図書館奇譚

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 156
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  • Amazon.co.jp ・本 (75ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103534303

感想・レビュー・書評

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  • カンガルー日和にも収録。図書館の地下牢に閉じ込められ、本の暗記を強要される。仄暗い不思議な世界観。羊男や美少女が登場する場面もありホッとする。

  • 初!村上春樹さん読みました
    これは超短編で読みやすかった!挿絵も綺麗
    図書館で見つけた作品
    これが村上春樹さんかー!是非いろいろ読んでみたい!

  • 図書館の地下に囚われた僕。この本を読み終わったら、脳味噌を吸われるという。謎の少女に誘われ、僕と羊男は脱出できるのか。

    カット・メンシック氏のイラストがブラックな感じをさらに増してる。春樹の、この初期の世界観、好きだなぁ。

    不条理だったり、辻褄が合ってなかったり、矛盾してたり…これが小説ってもんでしょ。

    最近の作品(文芸作品一般ね)はレビューを気にしてるのか、クレーマー対策か知らないけど、整合性を持たせようとするものが多くて…無理矢理、すべてを回収しようとしてる。

    人間の頭の中なんて矛盾だらけで、1秒後には違うことを考えてて、繋がりなんかなかったりする。

    それを文字にしたり、演じたり、描いたり、映像にするんだから(そこで、血の滲むような思いをするんだけど)、理屈なんかどうでもよくて、表象として出てきた、その世界観が好きかどうかのみ、と個人的には思う。

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  • 『図書館奇譚』は一般的にはメジャーな作品ではないと思うけれど、村上作品ではお馴染みの「羊男」というキャラクターが出てきたり、超現実的な展開であったり、異世界に行くストーリーであったりと、村上春樹のエッセンスが詰め込まれている。例えたら、村上春樹版の「不思議な国のアリス」のような小説だ。
    村上春樹作品の中では『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』に雰囲気が近いと思う。大人向けのファンタジー小説だ。僕はこの『図書館奇譚』を、主人公の「僕」が図書館の地下に行って帰ってくる中で成長(母離れ)する物語として読み解いた。
    「母殺し」と書くと物騒だけど、子が親から自立するということだ。僕は図書館からの脱出を試みる中で、母親からもらった靴を図書館の地下に置いてきてしまう。その後。「僕」は文字通り自分の素足で図書館からの脱出を試みるのだ。それは母親の庇護の下から離れ、自分の足で歩く(自立する)ことを象徴していると言えるのではないだろうか。そうやって「僕」は母親からの自立(母殺し)を象徴的な意味合いで達成したのだ。
    同じく羊男が登場する『羊をめぐる冒険』は父殺しの要素が出てくるから、比較して解釈すると面白ろそうだなと思う。

  • イラストがおどろおどろしくて良かった。
    お話はめちゃくちゃでよく分からない。

    このお話から文章以上の何かを受け取らねばならないとすれば私には合わない本だったし、文章通りだとするならば特に面白くなかった。

    あとがきを読んだら佐々木マキさんのイラストで「不思議な図書館」としてヴァージョン2が出ているらしく、そしてそれは何年も前にBOOK・OFFで買ってそのまま家にあるやつだと思った。
    村上春樹は合う合わない分かれるなあ。

  • 図書館で軽い気持ちで調べ物をしようと思ったらおかしな老人に騙されてあるはずのない地下深くの廊下に囚われて脳味噌を喰われそうになる。
    大人向きのダークな童話。

    いつの間にか不思議な世界にふっと入ってしまう。

  • 「カンガルー日和」の佐々木マキさんでずっと読んできたので、この絵にビックリ!
    しかもドイツのイラストレーターさんとのことでそれにも驚く。
    文章にも手を入れたとのことだけど、絵のおどろおどろしさに本当に同じ話?と「カンガルー日和」を読み直したい気持ちになる。
    どちらかというとファンタジーと思って読んできたのに一気にホラーのエリア入り。
    挿絵に虫を描きすぎだし。
    主人公は少年なのか青年なのかわからなくなってきた。
    それにしても、脳みそちゅーちゅーも毛虫壷も闇の中裸足で何か踏んじゃうのも嫌すぎる。

  • 挿絵が多くて大人向け絵本という感じ。
    しかしこの短編一つのみで本が作られるというのは村上春樹でしかできないことよな。

    いつもながら不思議なお話。
    主人公が戦っている間、母親も母親なりに何かと戦ったんじゃないかな。

  • 村上春樹がよくいう、心の底の暗い部分を掘り下げていく話というのは、多分こういう短篇に原点があるのだろうな、と思う。夢でも見ているような突拍子もない転回に、どことなく後暗い思いが潜んでいる。その事を上手く覆い隠すのではなく、じくじくとした生乾きの傷痕に触れるようにして後暗いところに踏み込んで行けるのが小説家の本分なのだと思う。もちろん、つまびらかにした詳細をそのまま言葉に置き換えたりはしないだろうけれど。

    夜の闇の持つ不可視さは、ひっくり返せば可能性ということでもあり、不可思議な世界の不可侵さでもある。そのことを村上春樹は理解していて、そのニュアンスをすっと入れ替えるのが巧みだと思う。多分、人は一つの物事を一つの意味できっちりと捉えるのが苦手な生き物なのだと思う。その時々で対象物は自分にとって善ともなり悪ともなる。だから、物事の好ましい面と煩わしい面は常に表裏一体であると考えておくのがよい、自分自身のことを含めて。

    このシリーズは、挿し絵が夢とも現とも着かない「夜」の雰囲気を捉えていて、大人のための童話という印象が残るのが好もしい。矢作俊彦の名無しの探偵シリーズの谷口ジローの白黒の挿し絵のことが何となく思い出されるけれど、日下武司の朗読が活字になってこの挿し絵に出会ったとき、何か見てはいけないものを見てしまったような印象を抱いたのは、今から思えば思春期の少年には理解できない大人の雰囲気がそこにあったからなのだなと思う。活字だけなら堂々と電車の中で読むこともできるけれど、この大人の絵本は人前で読むのに今でも少し勇気がいる。

  • 装丁とイラストで、雰囲気って変わるね。
    カンガルー日和を読み直したけど、全然違う。カンガルー日和では可愛らしいお話しが、こんなにおどろおどろしくなるなんて。
    アナログの本の可能性ってまだまだあるよね。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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