ルビンの壺が割れた

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103511618

感想・レビュー・書評

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  • 「衝撃的!」「世界が変わる!」みたいな読者の声がカバーに書かれていて思わず買ってみたけど、それらは小説をあまり読んだことがない人の意見じゃないかと思いました。また煽り文句に騙されてしまった。読書初心者向け?

  • 改めて読み直すと、
    彼が洗礼をうけたのは真人間になるためではなくて、
    刑期を短くして仮出所を早めるためなのかとか、
    パソコンを利用しないのはITに疎いからではなくて、
    刑務所にいたために触ることができなかったからなのかとか、
    そもそも彼は胃がんという設定もウソだと思うんだな。
    互いに行間を読み進めながらの攻防で、
    双方の騙し合いなわけです。

    一馬側は優子に出会って殺し、
    次は美帆子の個人情報を確実につかんで復讐したい。
    美帆子側は相手の心意を読み取り、警察と相談したうえで、
    少しずつ相手の個人情報を手に入れ、
    証拠となる言質をとって
    証拠不十分で不起訴になった事件を立件して逮捕に導きたい、
    という本当の往復書簡の理由が根底にある。

    フェイスブックのメッセージのやりとりには
    表面的な文面だけが記されてはいるけど、
    それを書いている人の深層心理や背景までは読者にはわからない。
    往復メッセージの文面通りに、お互いが秘密を知りながら
    過去の話に呑気に花を咲かせていたわけではない、
    と読み取った。

    最後の一文は彼女の本音が表されている、
    ということで太字になっているんだろう。
    文体を変えるのはさすがにどうかと思うけど。

  • 叙述トリックと見せかけて、叙述トリックではなく、さらにミステリーと見せかけて、ミステリーではない。

    基本的に事実が徐々に明らかになっていくストーリー調なので、ノンジャンル、もしくは軽いホラーという形になるのかもしれない。

    読者としては次第に明らかになっていくことを追っていくだけなので、物語が気にいるかどうかなんだけど、いくらfacebookに文字制限がないと言ってもちょっと長文すぎて違和感を感じてしまったり。

    ただ、facebookでのやり取りから最後の展開までの手法は斬新なので、そこは楽しく読み進めることができた。

  • めっちゃ薄い本なので、サクッと読めた!
    SNSで紹介されていて気になっていたところ、古本屋で見つけて購入。

    驚きの最後ではあるけれど、思っていたのとは違った!
    メッセージのやり取りで進んでいくストーリーですが、序盤は初恋を懐かしむようなメッセージだったのに、徐々に不穏な感じに…
    いや、最初からなんか胡散臭い感じかな。

    私的ハラハラドキドキワクワクはあまりなかったけど、面白かった。

  • うわっ。みなさん酷評だなぁ。。。(^_^;)

    あっという間に読めて、そこそこ釘付けにされて、結末が気になって、えーー!?そっちかよーーー!!!って思って(笑)

    うわっ。
    黒っ!って思ったり。

    結構楽しめたけどなぁ~。

    もう一発パンチをくらっても良かったかもしれないけど、私は十分満足(*^^*)

    ラスコリーニコフは色々な作品に引用されるなぁ。読んでおいて良かった(*^^*)

  • ブクログ、意外な結末の本の一冊。

    フェイスブックで偶然発見した女性へ元彼からメッセージが届く。
    二人は大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した仲だった。
    メールのやり取りで、彼らの間に何があったのかが明らかになっていく。

    こんな波瀾万丈な学生時代ある?っていうくらい事件が頻発で、え?え?と戸惑っている間に話がすすんでいく。
    割と早めに行間からなんとなくラストが読めてしまうんだけど、とにかく、2人とも濃いわー。
    そして、ラストの一行はもうちょっとなんとかならなかったのかなー。後味が悪い。

  • 読みながら、あれっ、この人のここら辺の認識ズレてるな……ていうか執拗にそれとなく個人情報聞いてくるな……って思ったらこの結末。
    うーん、救いようがない。
    長ったらしくなく、伏線を忘れないうちにすぐに結末まで読み切れて、面白かったです。

    ルビンの壺は視覚的認知の反転を利用したトリックアートで、それが(表紙で)ひび割れているのは、読み終わった時、読み手の中で物語への認知が反転する、つまり壺が割れてなにもかも見えてしまった、読み終わった時にルビンの壺が割れるのだってことですかね、勝手に解釈すると。
    それとも登場人物のあの人の認知の歪みを表しているのだろうか。

  • SNSでオジサンが書く文章のほんのりとしたキモさと、それを警戒して距離を置く女性の言葉遣いがとても良く再現されてた。
    キモさがゆっくりエスカレートする所もリアル。急に尻とか言われたら私ならそこでキレる。
    内容としては、タイトルからちょっと下品かもしれないなと思ってた、そんな予感的中。
    すぐに読めるので軽い気持ちで。

  •  第一印象、読んでしまったことが悔しい(苦笑)。
     とある本屋での売り出しがけっこうハデで(装丁も帯も派手だが)、店員POPが絶賛していて気になってつい読んでしまった。1時間ちょっとで読めるので時間を無駄にした感はない(むしろ、行列に並ばなきゃならない状況で読んだので、非常によい暇つぶしになったという点ではありがたかった)、が、今、この手の作品が重版、ベストセラー?? うーん、売れりゃいいという短絡的な発想か、いや新たなマーケティングの方向性?(無料期間を設けてネットで読めてSNSで話題にさせる)などなど作品以外のところに思いを馳せてしまったよ。

     物語はまさにそのSNSが蔓延する社会ゆえのお話で、ネットを通じて書簡(メール?メッセージ?)をひと組の男女がやり取りする。読みやすい文章で、30年以上前の青春時代を振り返る内容が、まさに同世代の自分からしてみると「あぁ昭和」な内容で(これも昨今多いモチーフではあるのだけど)、センチメンタルな気持ちでどんどん読み進められる。
     オチ(結末と呼べるほどのものではない。そうオチだ)は確かに衝撃的であるが、もうオチに向かう後半は、下世話な週刊誌の記事的な体験談の羅列に堕し、気分もどんどん悪くなる。でも悪くなりきる前に終わってくれるので助かるっちゃぁ助かる。

     なんでこんなに後味悪いのかをツラツラ考えるに、前半、どちらの登場人物もそれぞれ魅力的に描かれていて、30年ぶりにSNSを通じて連絡を取り合うことになり、想い出を語り合って、できれば良き関係のままエンディングを迎えて欲しいという期待を持ってしまうからかな。言い変えると、登場人物に対して、一種の信頼を置いてしまうのだが、それが見事に裏切られ、自分の人を見る目がなかったと思わされるところなのかもしれない(人を見る目がなかった、本を選ぶ目がなかった、とふたつ後味が悪い・笑)。
     実際、登場人物のふたりは、その青春において、お互いを誰よりも信頼し認め合うが、決定的な裏切りを味わい破局に至る。当時はお互いにその破局の理由、相手に対する許しがたい不信感を伝えることなく別の道を歩む。そして、30年ぶりにSNSを通じての会話のやりとりで、その不信感をついに相手に伝えることになる。と、いうのが謎解きというか、本書のプロットなんだけど、まぁ、よくよく考えたら、そこがあり得ないところで、ロジックも破綻していて読み返す気力も起きないところなんだな。

     この手の話、喩えるなら、合宿やキャンプで、枕を抱えてとか焚火を囲んで話すたわいない怪談話の類か。オチで「わっ!」と驚ければ、それまでの前フリの意味のなさやロジックの破綻なんかはお構いなしの莫迦話。 あぁ、してやられたよ、なんだ真面目に聞いて損した!と枕を投げつけたくなる、あれだな(笑)

     まぁ、それを見越して、こうしたら売れるだろうとマーケティングを仕掛けたのは天晴れだ。そして、昨今、まさにSNSを通じての不気味な事件が起こっているこのご時世、魔の手はこうして忍び寄るんだよという注意喚起の書になるかもしれない。
     悔しくて☆ひとつにしようかと思ったけど、も一つくらいは加えておくかな。

  • 倒錯ものとして紹介されることが多いこの本。
    倒錯好きとしては、読んでおかなければ。

    未帆子と水谷一馬という二人の男女のFacebookメッセージのやりとりだけで構成されている。
    総ページ数も150くらいで、さくさく読めた。

    一馬は大学時代の思い出を熱く語り、ふたりの結婚式に来なかった未帆子に未練がある様子。
    一方で未帆子は、一馬に個人情報(今の苗字、住んでるところ)を聞かれてもスルーしていて、なんだか違和感…。
    最後まで読んで納得。そういうことか。

    最後まで読んでから、最初に戻ってパラパラと流し読みしてみると、一馬の狂気に恐れ慄く。
    かなり初期の段階での「警察に通報したらしないでくださいね(笑)警察は苦手です。」とか。笑えないです。

    個人的におもしろいなぁと思ったのは、大学時代の未帆子のバイト先を知った一馬が、貞操とはなにか?と本を読んで学んだとか、昔は売春は尊い職業だったんだ、とか言うところ。
    こういう屁理屈並べる男、いやだなぁ。
    現実にも、性的に倒錯した人の裁判って、自分の欲望に正直に向き合うというより、一馬みたいに理屈で自分のことを分析する人っているよね…。特に高学歴の人に多い傾向なのかな。
    ありそうだなぁと思った。

    自分の起こした事件に向き合わない一馬。
    未帆子にも、真には向き合っていなかったんだろうと思う。
    未帆子との思い出が、結婚する予定だった割に薄すぎて。結婚式をすっぽかされたことと、演劇部でのことばかりの一馬自身が輝いていた時代のことばかり語るのも、一馬の人間性から、合点がいった。
    それに、知らない人のFacebookの写真と「未帆子」という表記から、写真を引き伸ばしてネックレスや指を見て本人に違いないと思うとか、こわすぎる。。。
    きっと優子のことも、Facebookで見つけて連絡とって再会したんだろうなぁ。
    本当、未帆子はよくここまでこんな奴とのメッセージのやりとりに付き合ったと思うよ。

    ところで、無期懲役刑を受けているはずの人が、数十年で出てきて(仮釈放でしょうが)また事件起こして…って、本当嫌になる話だ。

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