憧れのまほうつかい

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (111ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104073023

感想・レビュー・書評

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  • さくらももこさんが憧れのイラストレーター、エロール・ル・カインゆかりの人々、場所を巡るイギリス旅行のエッセイ。
    ル・カインの絵とさくらさんの絵が挿絵としてふんだんに使われ、さくらさんは本当にル・カインの絵のテイストが好きで、影響を受けているんだなあということがよく分かってほっこりする。

    ル・カインと交流があった方を訪ねたものの、話し中に眠くなり、「通訳の男性の木村さんの声にハッとしてとび起きたものの、起きたとたんに大変お腹がすいていたので思わず「あの、このテーブルの上にある豆菓子を食べてもいいですか?」という八方破れな質問をして」しまう場面は思わず笑ってしまった。
    イギリスでも相変わらずのももこスタイル。こういう飾らないおたんこなすエピソードがほんと好き。

  • 著者が大好きな画家である「エロール・ル・カイン」の紹介などを兼ねた本。
    存じ上げなかった方だったけど、中で紹介されている絵を見て、一瞬で虜になった!緻密で繊細で色彩豊か。「おどる12人のおひめさま」は絶対に読んでみたい。
    著者が高校時代から心奪われていたのも分かるなぁ。

    著者が住んでいたイギリスに渡り、一緒に仕事をした方の家を訪ねたり、ウェッジウッドの工場へ行ったりする話もとても面白い。

    間に沢山ある著者の「私の中のル・カイン」という絵も、とても素晴らしくてじっくり眺めた。

  • さくらももこさんが、敬愛する絵本作家エロール・ル・カインに会いにイギリスまで行く紀行文。
    私はももこさんの、愛すべき人物画も好きなのだが、実は周りに額縁のように装飾された細かい絵がすごく好きで。
    エロールの影響だったんだなあということがこの本を通じてよくわかった。
    と同時にエロール・ル・カインについてもものすごく興味がわいた。
    さくらさんは相変わらず、おかしな可愛い人と言う感じで、読んでいて大笑いしてしまったので、電車の中などでは読まないことをお勧めする。
    ウェッジウッドのさくらさん特製のお皿がほしいなあ…。

    とにかくさくらさんの愛情がたくさんこもった本である。

  • 高校生のさくらももこさんが本屋で見つけたル・カインの絵本。ずっと彼の作品に憧れていたが、彼が亡くなったことを知り、さくらさんは非常に悔やむ。そして彼のルーツを追うためにイギリスへと向かう。

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    憧れのル・カインさんの知り合いに話を聞くはずが、眠くなってしまったり、売っていたエナメル人形のことばかり考えてしまったり、しまいにはライカのカメラについて書き出すさくらさんはとても自由な人だ。
    たまちゃんのお父さんがカメラ好きになったのにはこんな経緯があったのか……!という驚きと、ル・カインさんとまったく関係ない話が展開されていく面白さが混ざり合ってとても愉快だった。
    イギリスのル・カインさんの関係者がこの本を読んだらどう思うだろう。ライカの話なんてぜんぜん伝わらないんじゃないかな。想像するだけで愉快だ。

    さくらさんの本の表紙って曼荼羅模様みたいに、緻密な感じで上下左右対称っぽく描かれていることが多いと思ってたけど、ル・カインさんの影響なのかな。

  • 小学生のとき、初めて自分で買った本。久しぶりに引っ張りだして読んでみた。さくらももこが憧れた画家のエロール・ル・カインの絵とさくらももこの絵がきれいで、エッセイなんだけど、絵本みたい。そういえば、私の卒業文集は、さくらももこインスパイアな文体で、かなり生意気に書かれているのを思い出した。

  •  エロール・ル・カイン。イギリスの画家。

     さくらももこさんが17歳の時,本屋で見つけた本の作者名を見て曰く「”エロール”なんて,なんかエロの巻物みたいではないか」
     だがしかし,この画家の絵本にはまってしまうのです。
     その繊細さ,美しさ。魅せられたももこさんは,普段は本を一冊買うのにも熟考するのに,エロール・ル・カインの「おどる12人のおひめさま」を即買いするのです。

     それから時がたち,漫画家になったさくらさんは,ルカインにまつわる人々や場所をたずねに行きます。その顛末が書かれたエッセイです。

     さくらももこさんのイラストにも,ルカインのテイストが感じられます。ももこさんの「コジコジ」などのイラストもたくさん掲載されていますが,ルカインの絵の影響を受けているなというのを感じます。

     ルカインの作品に魅せられ,彼の死語,遺作が散逸しないように買い集めているという渋谷さんを訪ね,原画を見せてもらっています。
     山梨県の大泉高原にある別荘に集められた原画は,印刷よりもずっと力強く,勢いのある絵だったそうです。

     また,さくらももこさんは,ルカインに縁のある人を訪ねて,イギリスまで行っています。
     イアン・キールさんは,BBCのドキュメンタリーやアニメーションの演出をしてきた人。
     その方のお宅に行ったときの話で,ももこさんにとってはルカインとのエピソードや思い出を聞いているはずだったのにだんだん眠くなり……なんともお間抜けな展開になっています。
     また,ペニー・シブソンさんという,ルカインの絵の宣伝,広告に携わっていた方とも会います。ルカインとの思い出話に,さくらさんがほろりとしているのが,ほっこりさせられます。

     さくらももこさんのエッセイは,おもしろエピソード満載ながら,最後にはほろりとさせる部分があって好きです。味わい深いです。

  • さくらももこ先生の絵は、この方から影響を受けてるのか‥!と見ててわくわくすることばかりだった。
    夢を叶えるなんて、すごいなぁ。

  • 久しぶりにさくらももこさんの作品。ちょっと自虐的な文体を懐かしいと感じながらの再読。⁡
    さくらさんの本はどれも装丁が素敵。カバーも表紙も見返しも、さくらさんの世界観が詰まってる感じで、それを見るだけでつい欲しくなる。⁡

    さくらさんが行くところ行くところに様々な事件が起きる。それに気づく感性も、それを面白く書ける感性も好き。くすっとしながら、スラスラ読める。⁡

    さくらさんがル・カインさんをリスペクトして描いたイラストたちも素敵。さくらさんのル・カインさんに対する愛が感じられる。ル・カインさんの絵本も手にしたくなった。⁡
    本文の中盤はさくらさんのイギリス紀行。それも面白いんだけど、きっとこの取材旅行はさくらさんの魂となり、それからの作品に生かされているのだと思う。⁡

  • イギリスのマイナーな絵本作家ル・カインをめぐる旅、なのですが、ル・カインとそれに影響を受けて描かれたさくらももこさんのイラストもふんだんに使用されている旅行エッセイです。相変わらず物欲とおバカな珍道中ですが、イギリスに行きたくなりますし、とくにコジコジ関連のイラストが美しかったです。95年あたりがさくらさんのアートワークでいちばんすきかもしれません。

  • 淡々としているのに、声出して笑える!さすが!

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著者プロフィール

1986年からマンガ雑誌『りぼん』(集英社)で連載がスタートした「ちびまる子ちゃん」の作者。1990年からはフジTVでアニメ化され、超人気番組となる。『まるむし帳』(集英社)は唯一の詩集。

「2019年 『さくらももこの詩による無伴奏混声合唱曲集 ぜんぶ ここに2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

さくらももこの作品

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