老後破産:長寿という悪夢

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104056064

感想・レビュー・書評

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  • 暗い暗い… 明日は我が身。

    厚生年金がないとやっていけない

    貧乏人は早死にしないとね…

  • 「老後破産」という言葉を生み出した「NHKスペシャル」が2014年9月に放映され、さきほどの「下流老人」が出版されたのが2015年6月、NHKスペシャルの番組内容を書籍化した本書が翌7月に続いている。

    単身高齢者の悲惨な生活実態が、多く人々の注意を集めるようになった。
    これからさまざまな対策を講じられていくに違いない。

    だが、問題はそう簡単に片付かないし、都市部の高齢化は急速に進むだろうから、事態はさらに深刻に、悲惨になるだろう。とりわけ、女性の単身高齢者の貧困問題が深刻化する。女性は男性より長生きする一方で、それまでの就業・収入の格差から経済的な蓄積が薄いのが一般的だからだ。

    高齢者問題とは貧困問題であるということは、先進国・発展途上国を問わず共通の認識のはずである。
    もちろん日本でも例外ではなかったはずで、いまさら騒ぎ立てるのはおかしなものだが、そのときになってみないと実感できないのは、個人の場合でも社会の場合でも同じなのかもしれない。

    「長寿という悪夢」というサブタイトルが秀逸である。

  • NHKスペシャル取材班 鎌田靖グループが、
    『老後破産』という ドキュメンタリーを行なった。
    それを、本にしたものが『老後破産』
    この言葉は、造語である。
    ワーキングプアと言う言葉も 彼らがつくった。
    社会現象の中で 底流を流れている潮流を
    うまく救い上げて、言葉をつくり出して、問題を鮮明にする。
    いやはや、驚くべき パワーがある。

    よみながら、人ごとじゃないなぁ と思った。
    老人が 孤立している という状況が身につまされる。
    孤立を恐れず、連帯もしない、迷惑かけたくない と言うことだ。
    世に言う 姨捨山 みたいな 状況が 
    日本の都会にも田舎にもある。

    年金で生活することができないということ。
    貯金を 崩していくことで、生活補填する。
    それでは、先が見えている。
    家を売って、そのお金で 生活補填する。
    わびしすぎるのだね。
    しかし、貯金や家があると生活保護がうけられない。
    老人になって、生活保護をうけるのも、
    わびしい感じがする。

    とにかく、わびしく、セツナイ老人が沢山でてくる。
    病気になったらと言う不安の背中合わせ。
    老人をめぐる状況で、何かが欠落している。
    それは、家族が 崩壊して 単身世帯 
    の急増と言うことなんですね。
    長生きする悪夢。に 驚くばかり。
    どうやって、死ぬかと言うのが テーマなんだね。

  • 『老後破産――長寿という悪夢』
    著者:NHKスペシャル取材班
    本文写真:NHK
    装丁:新潮社装丁室
    発行形態 書籍
    判型 四六判
    頁数 234ページ
    ISBN 978-4-10-405606-4
    C-CODE 0095
    ジャンル 社会学、福祉、ノンフィクション、家庭医学・健康
    定価 1,404円

    金がないので病院に行けない、食事は1日1食100円以内……。超高齢化社会を迎えた日本で、「老後破産」に陥る人々が増えている。普通に年金をもらい、自宅も所有、ある程度の預貯金……それでも生活の破綻は防げない! なぜ起こるのか、実態はどうなっているのか、予防策は? 驚くべき現状に肉薄した、衝撃のルポ!
    http://www.shinchosha.co.jp/sp/book/405606/



    【目次】
    はじめに [001ー004] 
    目次 [005ー008]

    序章 「老後破産」の現実 011

    第1章 都市部で急増する独居高齢者の「老後破産」 019
    「年金だけでは暮らしていけない」/追いつめられていく日々/必死で働いてきても「報われない老後」/生活保護が受けられない?/独居高齢者の実状を把握する/「医者に行くお金もない……」/厚生年金のトリック/「生きていてもしょうがない」/貧しさを知られたくないために/生活保護支援の「壁」/「生きていて良かった」と思える明日へ
    ~東京・港区の単身高齢者アンケートより~ 062
    広がる「老後破産」の実態/介護サービスを利用していない人が80%/正月をひとりで過ごす高齢者たち

    第2章 夢を持てなくなった高齢者たち 869
    介護サービスを切り詰めたい!/使いたくても使えない介護保険/ひとりきりの老後/「外に出たい」/「こんな老後になるなんて」/ひとり息子と夫の死/都会の孤独/2か月に1度の楽しみ/避けられない「老後破産」/「家族機能」を前提とした介護保険制度

    第3章 なぜ「老後破産」に陥るのか~社会保障制度の落とし穴 113
    じわじわと追いつめられる「老後破産」の恐怖/「家」があっても生活保護は受けられる/「預金ゼロ」へのカウントダウン/医療負担が招く「老後破産」の悪夢/節約が招く“矛盾”/病気は「老後破産」の入り口/老後の「住まい」の選択肢/年金で暮らせる公営住宅の不足/カラスが友だちという男性/「一生懸命に生きてきた結果が……」/SOSを発しないひとり暮らしの高齢者/「老後破産」寸前で餓死状態に陥った患者/病院から施設へ続く「漂流」

    第4章 地方では見えにくい「老後破産」 165
    「豊かな田舎暮らし」は本当か?/農村に広がる「老後破産」/サバイバルな自給自足の老後生活/食事は採ってきたもので/心臓に抱えた「爆弾」と医療負担/地方でも増え続ける独居高齢者~自治体調査より

    第5章 急増する「老後破産」予備軍 187
    見えにくい「老後破産」/親族の存在が遠ざけていた「支援」/他人の世話になることへの「罪悪感」/連鎖する「老後破産」/介護離職がきっかけ/病気で断たれた再就職への道/超節約術!/「病院にも行けない」

    終章 拡大再生産される「老後破産」 223

    おわりに [229ー231]
    執筆者プロフィール [233]

  • 978-4-10-405606-4  231p 2015・10・5 10刷

  • 一人暮らしの老人の半分近くが月収10万円以下で生活しているという事実を知り、自分ならどうだろうかと想像してみたが絶望という言葉しか浮かばなかった。
    年金で家賃を払ってしまえば体調を崩しても病院に行くお金さえもないなんて憲法第25条のすべての国民の健康で文化的な最低限度の生活を営む権利なんて全く守られていないのだなと痛感した。

  • 話題の老後破産。結局将来を考えてなかったってことと、若い世代が稼げてないってことじゃないか。出てくる事例は確かに気の毒な人もいるけど、そういう不幸な目にあう人が一定数いるのはしょうがないんじゃないか。秋田のおばあちゃんが月2万5千円だけで暮らしているというのを娘たちはどう思っているのか。心配しないのか。ばあちゃんの方が気を使いすぎて自分の苦しさを言ってないだけなんじゃないか。結局助けを求めるのを恥ずかしがるというか、嫌がるのが困窮の元じゃないか。プライドを守るか、気にせずほどほどの生活を送るか。どちらをよしとするかは、人それぞれでいいのではないか。しかし、医療費が重荷、という人たちが多すぎる。いつ死んでもいい、と言いながら、薬はちゃんと飲むって何なの。年金払ってなかったという会社をもっと叩いてほしい。年金がもらえるつもりでいたのに、もらえないのは気の毒だ。今の人たちは年金なんて信用しないで生きてるから、逆に大丈夫なんじゃないか。とにかく私はコツコツ貯める。

  • 介護離職による老後破産の危機についての番組を見たことがありますが、この本を読むとその救いのなさに暗澹とします。そしてとても人事とは思えないことが怖いです。

    一生懸命働いてきた人、家族に尽くしてきた人たちが悲惨な老後を迎え過ごし、希望を失くして行くということに言葉を失います。「こんな老後を過ごすことになるとは思わなかった」という、本書にでてくる方々の言葉が自分の身にも迫ります。

    自分も長生きをすれば本書に登場する方々と同じつらい老後を過ごさねばならない可能性は今現在の状況を振り返るとかなり高いです。
    老後破産をなくすためには福祉の仕組み自体を変えなくてはならないとは思いますが、あとがきにでてくるような方法は日本では現実的ではないように思います。
    といって、どんな方法がいいのかというと…誰もが納得するような抜本的改革、というものはもしかすると、ないのかもしれません。

  • 20160510

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著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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