新リア王 上

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  • 新潮社
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感想 : 49
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  • Amazon.co.jp ・本 (475ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103784043

感想・レビュー・書評

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  • 彰之シリーズの真ん中。順番間違えた。晴子はもう亡くなってて、前作の雰囲気は全くなし。栄が主人公だった。なぜ?

  • 前に読んだ「晴子情歌」の続編である。

    戦後「55年体制」の中で大臣を歴任して来た青森県選出の自民党代議士である父が、その不義の子であり、有名大学(たぶん東大)を出たあと北洋漁船に乗っていたかと思うと仏門に身を投じてしまった息子が住む寒寺を、単身ふと尋ねる。

    片や泥臭い人間関係まみれの政治家の父と、片や社会や人のつながりといったものにまるで背を向けた禅僧の息子が対峙し、互いにその場に至った来し方を延々と語りまくる。

    作者の一方の動機としては、政治の世界と仏道修行の世界を思うさま書きたかったというのもあるんだろう。…母の旧仮名づかいの手紙と、息子を取り巻く人の津軽弁とで互いの世界を描いた前作と基本的構造はソックリである。

    が、近いと思われた母と息子がついに交差しなかった前作に対し、よくぞこれほどと思われるほどの対極に置いた父と息子の結末は、ただ「寂しさ」という一点・一瞬のことではあったが、離反ではなく一致なのだった。

    中でも父の語る政治の世界に、ズッシリとした読み応えがあった。

    この作品を通して描かれているのは、この父、この息子ならずとも、われわれすべてにとって行く道が見えていない現在という時間そのものである。

    2005年刊行の本ではあるが、そんな政治・生活の閉塞状況をとっくに予見したような重厚な小説なのであった。

  • 暗闇の小説だ。自民党代議士として青森の王として君臨した主人公は人生の晩年に金庫番の私設秘書の自殺、妻を筆頭とする一族の裏切りにあう。74歳になる元王が語る政治家人生は光が届かない泥沼の底だった。読んでいて鬱鬱とした気分になるがなぜか止められない。作家は読者に一切配慮せず政治の陰部を突きつける。最後まで読まなければ作者に負けるという意識で読み切った。700頁以上になる小説の残り100頁から異常に面白くなった。さあ、この陰鬱に負けずに政治の暗部を覗いてくれ。

  • 晴子情歌が母と息子のやり取りだったのに対してこちらは父と息子のやり取りになっている。
    前作は手紙という形式をとっていたから一方通行の様な印象があった。
    今作は対話しているはずなのにどこかが噛み合ないような雰囲気を醸し出していて同性同士の親子の関係の方がより根が深いものなのかもしれないとも思った。
    親子といってもほぼ同じ環境下にいたことがないという特殊さもさながら、何か因縁の様な血の存在を感じるからなのだろうか…。
    とりあえず政治の話はいいとして仏教の宗教観の話が特に理解するのが難し過ぎた…。

  • 何度となく挫折してきたんですが、やっと上巻を読み終えました。
    晴子情歌での彰之のイメージは感情の起伏があまりないように感じたけど永平寺の修行風景では年下に怒鳴りまくってたという人間らしさが感じられて良かったです。
    詳しい感想は下巻にて。

  • 感想やらなんやらは下巻にて。
    20121003読了。

  • よかった…新作楽しみ

  • 未読。表紙のインパクト大。

  • 購入者:矢北(2007.3.31)返却(2007.5.21)仏教と政治と父子のお話です。とにかく、長い!仏教用語が沢山でてくるし、正直読みにくい・・・。でも、なぜだか不思議なおもしろさがある本です。長い本ですが、これで終わらず下巻に続きます。読まれる方は少しばかりご覚悟を。(シェイクスピアものではありません。)
    返却:滝口(2007.10.27)

  • 日本経済新聞の連載時に読んだ。加筆訂正などあるのだろうか?

著者プロフィール

●高村薫……1953年、大阪に生まれ。国際基督教大学を卒業。商社勤務をへて、1990年『黄金を抱いて翔べ』で第3回日本推理サスペンス大賞を受賞。93年『リヴィエラを撃て』(新潮文庫)で日本推理作家協会賞、『マークスの山』(講談社文庫)で直木賞を受賞。著書に『レディ・ジョーカー』『神の火』『照柿』(以上、新潮文庫)などがある。

「2014年 『日本人の度量 3・11で「生まれ直す」ための覚悟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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