舶来屋

著者 :
  • 新潮社
3.67
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感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104633050

作品紹介・あらすじ

戦時下の天津で出会った、西洋の一流品。その圧倒的な輝きは、東京の焼け野原に戻っても長市郎の胸から去らなかった-。エルメス、グッチをはじめ数々の高級品を初めて紹介した「サンモトヤマ」創業者・茂登山長市郎。戦後の闇市から出発し日本にブランド・ビジネスを確立した男をモデルに、昭和の商人の半生を描く、痛快で心にしみる一代記。

感想・レビュー・書評

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  • 骨太な話だったな。
    自分の信念に基づいて働く男の語り。
    がむしゃらに働く生き様には
    やっぱり憧れが生じる。

    一方で、終わりの切なさも感じさせられた。
    どれだけの英華を築いても
    やっぱり不変なものはないんだな。

  • 2018.09.21
    すごい人がいたもんだ!反省はしても後悔はしない!

  • 返却期限までに読み終えず。


    あゆむと洋司うぜええええ。
    老紳士が戦中•戦後を語るのに対し、いちいち聞き手役の若い2人に「そんなの有り得ない!」とか「わかった!こういうことですよね⁉︎」といういかにもバカっぽい台詞を挟ませながら話を展開させていくところにしらけてしまう。

    ただの老紳士の独白ならよかった。

    戦争を知らない世代にだって、その悲惨さは教育やメディアによって伝えられているのに。
    全部読み切ってないから何とも言えないが、不快感が残った。

  • (2010より転載)
    今年の発掘本第1号。事実に基づいた小説ということで、日本の近代史を読んでいるようでした。GHQの時代って、どうしても知らないことが多いし、こういうところから少しでも読むことができるのは嬉しい。高級ブランドは興味がないどころか、抵抗があるぐらいだったので、こうやって日本に入ってきたということを知ることができただけで見方が変わった。良かったと思う。
    2011/2/17読了

  • 今年の発掘本第1号。事実に基づいた小説ということで、日本の近代史を読んでいるようでした。GHQの時代って、どうしても知らないことが多いし、こういうところから少しでも読むことができるのは嬉しい。高級ブランドは興味がないどころか、抵抗があるぐらいだったので、こうやって日本に入ってきたということを知ることができただけで見方が変わった。良かったと思う。
    2011/2/17読了

  • [2014.05.08]

  • 事実に則した成功譚は面白い。並木通りにあったサンモトヤマを覚えているので、尚更。

  • 今、日本で普通に買えるエルメス、グッチ、エトロ等ヨーロッパのスーパーブランドを、戦後の日本ではじめて広めた男「茂登山長市朗」の自伝小説。



    表紙に惹かれるように買ったけど、文章に力がありグイグイ引き込まれていていきました。


    「物を売る商人ではなく、文化を売る商人になれ」

    この言葉が、忘れられない。

  • とても読みやすく真音ワールドに入っていけます。
    伝記風、経済書、啓発書です。
    現在の生き方のヒントが多く書いてある書籍です。
    「文句ばっかり言ってるんじゃなくて、足を前に踏み出したものの勝ちだ。
    世の中とか、相手が変わるのなんて待っていたら、時間がいくらあっても足りないよ。
    大きな節目のときは、自分も堂々と変われる。

  • 実在の人物をモデルにした輸入商の一代記。ボリュームの割にはサクサク読めたが、踏み込みが甘いような気がする。そのため、読み終わってから、結局何を表現したかったのだろう、という疑問が残ってしまった。
    高級品はヨーロッパだ、という発想は、確かにそうなのだが、それは略奪の文化という一面もある。そのことには全く触れぬまま、アジアへ目を向けていく、という流れは余りにも安易だ。

  • 私はこれまで、商人というものは江戸時代や中世のもの、つまりは過去に存在していたものだと思い込んでいた。しかし作中に登場する茂里谷長市朗、すなわちモデルとなった茂登山長市朗氏は現代の商人であろう。

    ストーリーは洋司とあゆむが茂里谷から彼の半生を聞かせてもらう形で進む。彼がサンモリタニとして成功する過程が展開されていくが、茂里谷の話には見習うべき事柄が沢山含まれている。

    中でも「反省はしても後悔はしない」というフレーズは心に響いた。彼の成功は我がことのようにも感じられ、何度も鳥肌が立った。資本主義とは一線を画す、良き商人の姿がそこにはあったのである。

    また、和紙商店の息子であり、冒頭では和紙業界に反発を抱いていた洋司が、茂里谷の話を聞くうちにその思いを変えていく様は希望を感じさせてくれた。今後の彼がどういった活躍をするのか気になる良い締め括り方だ。

    現在とは環境が違うとはいえ、私も茂登山長市朗氏のような人間になりたいものである。

  • ・4/2 読了.これも一気に読み切った感じだ.サンモトヤマの名前すら聞いたことなかった.まあでも高級品を売る商売というのも稼ぎが多い分リスクも大きいんだろうね.

  • 戦後の日本に欧州の一流ブランドを伝えた「文化を売る商人」の物語。

  • おしゃれな女性の欲しがる商品、超一流の輸入品「グッチ」や「エルメス」。今でこそ、ショップに行けば、いつでも買い求めることが出来ますが、そこまでにしたのは誰だったのでしょうか?

    この小説は、実在する人物「サンモトヤマ」の会長茂登山長市郎氏をモデルにし、氏のこれまでの舶来物を売りさばくビジネスの径路をたどっています。小説自体が、戦後の焼け野原から復興して今にいたる銀座史でもあり、日本人の苦労の塊のような昭和史でもありました。日本はどのように経済を復興させてきたのか。
    ちょっと面白い経済史風の小説でした。

    日本橋の商人の家に生まれた主人公茂里谷長市郎は、昭和16年兵隊として中国へ派遣されたときにはじめて欧米文化を目にします。その後復員した長市郎氏は焼け野原となった東京で闇屋をひらきます。商才のあった彼は、中国で見た欧米の「美しいもの」。「グッチ」や「エルメス」が気になって仕方がありません。何度も欧米へ出向き、「日本でこれらの商品を売りたい」と直談判します。
    そして、日本で舶来品を売り出すことになるのです。

    したたかで信念を曲げない彼のおかげで、
    本物の「グッチ」や「エルメス」の商品を日本でも買えるようになりました。
    彼の持っていた「商魂」とは「勝魂」だったのでしょう。

    本物を見抜く目、先を見据える先端の目
    これが商売にとても大事な役割を果たしていました。
    商売の勝利者となり、先駆者になることで苦労も多いのですが、
    その苦労の結果は…大成功。
    現代の「グッチ」「エルメス」が
    女性をはじめ、多くの人々の憧れの的であり、
    最先端のファッションとして今もなお栄えているのですから。
    (私には縁遠い舶来品ですが…)

    戦後の日本経済を動かしたのは
    「ホンモノ」を見抜く先端の目を持っていた、
    一人の美しいものが大好きな闇ブローカーだったというわけです。

  • 当時まだ流通していなかった高級な舶来品の数々。日本でその商売を始めるため、茂登山長市郎は外国のブランドショップを訪ね歩く。
    エルメスやグッチ。誰でも知ってる有名ブランドが日本にやってくるまでの道のりは険しかったようです。今でこそデパートに行けばすぐ見れますし、高価ではあるものの簡単に手に入れることができますが……。これを読んだ後は、バッグひとつを見ても感慨深いです。
    内容は文字がぎっしりな約400ページ。とっても読み応えがありました。参考文献も半端なかった!

  • 戦後の混乱期に闇市から身を興して、
    日本にブランド品を持ち込んだ商人の一代記。

    主人公の話は各界の著名人が登場して、
    華やかでトントン拍子で成功しているような印象を受けるが、
    モデルとなった人物は「愚痴は言わない」が信条なので、
    ここには書いていないような苦労もあったことだろう。

    素直な心で読めば登場人物の若者二人のように
    自分も何かのために生きようという気持ちになるはず。

  • 銀座「サン・モトヤマ」を創立した茂登山長市郎氏の自伝。氏が敗戦後、闇市での付加価値をつけて売り始めた靴下の話や、外為法、貿易管理法違反での留置所への収監、その後毎年直参し、代理店契約を得GUCCI,HERMESとの話等。日本におけるブランドビジネスの転換点はルイヴィトンジャパン(販売法人)における服部里次郎氏からだった等、面白い。ブランドは少量生産においてのみ成立する、1ブランド=50億程度の商権等、ブランドの多展開への警鐘も。ファストファッション等あるが、綺麗で美しいは残り続けるだろうし、遺し続けなければいけないと感じた。「反省はしても後悔はしない」「運は天が授け、縁は自らが育てる」は良い言葉だなと思った。

  • 伝記かなぁと思って読んだんですがどっちかっていうと小説?ブランドメーカーのあり方自体が戦後60年で変わってきているようなので 輸入業者もおんなじようでは いられないよなぁ と。

  • ぐいぐい読み進めました。力がありますね。文体に。

  • 銀座の「サン・モトヤマ」創業者をモデルにしたビジネス小説。

    戦後の焼け跡で闇商売で名取洋之助など一流の識者に教えられた美の心とセンスが主人公の矜持。

    日本人ビジネスマンなど鼻にもかけてもらえない当時のエルメスやグッチを日参して口説き落とし、日本人に美しいもの、ステキなものを紹介していったご苦労。

    輸入品規制の中で留置所にも収監されながら、海外ブランドを直輸入してその後のブランド時代を築く。その後のグローバルビジネスの襲来により代理店契約の継続ができなくなった現状での更なる挑戦を描く。

    お世話になった欧州への恩返しとして、フィレンツェの天国の扉修復を行うなど、戦後の素晴らしい商人像を浮彫り。

    戦後のビジネスの経緯を俯瞰できる。商売がセンスと意地と使命感を下敷きであった時代のアナログさが懐かしい。

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著者プロフィール

1951年生まれ。米国系投資銀行等で債券ディーラー、外国債券セールスを経て、1995年『小説ヘッジファンド』で作家に。2000年に発表した『日本国債』は日本の財政問題に警鐘を鳴らす作品としてベストセラーになり、多くの海外メディアからも注目される。2014年『天佑なり 高橋是清・百年前の日本国債』で第33回新田次郎文学賞を受賞。主な著書は『日銀券』『あきんど 絹屋半兵衛』『バイアウト 企業買収』『ランウェイ』『スケープゴート』『この日のために 池田勇人・東京五輪への軌跡』『大暴落 ガラ』『ナナフシ』『天稟(てんぴん)』のほか、『マネー・ハッキング』『Hello, CEO.』『あなたの余命教えます ビッグデータの罠』など、時代に先駆けてITの世界をテーマにした作品も多い。

「2022年 『人工知能』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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