ゼツメツ少年

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 908
感想 : 148
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  • Amazon.co.jp ・本 (397ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075126

作品紹介・あらすじ

これは、あなたが読んだことのない重松清――本当の救済がここにあります。小説家であるセンセイに、ある少年から旅の詳細を記した手紙が届く。それは、生き抜くために家出をした三人の少年少女の記録だった。しかし現実の彼らはある事故に遭っていた――。ナイフさん、エミちゃん。手紙にはセンセイの創作した人物まで登場する。これは物語なのか、現実なのか。全ての親へ捧げる、再生と救済の感動巨編。

感想・レビュー・書評

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  • 重松清作品には珍しく、すんなりと共感できず、ザラつきが残る作品。
    少年たちに「救い」ではなく「助け」がきてほしい、と願っていたけれど…。

    やっぱりどんなことがあっても自殺は認めたくないと思います。
    この本を読むことで、いじめられている人、いじめられた子をもつ家族が救われたらいいと思いますし、当事者じゃない人たちの理解が得られればいいのですが、
    自殺を美化するような流れを感じたのは残念でした。

    この作品は、大切なものを守れなかった人たちを慰めるための物語だと思いました。

  • 大好きな重松清さんの本。
    小説の中に小説が描かれる。
    重松清さんのこれまでの作品に描かれた主人公達に出会えたり。
    不思議な世界。
    生きていることが辛くなることに直面した少年たちが「ゼツメツ」しないために選んだ道。
    キュンと胸を締め付けられたり、思わず目頭が熱くなったり・・・
    『大事なのは想像力。想像力とは希望。想像力とは信じること。そして想像力は約束。』

  • 構造が、少し難しくかったけれど、不思議で、切なくて、悲しくて、けど感動した。予想していたよりずっとお話が重い。
    大切なのは想像力だと繰り返し書かれてあるが、想像をしても実際の現実は変わらない辛さを感じた。反面、子どもたちはなくなったけれど、救われていているはずだ、そうであってほしいと自由に豊かに考えることで自分も救われる部分もあるのだなと思った。

    「なんか、すごくつまんない決め方してない?ふつうとか、ヘンとか、おかしいとか、すごいとか、バカみたい」
    っていうところが印象的だった。自分から見てそう感じても、やはりそれは自分の中の尺度であり、それを相手に押し付けてしまうと相手が自分としていられなくなるのかなと思い、自分の言動に気をつけたいと思った。良いか悪いかではなく、そのような面があることを忘れずにいたい。

    「いつでもいいから、何でも話しなさい」
    話す場を自分も用意しがちだが、そうではなくていつでもいいよと相手にも余裕を持たせてあげることが必要だなとはっとした。

    生きているということが1番大事でも、それは実感を伴わない。それよりも、自分の夢や希望や誇りを感じやすい。だからそれが踏みにじられることは耐えられないし、辛い。だけど、自分のことを信じること、少しだけでも自分の明日を信じられることが想像で、それが大事なんだと分かった。
    これまで自分も色々と辛いことを感じてきたが、これを持ち続けられて良かった、幸せだと感じられた。

  • 最初はゼツメツって何だろうと思ったけど、読み進めていくうちに分かった。
    とっても面白い本だと思う!

  • 息子と同じくらいの中学生で発達障害と思われる。
    男の子からの手紙から始まるはなし。『僕たちはゼツメツしてしまいます』
    彼の発想、行動、好きなものすべてがいとおしく、つらい話。
    著者の過去の小説ナイフや君の友達、エイジ、キヨシコ、
    定年ゴジラなどから主人公たちが回りにでてきて
    重松氏は、少年のいじめや苦悩に対するテーマの
    小説はこれを最後にしようと思っているのかと感じたりしました。

    生きてほしかったんだ。生きてほしい。ずっと、ずっと生きてほしい
    夢なんかなくても、やさしくなくても、正義の味方なんかじゃじゃくても
    いきていれば。。。
    痛い。きつい。つらい話。主人公がでてきたナイフにもまして
    痛いつらい話でした。

  • 物語の中で思わぬ人に「再会」できたこと、繋がってるって感じられたことが良かったです。タケシくんの語りのところで、「『わからない』というのは残酷な言葉だ」というもの「『バカ』とか『嫌い』と言われるより『わからない』と言われるほうが、ずっと悲しい」という文章が残りました。

  • 重松さんのらしい文章世界観。大事なのは想像力です。
    タケシとリュウとジュン、美由紀の物語。結果物語の冒頭恐竜の発掘の大雨で亡くなった子どもたちの話。

  • 重松さんの小説を外で読んだのが間違いだった。
    最後の方では1ページ読み進める度に、一度本を閉じて気持ちを整えなければいけなかったぐらい。涙をこらえるのに
    必死。
    同じ年頃の子供がいるので感情移入も半端ない。

    結構分厚い小説だったので出先でちょこちょこ読んでいたからなのか、時系列があやふやな部分もあった。

    もう一度読みたいかと言われると、悲しいのでノー。
    だけど読んでよかった。
    ストーリー的には私がのぞんだ展開ではなかったが、
    ところどころの会話のやりとりはやはり重松作品。
    心にジーンと残る。

  • #読了。
    小説家のもとに、少年から手紙が。ずっといじめられていた中学生のタケシ、いじめを助けたためにいじめられる側になってしまった小学生のリュウ、姉の影だけを追い続けている両親から逃げ出した小学生のジュン。3人の奇妙な冒険が始まる。
    「ゼツメツ」は居場所が見つからない疎外感からきているのだろうか。少年期のいじめに関するテーマが多い重松さんだが、すでに空想の話というのがいまひとつぐっとこなかった。他の作品の登場人物が出てくるのだが、残念ながらほとんど思い出せなかった。

  • 【読間】
    現在、ちょうど半分くらいのところ。

    “ゼツメツ”という謎の言葉。その意味が知りたくて知りたくて……先が気になりすぎる。なんとなく分かるような気もして、でも違うような……。

    筆者が“ゼツメツ”をどう結論づけるか、期待。


    ※重松さんの他作品からの友情出演キャラ(?)が、2作品分。

    “エミさん”は、もう出てきた瞬間にニンマリ♪重松清を好きになるきっかけとなった「きみの友だち」から。

    何やらかなりイイ味出てる“ツカちゃん”は、どの作品からなのだろう?
    重松清が好きと言いつつもそんなにたくさん読んでるわけではないので、今思い付かないということは、まだ未読なのだろう。

    “ツカちゃん”の元ネタが既読だったら、この物語も2倍楽しめるのだろうな。。。

    2016.04.11.書。


    【読了】
    なんとも切ない真相。絶句。
    でも……後味が悪くはない。

    一番大切なことは、「生きていること」。





    ・・・ウエダって子は、泣かないと思う。泣く代わりにひとを恨んだり憎んだりする

    ・・・泣いちゃうひとと泣かないひとの違いって、そこだよね。


    ……うん、納得。


    ★4つ、8ポイント。
    2016.04.13.図。


    ※重松キャラが続々と投入されたらしいこの作品……、自分が気づけたのは“エミさん”だけ。他は全て未読作からなのかな。

    気付けなかっただけで既読作からのも混じっていたのかしら?

    ネタバレサイトでも検索してみよう。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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