ブラック・スワン降臨: 9・11-3・11 インテリジェンス十年戦争
- 新潮社 (2011年12月7日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103823056
感想・レビュー・書評
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日本のインテリジェンスの貧弱さがとても哀しくなる。今回のISISの事件の対応にしても、この本の頃からなにも改善されていないように思えてならない。
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世界を引いて見て、全体の関係や流れを把握する視点、アウトプットする表現力が素晴らしい。
3.11での世界と日本の対比は読んでいて、当時の政府へ漠然と感じていたもどかしさが蘇ってきてつらかった。
誰かの行動や発言を切り取っての批判ではなく、日本を憂えるが故の、もっと大きな視点からのメッセージなんだと理解した。
手嶋さんの著作のおかげで、世界で起こっていることへ、リアリティを持って関心を向けられるようになった。 -
おもしろくなかった。
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オサマビンラディンの暗殺劇をホワイトハウスの側からドキュメンタリータッチで追跡し、いきなり引き込まれてしまった。
9.11のテロ情報をホワイトハウスは2か月前には知っていたこと、防ぐ手立てはあったのではないか、イラク戦争が、たった一人の亡命者の作り話から尾ひれをつけて、ブッシュ大統領の思い込みを増長させて、都合のいい話に祭り上げられてしまい、イラクを戦禍に巻き込んでしまったこと、 3.11の時の民主党の対応がいかにひどいものだったかを、情報のクオリティ面から評価した本だと思う。 緊迫した局面が伝わってくる 今となってはエンタメ性の高い本だとおもう。 -
インテリジェンスの凄まじさ。その真価は危機の時にこそ問われるものだ。一流のインテリジェントとそれを使う能力のあるリーダーが同時に存在しなければ国を危うくする。
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Factaなどで度々薦められているのを見て、図書館で手に取る。
本書を読んで、「大国が互いにしのぎを削る冷徹な世界にあっては、力を持つものこそが正義なのである。」このリシュリュー卿の言葉に続きがあることを知った。「力を持たないものは自分の存在そのものが悪だと決めつけられないよう振る舞うのが精々のところなのだ」
普天間基地問題についての鳩山元総理以下民主党政権に対して筆者は舌鋒鋭く批判する。
そこまでは大いに賛同できるが、福島第一原発事故について当時の首相のリーダーシップ欠如にその原因を求めるのは些か酷ではないか。本書が刊行されたあとの、様々な報告書を読む限り、政府が原子炉への海水注入をその後の復旧コストを理由に躊躇したという事実はないはずだ。 -
手嶋さんはさすがに文章がドラマチックで読ませるなぁと感心。インテリジェンスの現場での臨場感あふれる描写は一読の価値あり。
情報が膨大に取得でき、それを評価してストーリーを描くことは難しく、また今までのどの時代よりも不確実性が高まっていると思われている現在の状況(本当にそうなのかは議論ありだが‥)、からすれば筆者が指摘するようなインテリジェントの獲得には、骨太な歴史観や各地域、民族に対する理解が必要なのだと思う次第。 -
「想像すらできない事態を想定して危機に備えておけ」
ヒロシマから66年後にブラックスワンがフクシマに舞い降りた、と書かれた後に、管首相も舞い降りたの小見出し。
バフェットの言葉を思い出す。
「愚か者でも経営できるビジネスに投資しなさい。なぜなら、いつか必ず愚かな経営者が現れるからだ」
想像すらできない事態を想定して危機に備えなければいけない。数百年に一度の天災に、優れた人物がトップの座にいるとは限らないのだから。 -
もちろん反対の立場からの言い分も聞くべきだが、日本の立ち位置、組むべき相手がどこなのか、説得力を持って迫る。
グローバル・スタンダードという言葉は最近、小人の都合の良い言葉としてばかり利用されているが、本来こういう叙述にこそ使用してしかるべき。