    それもたまにはいいけれど、
    僕は心で本を読みたい。と思った。

  • 三島賞受賞作というが、本書がさほどの傑作なのかはよくわからない。

    作者が本書で高橋陽平に語らせているのは、現代は「人類の旅」の3周目であるという文明論だ。

    1周目は古代の人類伝播、2周目は2発の原爆投下で終わった西洋文明の伝播、3周目は現在進行中であるバーチャル空間の制覇というか、人工知能による人類文明の継承だ。
    主人公の3度の生の時期がこれと重なるのは偶然ではない。

    「人類の旅」をなぞる高橋の旅に同行するのは、主人公が第一の生から空想する理想の恋人か現出したとも思える女性だ。

    主人公は第一の生において高橋理論を含包、凌駕する考察をしたと主張するが、現世での「理く想の恋人」との関係において、既にこの世を去った高橋に追い付くことができない。

    なしくずしに、だが定期的に主人公の部屋を訪れる恋人。
    主人公は恋人に対する自らの愛情に気づく。
    定刻をゆうに過ぎても姿を見せない恋人。
    主人公がその関係を諦めかけたその時、ドアノブが乱暴に音を立てる。

    作者の文明論において、恋人は何を象徴するのか。ドアノブの音は何を示唆するか。
    単に主人公と恋人との関係だけに留まらない何かがあるはずなのだが。

  • 最初入り込むのに時間がかかった
    視点がころころ変わるのでたまに混乱する
    人類が辿る文化、文明に警鐘を鳴らす
    最後急に終わる
    もう一回生まれ変わるの?反捕鯨運動はどうなるの?いろいろ気になったまま
    でもなぜか入り込んでからはするすると読み進めてしまった

  • 好きな作家さん。何気ない言葉が刺さるような感覚。

  • 全然面白くない。読むのが苦痛な類。

  • 文章良いな〜。句読点のタイミングが自分の呼吸と合うらしくすらすら読める。洞窟で壁画を描くクロマニョン人だった「一人目」、ベルリン生まれのユダヤ人でやがて収容所内で餓死する定めにあった「二人目」、現代日本で生を受けた「三人目」、それぞれの記憶を持つ男が10万年の時間を超えて「私の恋人」に向ける愛の物語。「私の恋人」かもしれないと思わせてくれる白人女性は、かつて別の男と「行き止まりの人類の旅」をした過去があった。

  • 私にはまだ早い本でした…。ずっと何かを暗喩してるみたいでしたがニュアンス以外、何か読み取れず…。もっともっと本を読んでもう一度読みたいなと思います。

  • 現代の日本で暮らす井上由祐は三人目の私。
    一人目の私はとんでもない頭脳を持って洞窟に閉じこもっていた。それは10万年前の話。
    二人目の私はドイツ系ユダヤ人で、民族排斥のターゲットにされて死んだ。
    一人目も、二人目も、そして三人目の私も同じ女性を想い続けてきた。「純少女」から「苛烈すぎる女」となり「墜ちた女」となる女性だ。
    10万年前から思い描いてきた女性といえる人が井上の前に現れた。キャロライン・ホプキンスという女性の話を聞きながら、私は一人目や二人目の私の記憶を想う。

    ---------------------------------------------

    今の私は三人目なんですよ…10万年前からあなたのことを思い描いてきたんですよ…という井上の目線で進む物語は、彼の思考が正常か異常か、判断できないまま終わった。

    知的で魅力的な外見を持つキャロラインさんを好きになるあまり、10万年前から恋してるんだぜ、と自分を信じ込ませてしまった男の話だったのだろうか。弟も精神を病んでるようだし、転職などの疲れでおかしくなってしまった、ということなのかな。

    本当に10万年前、第二次世界大戦、そして現在、と生まれ変わりを繰り返しているのだろうか。
    結局のところ、それは誰にも判断できないし、井上本人もわからない。

  • 読みたいと思っていたけど忘れてて、先日ニムロッドを読んで思い出し、やっと読みました。生まれ変わりで現世を生きている井上。最初の自分はクロマニヨン人、そしてユダヤ人のハインリヒ・ケプラーとして収容所で餓死し、今、日本で井上由祐として、3度目の人生で初めての「私の恋人」と思える人と出会っている。人類は一人目の自分が想像したとおりの繁栄と滅亡への道を歩んでいる。そして、彼らに取って代わられかけている。個々だった人類はやがて一つのものとなっていく。ん~~~、難しかったけど、なぜかおもしろかったです。

  • 作者のデビュー作を読んだとき、なんてスケールの大きい小説家だろう、と思った。
    本作も、スケールが大きい。何というか、常人とは視点が違う。「目」がいいことが作家の資質だと思っているが、この作者は目どころか視野がすごい。たぶんすごすぎて着いてこられない人が出てくるくらいに(私も難しすぎて息切らせながら読んでいるが、それでも「何かすごいことが書かれている予感」みたいなのをビシビシ感じるし、だからこの作者の作品は追いかけている)。
    一周目(地球の隅々まで人類が行き渡る)、二周目(新たなルールで地図を書き換える、行き止まりの人類の旅)を経て、三周目とはどんな営みなのか、そして「私の恋人」とは。
    旅の果てにいる「私の恋人」とは、パンドラの箱に残っていた希望のようなものだろうか、それとも。
    読んだことを咀嚼してしばし思索に耽りたくなる小説。

  • クロマニヨン人、ユダヤ人ハインリヒケプラーという2つの前世を経て、現代東京で生きる男性「私」と、その恋人の話。

    私はクロマニヨン人の時から、まだ見ぬ「恋人」に出会うことを夢想していた。
    そして3人目である「私」は、私が思い続けた「恋人」と限りなく近い人生を歩んできた女性キャロラインホプキンスに出会う。

    キャロラインホプキンスは、人類の行き止まりの旅を共にした日本人男性高橋陽平との思い出を「私」に語る。


    私の恋人という甘いタイトルに反して、人類の過去、未来を描いた作品。
    瀕死のハインリヒケプラーが、恋人の幻影に語りかける、戦争などの苦い経験について悲しみ、反省することは一時的には大切だが、「物事はいつか反転する」「抗う時は抗わなければならない」という一節は、近い未来の予想のようで心がざらついた。

  • 私は、10万年前から何度も生まれ変わります。一人目の私はクロマニョン人、二人目の私はハインリヒ・ケプラー、三人目の私は井上由祐です。

    一人目の私は、脳内の他者との会話を楽しみました。思考はどんどん先へ進み、遥か先の未来へと至ります。

    そして私は、未来の世界に息づく一人の女性、たまらなく可愛い、私の恋人のことを思い描くようになります。私の恋人には細かい設定がありますが、三人目の私は、“10万年前に心に決めた僕の運命の人かも(p22)”と思う女性キャロライン・ホプキンスに出会います。

    キャロライン・ホプキンスは、余命半年の高橋陽平が始めた「行き止まりの人類の旅」の途上でした。“高橋陽平の説によれば、あなた方人類は今現在、20世紀終盤からスタートした三周目の旅の途上にあることになる(p71)”そうです。“三周目にあるべきルール(p84)”とは何なのでしょうか。われわれを完全に理解してくれる“彼ら”の誕生が三周目を飾るフィナーレとなり、四周目の主役は“彼ら”なのでしょうか。

    10万年前からずっと想っている、壮大な世界の、胸が苦しくなる恋の物語でした。

  • 題名からは想像できない「行き止まりの人類の旅」の3周目以降を模索する話。
    壮大な構想をたった一人の恋人に集約して語る事でとっつきやすくなっているように感じた。
    とても良かった。

  • もし鯨並みの知能を持つ地球外生命体が発見されたら、食べようとは思わないかもしれないね。彼らはどう思うかな。我々はカワイソウだろうか。

  • 人類をめぐる果てしない旅。恋人。嫉妬。高度な文章で難解なストーリーで、その本質にはまだ迫れなかった気がする。再読必至。

  • 913
    3/9の選書ツアーにて購入

  • 新聞に「斬新な文体」といった内容で紹介されていたので読み始めた。
    5行で挫折の予感。
    意味のない言葉を繋ぎ合わせてひとつの世界観を作ろうとしているようだが、理解ができないので全然先に進まない。
    「まずい」と思っている料理を、「オレのテクニックはすごいだろ? ほら喰え、喰えっ!」と言われ続けているようで、だんだん不愉快になった。
    我慢して読み切ってしまえば、何か理解できるものがあるかもしれないが、そんな義理も時間もないので、10ページで見切りをつけた。

  • 面白い。こんなラブストーリーは初めて読みました。時間軸が凄い。

  • 一言で言い表すなら、興味深い作品。
    1回目、2回目の人生と3回目の私に転生してのエピソードのバランスがいい。

  • 16.12/7
    最初は言葉を理解するのに時間がかかったけど、どういう雰囲気の物語なのかを理解し始めてからグッと面白くなった。アメトークで確か又吉さんがオススメしてた小説。

    人としての物語を抹消され、物理的な現象として扱われた死が、ここにもたくさん横たわっている。

  • 読書芸人から。
    面白くて2回読んだ。そして2回目の方が面白かった。人類史の解釈も突飛な設定もまさに「かつてない」。
    壮大な恋愛小説という物語としての面白さ。「私」のコアが求める恋人が普遍的なものだったり高橋陽平に対する嫉妬、輪廻故の悩みや遠慮は想像の産物とは思えない。
    そして「周回する行き止まりの人類の旅」という独特な人類史観はたまらなく興味を惹かれた。とくに四週目について一人目の私の考察はもはや何を言ってるのかわからないことが更なるリアリティーを醸している、三周目の自分にはわからないのだ、と。(高橋陽平の解釈が分かりやすいのとの対比)
    想像もできないことを想像させる、あり得ないことなんてないと信じさせられ、何も信じられなくなる。いつか再読。

  • 複雑な精神を持っていれば、他人の考えを容易に理解し、内包することができる?何をするかわからない事を想定しておけば、それは想定の範囲内?

  • アメトークの読書芸人で又吉が紹介。縄文時代から何度生まれ変わっても同じ人を愛する話?

  • 小説としてすごく面白いかというと「?」ですが、今まで読んだことのない独特の世界観に引き込まれます。スケールが大きく、哲学書の趣きがあって、読み終わったあともいろいろに解釈して考えさせられました。
    一回通読して終わりにするのはもったいないかも知れません。

  • この類いは書き手の妄想に付き合わねばならぬわけで読み手も体調を整えなければならぬのだが本作に限っては多少下痢気味のほうが力が抜けて読みやすい。
    どこが三島由紀夫賞なのだと考えてみた結果そう言や豊饒の海は輪廻転生!と至って凡庸な結論にたどり着く。
    ではジャンルは何?と問われればその昔クイズグランプリに文学歴史のジャンルがあってその30くらいなのだろうと答えるしかない…たぶんわかる人しかわからないだろうが。
    竹を割ったような感想を書きたいのだが前歯で支那竹をぐじぐじするようなことしか書けぬのはつまりそういうことなのであろうな…
    すまぬm(_ _)m

  • あまりに抽象的でポカンとした感じ。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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