天国旅行

著者 :
  • 新潮社
3.39
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本棚登録 : 2286
感想 : 432
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104541065

感想・レビュー・書評

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  •  心中をテーマに書かれた7つの短編です。

     青木ヶ原樹海で自殺をしようとした男と、青木と名乗る奇妙な男とが連れ立って樹海を歩く。(森の奥)
     過去に心中しようとした妻へ、夫から綴られた遺言。(遺言)
     亜利沙は、謎の自殺を遂げた立木先輩のことを元カノの初音と一緒に探ることになる。(炎)
     などなど読み応えのあるものばかり。

     読んだあと、死と対で生がある、死者に向き合いながらも生きていく、そんなことを感じました。

  • この作品のテーマは「心中」。ほかの方もレビューで書かれていたように、しをんさんの文章は美しいのだけれども、いかんせんテーマ的に暗くなってしまった。
    意思を強く感じたのは「炎」。あんなふうに身辺整理をして、自分の意思を表現できるものなのだろうか。
    「星くずドライブ」はこの先どうなってしまうのか、気になった。
    当たり前だけど、同じ「死」でも、心中と殺されるのでは大きく違うな。。。

  • 1.この本を選んだ理由

    基本、短編集は読まないですが、たまたま三浦しをんさんの作品で読んでないものが図書館にあったので手にしました。


    2.あらすじ 

    心中をテーマとした短編集。
    ①森の奥
    ②遺言
    ③初盆の客
    ④君は夜
    ⑤炎
    ⑥星くずドライブ
    ⑦SINK

    それぞれ、作風が違っていて、全く別物に感じました。


    3.心に残ったこと

    やはり、テーマが心中というだけで、心が暗くなります。


    4.感想

    面白いということはないけど、
    人生観を深めるきっかけになる本だと思います。


    5.登場人物

    ①森の奥
    富山明男
    青木


    ②遺言
    私と君

    ③初盆の客
    及川駒子
    及川ウメ
    及川辰造
    及川寅一

    石塚夏生 なつき

    ④君は夜
    理紗
    小兵
    根岸

    ⑤炎
    亜利沙
    立木
    楢崎初音


    ⑥星くずドライブ
    香那
    佐々木英ちゃん
    下條


    ⑦SINK
    日高悦也
    悠助
    田代恵美

  • 心中をテーマとした短編集。
    心温まるストーリーから、寒々しくなるもの、深く考えるのはよそうと思えるものまで様々。
    絶望の中にも希望は見いだせるし、希望の中にも不安は消えない。
    老人が妻への愛を語る「遺言」や心中の生き残りの男性の「SINK」も読後感がよかったけれど、一編を選べと言われたら、「初盆の客」。浅田次郎さんの怪異譚ぽくて、好き。

  • 表紙がえらいおどろおどろしいとおもったら、「心中」を共通テーマにした短編集だった。。。

  • “心中”。同じ瞬間に息をひきとることが、そんなに慰めをもたらすだろうか。どんな最期だとしても、人はこの世を去る時、限りなく独りだと思う。

  • 7作をおさめた短編集。
    死をモチーフにした…というと何だけれど、そこは三浦しをんのこと。
    哀しいけどかすかな救いがあったり、怖いけどユーモラスだったり、どこかほのぼのしたり、かなり好感度高いです。

    「森の奥」は、自殺を考えて樹海に入り込んだ中年男。
    ずるずるとロープがゆるんで木から落ちて失敗した所を若い男に発見され、まだ遊歩道のすぐ近くだと知らされる情けなさ。成り行きでついて行く。
    自衛隊の訓練で一人で樹海を突っ切るのだという男の話には半信半疑だが…

    「星くずドライブ」は、恋人の香那が手ぶらでやって来て、着の身着のまま寝てしまう。
    実は交通事故で死んでいるらしいとわかるが、死体はなかなか発見されない。
    見た目は生きているときのままで、話は出来るが、他の誰にも見えない。触ることは出来ないまま、ずっと一緒にいることに…

    「SINK」は金属造形を仕事にしている若者・悦也。
    じつは一家心中事件の生き残りで、子供の頃の記憶を時折思い出す。
    あの時、母親はどうしようとしていた?母の手を自分は蹴って浮かび上がったのか…
    臆病な自分から離れたくて、引っ越すことにする。
    何かと手助けしようとする幼なじみの悠助にひどいことを言い、好意を寄せてくれた女性・田代にも応えられないが…
    記憶を少し塗り替えようかと考える。

  • いろんなカタチの「心中」をテーマにした短編集。
    樹海に入って自殺しようとする男性、「遺言」というタイトルだけれど内容的には長年連れ添った妻への凄まじいラブレター、ファンタジーっぽい時間差心中、心中の王道物語ともいえる江戸、男女、前世の生まれ変わり、どれもこれもひねりが効いていて流石はしをんさんです。
    そして物語の最後に心中のテーマの中でも核心とも言える一家心中に辿りつく。
    この構成も見事でした。
    重苦しいものばかりでなく読み終わったあと生きていくことの大切さ誰かを愛していたいという思いを痛切に感じました。 
    行く(死ぬ)だけだと旅行と言わないんだよ、帰ってくる(生きていく)から旅行と言うんだよ。『天国旅行』というタイトルにしをんさんの思いが込められているような気がします。

  • 好き!

    それぞれの胸中はうかがい知れないものを秘めていたり、破滅的だったりなんか切なかったり。

    心中を考える時の人間って、なんかやっぱり余裕がない。

    自分勝手…死のう、死のうよという言葉がすっごくいい。

    私も一緒に死んでくれる人いたらありがたいかもしれない。

    心中をテーマに、それぞれの結末へ…どのお話も好きだぜ〜良い本でした。

    自殺について考えたくなって、そういう本を探してこの本を見つけたのだけど、なんとなく、自殺やめろ!って本じゃなくてまさしくそれをテーマに面白い話を描いてくれた本だから、好きになれた。

  • Y

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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