敗れども負けず

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 91
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103506423

作品紹介・あらすじ

この清々しいまでに惨めな負け様を見よ! どん底から立ち上がる敗戦の将たちを描く時代連作。奸臣を侍らせ、女色に耽っていた関東管領・上杉憲政は、最愛の息子を討たれ、城を追われる。すべてを失った男が、難民となった領民たちと共に見た景色とは――使命に目覚める者、伴侶を見つけた者、負けることでしか望みを叶えられなかった者。時代小説界の新鋭が、敗れた武将たちに芽生える不屈の闘志を描く人間賛歌。

感想・レビュー・書評

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  • 敗れた者側の短編集、ということで、勝手に戦国時代の物語かと思ったら、鎌倉、室町だった。個人的には、特に鎌倉時代はほんとに興味が持てないので、いまいち気分が盛り上がらず。でも物語自体はとても丁寧に書かれていて、時代背景がよく伝わってくる。

  • 敗者は歴史の構築に人生を賭けたからこそ、敗者となることができた、とはどこで読んだ言葉だったか。一字一句あっているわけでもないし、使う意味合いも違うかもしれないけども、敗北した人物の歴史小説を読むときに思い出す言葉です。矜持が感じられる言葉。

    「管領の馬」と「沖田畷」が、その意味合いでは好きな物語かな。「沖田畷」は特に好きです。敗北から学んだことを、後世に引き継ぐことの重要さ、かな教訓とするならば。
    板額御前の「越後の女傑」。バトルヒロインが好きなので、ただただ楽しい。無骨な与一とのラブロマンスとしてもいいです。「もう一人の源氏」に登場する北条政子も女傑と呼ばれる人物ですが、バトルの場が違うので物語の人物として好きではないのです。テンプレですが、怖いという印象が強いです北条政子。怖さは強さだけども。
    敗者には敗者の矜持があると思いつつも「春王と安王」のような物語には悲しみしか覚えない。この後、嘉吉の乱が起こったことを思えば、赤松満祐の最後の一押しになったのかもしれないけども。これは上手く読まされたということか。

  • 沖田畷、のみ読了。龍造寺隆信と料理、という導入から興味をひかれ。それが部下への歓待に向かわず、裏切者が厨房にいた場合にプレッシャーを与えるため。そして、ひとたび裏切り者がいると密告を受ければ、真偽を確かめもせず誅伐。恐怖心だけを与えて、次々と裏切られていくという様。それに気づき、諌めても、遠ざけられ歯がゆい思いをする鍋島信生が、最後まで龍造寺隆信を救えなかった様との対比。

  • 勝者の陰で戦国時代に敗れた武将にスポットを当てた物語

  • 日本人の潔さと至らなさが交錯するのが、何かに敗れた時という事。自分にとって敗れども負けないポイントは何だろう?

  • 短編集。
    ・上杉憲政
    ・板額御前
    ・鍋島信生
    ・結城合戦
    ・貞暁

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著者プロフィール

1978年群馬県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第十七回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』でデビュー。2015年『妖草師』シリーズが徳間文庫大賞を受賞。さらに同シリーズで「この時代小説がすごい2016」“文庫書き下ろし部門”第一位に。2022年『阿修羅草紙』で第24回大藪春彦賞を受賞。『吉野太平記』『忍びの森』「源平妖乱」シリーズなど、著書多数。

「2023年 『謀聖 尼子経久伝 雷雲の章』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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