ビューティフル・ネーム

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103780069

作品紹介・あらすじ

2004年4月11日、35歳で急逝した鷺沢萠が生前から構想していた、一つの主題に貫かれた三つの物語。最終篇はパソコンに遺され未完に終わった。また、自身の高校時代を描いたと思われる絶筆も未完ながら併録。18歳のデビューから、生きること、考えること、書くことに走り続けた作家が最後に遺した小説集。

感想・レビュー・書評

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  • マイミクさんのお薦めで、読んでみました。
    こんな、ひさかたの光のどけき春の日に
    あっという間に読み終わってしまいました。
    とても面白かったです。

    マイミクさんの日記はしっかり読まなかったので
    手にとって初めて、作者が在日であることも
    自殺していたことも知りました。
    後半は未完の作品が掲載されていて
    続きを読めないのが残念でたまりません。

    『眼鏡越しの空』に登場する四人の女性
    麻衣子…自分はこんな子だったと思う。
     さすがに今は少しは成長していますが。
    春純…身近にまさにそのまんまの女性がいます。
     今まで出会ったどの男性より、かっこいい。
     未完の作品のチュン子と同一人物なのでしょうか?
    二人のなお…話し合って和解するのですが
     自分にはありえないだろうなと思いました。
    何も考えないで読んでいたけど、春純と奈蘭の再会した駅ビル
    終わりのほうで「あ。あのあたりかな?」と思い
    とても現実味をおびてきました。

    登場人物の心の動きがとてもよく理解できるし
    感情移入してしまいます。

    彼女はなぜ、自殺してしまったのでしょう。
    そんなに苦しんでいるようには思いませんでした。

  • 1945年、在日外国人、移民などについて、学ばなくてはいけないことを後回しにしているのではないかと考えるきっかけになり、池上彰氏のニュースやヘイトスピーチに対する反応を気を付けて観るようになった。島国独特の感覚や今まで馴染んできた環境から抜け出せず、当たり前と思い込んでいる偏見がどれだけあるのか、自分が怖くなる。

    春の居場所はどこにあるのか、完結作品を本当に読みたい。
    人に勧められた作家さん、たまたま選んだのがこれだった。初めて読むのにはきちんと完結したものの方がよかった……未完成の文章を収録、本人は嫌なんじゃないかとか変な気を回してしまう。

  • 鷺沢さんの絶筆作品。在日朝鮮人を題材にした小説。日本人ではないのだが、韓国人とはまた違う苦しみ。通名を利用せざるを得ない状況に対する苦悩を描いている。

  • ずっと鷺沢萌(さぎさわもえ)だと思っていたけれど、
    よく見れば鷺沢萠(さぎさわめぐむ)だった。

  • 絶筆作品です。
    短編集ですが最後の話は彼女の私小説です。
    映画化もされました。
    映画の方もなかなかいいです。

  • 在日韓国人の名前にまつわる物語が二つをメインに、未完の作品をあわせて収録した短編集。これで在日の方々の気持ちがわかったとか言うことは全然できないと思うけれども、思いを馳せる”とっかかり”になることはできるんじゃないか、と思う。少なくともマジメに何かを語られるより、ずっと身近に感じられるような気がする。
    それにしても。パソコンから見つかった書きかけの原稿を発表するのはどうなんだろう。作者にとって不本意ではないのか。

  • ひとを好きになる、というのは辛いことである。
    ゼンコーが芽衣子に教えてくれたのはそういうことだ。

    (眼鏡越しの空/春の居場所.併録)

  • 遺作。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    2004年4月11日、35歳で急逝した鷺沢萠が生前から構想していた、一つの主題に貫かれた三つの物語。最終篇はパソコンに遺され未完に終わった。また、自身の高校時代を描いたと思われる絶筆も未完ながら併録。18歳のデビューから、生きること、考えること、書くことに走り続けた作家が最後に遺した小説集。

  • 生まれてから死ぬまで何度も発音し、書き、呼ばれる自分の名前。
    名前の数と同じだけの親の想いがあり、その人の人生がある。
    もう鷺沢さんの新しい作品が読めないなんて、残念でやりきれない。

  • 2004.6.2〜6.9

  • 初めて手に取った鷺沢萠さんの作品が、彼女の最期の作品だとは、運命的!くだけた文体だけど色々考えさせられる。特に日本人にとってチマチョゴリを「排他性」と感じるか「民族の主張」と捉えるか。理性では民族の主張だと考えていても、無意識に排他性を感じるのかもしれない。

  • 名前に関するお話で、彼女の遺作でもある。 <BR>
    何だか好き。 <BR><BR>

    ”しかし「ああ、このひとのことを、私は途轍もなく好きだな…」と自覚した瞬間のことだけはよく覚えていて” <BR><BR>

    「春の居場所」未完となってしまってとても残念です。

  • 2007.2.24読了

  • この人は現文の時間にヒマすぎて読んだ、便覧に載ってたので、気になって読みました。手にとって、借りたあとに、未刊の作品も入っとぅことに気づいた。在日の韓国、朝鮮の人の、名前にまつわる話。江以士の話はすらすら読めておもしろいって言うたらアレやけど、おもしろかった。うちは、じーちゃんばーちゃんっ子やから差別的な話はよく聴くからなるほどなぁ思たりした。←ようわからん文章でごめん。 はじめて、未刊の本を読んだ。最初と、最後にある編集部からの注意書きみたいなんを読んで、ちょっと哀しくなった。

  • 「あっ!自分のことが書いてある!!」と思えるほど、在日のリアリティな日常思考を捉えた作品。
    ちなみに、小説のモデルは僕の知り合いでもあります。(ちょっと自慢♪)

  • 「20歳を過ぎてからの無知は罪だ」という誰かの言葉を思い出した。無知を知ったら、それを恥じて、知ろうとする努力を。
    鷺沢萌が亡くなったことを最近知りました。残念だな。未完の作品はやはり悲しい。
    (05/11/09)

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  • 作者が了としていない作品を世に出すことの是非を思う。私だったら、書きかけの文書を、文字を、知られたくはない。
    特に、未完の作は。

  • 鷺沢萠の遺稿。といっても未完の作品。彼女のあたらしい作品がもう読めないかとおもうとかなしくてしかたがない。35歳だなんて、わかすぎる。
    作者自身の出自を思い起こさせる3篇。

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著者プロフィール

鷺沢萠(1968.6.20-2004.4.11)
作家。上智大学外国語学部ロシア語科中退。1987年、「川べりの道」で文學界新人賞を当時最年少で受賞。92年「駆ける少年」で泉鏡花賞を受賞。他の著書に『少年たちの終わらない夜』『葉桜の日』『大統領のクリスマス・ツリー』『君はこの国を好きか』『過ぐる川、烟る橋』『さいはての二人』『ウェルカム・ホーム!』など。

「2018年 『帰れぬ人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

鷺沢萠の作品

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