- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103737100
感想・レビュー・書評
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大正・昭和の時代に、日本一の商社となった鈴木商店、そしてそのトップに立った鈴木ヨネの話。ミセで男衆が働くのを大樹のように見守り、信じ、その活躍を応援した女性。
台湾旅行で日本統治時代の遺物が残る場所を巡ったので、出てくる地名も懐かしく、また訪問したくなった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良かった!!図書館で借りたが、買って手元に置いておこうかな、と考え中。それほど読んで良かったと思う本。
まずは語り口がいい。時には当事者としてのお家さんの関西弁の声で、時には一歩引いた客観的な標準語で物語が紡がれているので、長い物語でも単調にならず、時代を一緒に駆け抜けている感覚を味わえる。これがずっとお家さんの語りで話が続いていたらベタっとした女の一生を語っているだけの物語のようになってしまったのではないか。
そして、鈴木商店という実は三菱三井をも凌駕する商社が存在した事、鈴木よねが当時のフォーブスの世界の長者番付の女性としてトップになった事等の驚き。その関連会社には、今の時代でも名前を聞けばすぐに分かるものが多い。この本のお陰で、鈴木商店についてももっと知りたくなった(ので、城山三郎の「鼠」を早速図書館で予約中)。女の一生の物語ではあっても、間違いなく経営についてもきちんと調べて書いてある本だと思う。
これは史実をもとにしたフィクションだろうが、是非事実であって欲しい、と読後思った。金子直吉の魅力、働く人達の使命感、鈴木よねの生き方、世のため国のためと思って事業を続けいてく様子・・どれも本当にそうだったんだと思え、当時の人達の息遣いが伝わり、胸を熱くし、希望を持たせてくれる。
話の本流ではないのにかなりのウェイトを占めるのが珠喜と田川、珠喜と拓海。これがまた良い笑。何度涙を流した事か。この時の語り口がまた、良かった。淡々として、でもほとばしる思いが乗せられていて。自分が勝手に想って追いかけて・・癒してあげられると信じたのに、全ては自己満足だった・・恋愛とはそういうものよね、と若かった頃の自分のその若さ故の愚かさを一緒に嘆き、恥ずかしく思い、懐かしみ。そしてすべてを振り返って「若さとは、過ぎた日々とは、こうやって大人になって振り返る、遠い道程の果てに残した、光る小石なのかもしれない」とそっと自分の全てを受け入れて流してくれるようなその言葉がとても印象に残った。
電車の中でも涙を流しながら読んでいるうちに、鈴木よねの最期の場面なんて、どうやって読めるだろうか・・と思っていたらこれが予想外にあっさり書かれていた。それはそれで良かったと思う。こんな素晴らしい、シャキっとした人の死ぬ所の描写なんて意味がない。その点、作者のセンスの良さを感じた。
これはきっといつか朝ドラか大河ドラマになるんじゃないか、その時は女の一生がメインになっている、ちょっと俗っぽいものになっちゃうのかな?等と余計な心配をしながら読み終えた。 -
下巻もしびれる。
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ただただ真っ直ぐに。時代に翻弄され、政府に翻弄され、そして国民にも翻弄されそれでも信念をつらぬいた鈴木商店。
お家さんことよねの器量と達観、金子の忠義と商売作法。いまの時代においてそれらは時代おくれと取られるかもしれないが、商売をおこなう誰もが自分の信念として持たねばならないものなのだと思う。
本書は物語の下地が作られる上巻よりもそこで語られた人物たちがドラマチックに動き出す下巻の方が圧倒的におもしろい。
小説の形を取っているので事実を多少は大げさに書いているかもしれない。それでも海外がまだ遠い存在だった明治、大正の世において、これだけ世界を相手に戦った会社があったという事実は閉塞するいまの日本を勇気づけるきっかけになるかもしれない。 -
《2014年9月16日》
大きな樹が倒れるときに新しい樹木も育つ。
ただただ倒れていくだけじゃなく、倒れる前の種まきがあってこそやけど、、、。
でも倒れるって事は悪い事ばかりじゃない。
そんな気もする。
《2010年12月11日★★★★★》
まぼろしの商社・鈴木商店のトップとして生きてきた女性の一生。
今の神戸市中央区あたりが舞台の話。
激動な時代で波乱万丈な一生。
それでいて、めげる事無く力強く生きて行く女主人よねと従業員達。
神戸を知ってる人なら、知ってる地名もタクサン出てくるので当時の景色じゃなくても『あぁ、あの辺りやろぉな?』って想像しながら読める1冊。
もちろん神戸を知らん人でも面白い1冊。 -
実在する人物、今に続く大会社・・・大河ドラマにも!
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鈴木商店の発展と衰退の歴史。
女性は、いつの時代でも、優しさと強さを持ってないとだめね。
個人的には、情熱のまま動く珠喜がお気に入り。