愛に乱暴

著者 :
  • 新潮社
3.37
  • (49)
  • (210)
  • (262)
  • (52)
  • (18)
本棚登録 : 1319
感想 : 248
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104628063

作品紹介・あらすじ

妻も、読者も、騙される! 『悪人』の作家が踏み込んだ、〈夫婦〉の闇の果て。これは私の、私たちの愛のはずだった――。夫の不実を疑い、姑の視線に耐えられなくなった時、桃子は誰にも言えぬ激しい衝動に身を委ねるのだが……。夫婦とは何か、愛人とは何か、〈家〉とは何か、妻が欲した言葉とは何か。『悪人』『横道世之介』の作家がかつてない強度で描破した、狂乱の純愛。本当に騙したのは、どちらなのだろう?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • なんとまあ、怖い!
    ホラー映画を見ているようなゾワゾワ感。
    不穏な雰囲気の中、桃子が段々と狂っていくー。
    旦那のダメさ加減もひどいけど、義母もなかなか。

  • 最近ちょっと色々あったので、久々にドロドロ系を読みたくて。(笑)
    吉田修一さんは初めてだけど(いや悪人読んだっけな…)、先が気になり一気読み!!

    真守が、まぁクズ夫。
    もはや「真に守る」て名前も皮肉過ぎてむかついてくる。何も守れてないじゃん、て。
    自分勝手な義母も、愛人もみんなむかつく。
    桃子も…段々と狂気。狂気というか何て言うか。
    そりゃヒステリックにもなるわなと思う反面、やっぱりちょっと理解し難い行動…
    なぜ穴を掘る??

    男と女の会話の噛み合わなさが上手い。自分の浮気が発端なのに女の行動に問題をすり替えたり、肝心なことは自己完結して話さない男、感情がコントロールできなくなってオニ電したり、赦しているような言葉と裏腹に態度で攻撃する女。現実にあるだろうなって感じ。
    そんなに真守の何が良いのか聞きたくなる。

    現在の桃子の日記に葉月の名前が出てきた辺りで、あれ?…愛人の友達って桃子とも友達なのか?てなり、読んでるうちにそういうことかー!!が来た。
    因果応報。結構不倫する人は繰り返すということか。
    知っているからこそ、愛人側のことも真守のこの先の行動もわかるから苦しい。でも自分もしてきたことだし。

    最後は桃子の事を認めてくれる人がしっかりいて、ちょっと救われた。
    あんな自分のことを軽く扱う人たちは放っといて(金だけちゃんと貰って)、自分の事を大切にしてくれる人を大切にていこうよーと言いたくなる。

    関係ないけど、桃子が長く不在にする度、猫ちゃんは大丈夫かしらと気になった(笑)

  • 夏バテ気味です。

    ってな事で吉田修一の『愛に乱暴』

    愛に乱暴な話です。

    吉田修一の世界観が凄すぎて…。 初瀬桃子と旦那の真守が住むのは、旦那の実家敷地内で訳あり離れを改装した家。

    昔、其処に住んでいた女性は旦那の祖父に関係があるのだがw

    読んでく内に段々引き込まれてしまう、頭が痛いと言うか、ボ~として来た。

    ちょっと最近イロイロあって、心に沁み過ぎたw

    日記の行が他人から本人へリンクして行く様が、ハッてさせられたw

    吉田修一ヤバイね。
    ホンマ心情的な所を考えさせられるなぁ。

    最後は何時ものボンヤリな終わり方で、各自で続きを考えなければ。

    2015年42冊目

  • ある仕掛けありきの作品。
    きっと最初の記録を見ただけでは
    真守の不貞相手の女の日記だと
    思うことでしょう。

    だけれども…ある時点に入ったときに
    気付かれることでしょうよ。
    なんかおかしくね?と。
    このは?ありきなのね。

    まあ皆さん狂ってるお話。
    しかもこのクズの祖父もやらかしているというな。
    本当クズの家系なんかね。

    だけれども、最後はちゃんと
    桃子は救われたようだね。
    彼女のことを見ている仲間たちは
    見捨ててないんだもん。

  • 真守って本当に最低。こういう人は、何も学ばず同じ事を繰り返すんだろうな。桃子も気がふれたふりをしていると自分では言っているが、完全に狂ってる。最後には、浅尾やリ青年に存在価値を認めてもらえるような言葉をもらったんだから、その後の人生はいいものにして欲しいな。

  • 桃子の選択が最高。
    「狂った女」と思われたまま、一生元旦那と元義母の記憶に居着いて欲しい。
    因果応報ざまあみろと言ってしまえばそうなんだけど、でも救われて欲しいし、桃子に勝って欲しい。旦那に負けるな〜!と思いながら読んでた。

  • 因果は巡っているのだろうか。
    不倫した自分が、不倫に苦しむ物語

  • 2022/6/13
    桃子、途中までは確かに面白かったのに。

  • 久しぶりに吉田修一作品読みました。一時期吉田修一作品ばかり読んでましたが、ここ数年読書から離れてて、読書生活再開したので、久しぶりに読もうかなと。
    やはり自分の好みだった。

    変な行動を起こす人は、実は自覚的で、変な行動を起こさざるをえない衝動に勝てない状態なのかもしれないなと思いました。
    わたしの周りのトラブルメーカーも、実は自分がトラブルメーカーだと自覚あって、文句言うのかもな…。

  • 主人公は何も悪いことをしていなくて、むしろ夫の方が不倫して……。など、悪い事をたくさんしているのに、主人公が周りから悪く見られていくという話でした。

    こうなったら、離婚した方がいいと思うのですが、女の大事な8年間を、こんなことで無駄にしたくないという、主人公の気持ちもわかる。

    私だったら、慰謝料をぶんどって、義両親が心配だからと言って、義両親と同居させ、離れをわからないようにチェンソーで破壊して離婚します。(離れで敷地内同居とか、甘い!離れは使わせない)

    と思うぐらい気持ちが入ってしまい、一気読みでした。

全248件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。1997年『最後の息子』で「文學界新人賞」を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で「芥川賞」を受賞。07年『悪人』で「毎日出版文化賞」、10年『横道世之介』で「柴田錬三郎」、19年『国宝』で「芸術選奨文部科学大臣賞」「中央公論文芸賞」を受賞する。その他著書に、『パレード』『悪人』『さよなら渓谷』『路』『怒り』『森は知っている』『太陽は動かない』『湖の女たち』等がある。

吉田修一の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×