死と生きる: 獄中哲学対話

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104001040

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  • (1999.04.09読了)(1999.02.22購入)
    (「MARC」データベースより)
    この世で「善く生きる」とは? 息詰まる言葉のドラマが始まった。死刑判決を受けたSMクラブ経営者殺人犯人と気鋭の女性哲学者による、懊悩する魂の遍歴の果てからの往復書簡。

    著者 池田晶子 イケダ・アキコ
    1960年東京生まれ。
    慶応大学文学部哲学科卒業。
    哲学するとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立した。
    2007年2月23日、死去。

  • 2011.10
    死とともに生きる 獄中哲学対話
    良いと善いとは違う
    生きている間は絶対に知り得ない自己の死は存在し得ないし、存在しない死があることによって、在るとされる、生は在るも無いもない。
    今、本当にあるのは、思う自分をあると思う考えだ。そして、その考え自体にある全ての存在への判断基準は、在るも無いもない生によってはあり得なく、それ自体として正、否、がああり、それは生まれたのでもないのだから死にもしない。
    それが、イデアだ。
    それはだれにとっても同じでしかない。正しいという考えから導かれるのは正しいであり、正しくないから導きかれる考えは、誰にとってもいつの時代でも、どの場所においても正しくないであり、それは皆同じだ。
    西田幾多郎の絶対矛盾的自己同一
    絶対に矛盾する、今、この瞬間の自己への認識である生と自己そのものなどの同一性
    一切衆生悉有仏性
    あるものは思えるし、あるものはある。無いものは思えないし、無いものはない。仏性とは思いそのものだ。考がイデア、仏だ。それが真実だ。それを気付くことが解脱だ。
    神の国の見出し イエス 自分の中にあるイデア、義を見出すことだ。
    それがプラトンの言った理想国の発見だ。
    弟子達はそれを死後の世界と考えてしまった。イエスのとった宗教という手段も、わからないなら信じさせよう。形だけでも良く生きるだろうというあきらめから始めた。
    全ての人間の欲望を否定しようとしたトルストイもそれが個我の欲求に他ならず、その矛盾を抱えたまま結局個我を否定しきれなかった。
    良いと善いとの混同
    世は騙り
    ソクラテスアクター説
    誰かと語り合うといいながら、実際には自分自身としか語っていない、それ以外には語ることはできない。
    善く生きるということは善く死ぬということではない。努力をつづけていくこと。

  • 池田晶子氏と睦田死刑囚との往復書簡をまとめた本である。
    獄中で池田氏の本を読み、死と生、有と無について哲学的な考えに目覚めた睦田死刑囚の一通の手紙から往復書簡が始まる。
    途中、往復書簡を続けるために控訴を提案したりとかなり劇的な展開を見せつつも、言葉での本気のやり取りは迫力がある。
    ただ、睦田死刑囚が「親の資格」について語っている内容については、池田氏も好評価を与えていたが、私には納得ができない。
    親とは親になって初めて親になるのであって、子供が生まれる前から親になっている人はいない。
    子が生まれ一から親になっていくのだから、親の資格という定義自体が存在し得ないと思う。
    ラストに殺人という一線を越えた本人しか語れない「なぜ殺人をやったのか」という問いに対する睦田死刑囚の返信は期待外れであった感がある。
    この一線は言葉で表現するのは不可能なのだろうか?
    本文中ににもでてくるが、『罪と罰』のラスコーリニコフの心理描写の秀逸さを改めて感じた。
    読んでいて損はない一冊である。

  • 『新潮45』に連載されているのを知ったのは、谷中墓地の五重塔跡横にある交番。ふと手にした警察の広報誌に池田さんの手記があり、睦田さんとの関わりと連載開始が触れられていました。出会いも不思議ですが、この書による新しいつながりも出来続けています。
    「ようやく私と対等に語り合える相手が現れた」と語る池田さん。しかもその相手は獄中の未決殺人犯。十数年後には二人ともこの世に存在しないことを知っている自分にとって、この書簡交換は二人にとって人生で最も濃密で幸せな時間であったと感じるし、自分に同じ時間が訪れるのだろうかとわが身を振り返ってしまう。

  • 池田氏と陸田氏の熱い対話…一気に読んでしまった。

  • こんなに刺激的な本は滅多にない。覚悟を持った二人の対話は突き抜けてる。こんなセンスはどこから来るんだろう。極限的状況を経験したためか、生まれ持った魂の資質なのか?二人とももう既にいないことがまた感慨深い。

  • 死刑囚と著者が文通というカタチで対話をしていく。
    その軌跡をつづった話。

  • 宮崎勤と同日に死刑執行された陸田真志。
    調子に乗ってきた陸田氏が池田氏に叱られるのには笑った。
    いい本。

  • 死刑囚と向き合うということ。それは死について向き合うことでもある。すべての死するひとたちへの贈り物。

  • 「哲学する人」池田晶子と死刑囚である陸田真志との往復書簡集。ギリギリのところで「考える」人の言葉を通じて、「哲学」とは魂の問題なのだなぁと感じた。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業。文筆家。専門用語による「哲学」ではなく、考えるとはどういうことかを日常の言葉で語る「哲学エッセイ」を確立して多くの読者を得る。とくに若い人々に、本質を考えることの切実さと面白さ、存在の謎としての生死の大切さを語り続けた。著書多数。2007年2月23日没。

「2022年 『言葉を生きる 考えるってどういうこと?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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