東電OL殺人事件

著者 :
  • 新潮社
3.38
  • (20)
  • (32)
  • (57)
  • (10)
  • (7)
本棚登録 : 291
感想 : 41
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (444ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104369010

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 事件から15年を過ぎた2012年6月7日、再審開始決定が出た東京電力女性社員殺害事件。ニュースで見た後、たまたま図書館に行って物色してたら目に飛び込んできたのが、分厚い黒地の背表紙にある「東電OL殺人事件」という白文字。
    絶妙なタイミングで出会った。
    私は当時の報道をほぼ覚えていない。事件概要もあまりよく知らなかった。数ヶ月前に著書「女という病/中村うさぎ」でフィクションではあるが事件について、被害女性について少し知識を持った程度だった。
    しかし、本書を読むについて、事件そのものの真相はもちろんだが、被害女性”渡辺康子”に引きつけられた。
    彼女の異常的行動の真相はいったい何だったのか。

    今回釈放される元被告人は無罪だろうと、私も思う。では、真犯人はいったい誰だったのか。本書にも登場する事件関係者の中にいるのか、全く無関係の人間だったのか。事件から15年、真相解明は非常に困難だろう。

    今、どうしても気になってしまうのは”東京電力株式会社”。被害者が勤めていた会社。昨年の東日本大震災での福島原発事故。政界や警察と当時(から)なにかあったのではと思ってしまう。

  • このタイミングで被害者の体内から容疑者以外のDNAが検出されたと報道されたのには、どーしても恣意的なものを感じてしまう。

    東電OLの心の闇。いったい、それは何だったのか。

  • 慶大経済をほとんど金時計で卒の超エリートOLの凄まじいまでの堕落。渋谷円山町の街頭で道行く人たちへの売春の誘い。毎日4人のノルマを科し、手帳に詳細に記録。その迫力に圧倒されます。そして彼女は殺人事件の被害者に。その心の深淵に迫るとともに、被疑者のネパール人の冤罪を信じて取材にネパールまで行く著者。今年4月に無罪判決が出るまで。やや冗長なきらいはありますが、事実は小説よりも奇なり、のとおり、東京の堕落した姿を見せつける力作です。

  • あちらこちらと足を運び、周到な調査を重ねて著した、ということに敬意を払うし、事件のことをリアルタイムで知らなかったために、細部にわたって知ることが出来たのはよかった。
    ただ、憶測でWさんに関する「推理」を押し進めて行くのは上品ではないし、あんまり歓迎出来たものでもない気はする。特に第七章は、蛇足に近かったのではないか。
    読み応えはあるが、ノンフィクションとして、読む人によっては不快感を抱くだろうという一冊。

  • 2009/08/16 読了

  • 仮面をかぶって生きる人間の二面性というか、抱え持つ裏の部分というか(それらは誰にもあると思うのだが)、オモテとの隔たりに哀しさを感じた。読了後、実際に渋谷の現地を歩いてみたら現実感が増してきた。

著者プロフィール

1947年東京生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。編集者、業界紙勤務を経てノンフィクション作家となる。1997年、民俗学者宮本常一と渋沢敬三の生涯を描いた『旅する巨人』(文藝春秋)で第28回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2009年、『甘粕正彦乱心の曠野』(新潮社)で第31回講談社ノンフィクション賞を受賞。

「2014年 『津波と原発』 で使われていた紹介文から引用しています。」

佐野眞一の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×