きつねのはなし

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 3151
感想 : 498
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104645022

感想・レビュー・書評

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  • 従来の森見作品の主要成分である「阿呆なお笑い」は一切使用されていません!(出版順ではこちらが先なのでこういうと変だが)、『走れメロス』『宵山万華鏡』で見られたようなシリアス怪奇テイストの作品が揃った短篇(中篇?)集なのである。でも、こういうモリミーもいいなぁ。舞台は相変わらず京都、主人公も男子大学生という設定は他の作品にも共通しているのだが、人気のない小路に迷い込んだ不安感のような、暗闇で何かの気配を感じた様な不気味な感覚のする作品群。敷居の高くない骨董品(古道具)屋「芳蓮堂」、狐の面をつけたひと、幻燈、龍の根付き、闇の中で動く胴の長い謎のケモノ。4つの作品の中で、それぞれどこかで絡んでいる。なかでも最初の『きつねのはなし」の不気味さは異様で一番印象に残った作品だ。【以下覚え書きのためあらすじ記載。ネタバレはないが未読の方は一応ご注意を】『きつねのはなし』骨董品屋「芳蓮堂」で店主の若き女性ナツメさんの元でアルバイトをしている武藤。不注意で割ってしまった納品の始末をつけるために天城という得意先に訪れた。彼の要求を聞いてはいけないと注意されていたのだが…。電気ヒーター、狐の面、恋人の写真…取り返しのつかないことになったような後味の悪さ、不気味さが残る。『果実の中の龍』シルクロードを巡る旅、読書家の菓子職人、大道芸人の兄…さまざまな特異な体験談を魅力的に語る先輩に興味を持ち、いつしか足繁く彼の部屋を訪れるようになった。切ない余韻。『魔』酒屋の次男坊の家庭教師をする「先生」。この界隈で最近通り魔が現れ被害が出ているらしいと話を聞く。謎のケモノが怪奇的。『水神』祖父の通夜の出来事。祖父の柩を囲み、父とふたりの伯父とともに、骨董屋が届けてくれる家宝をを待っていた夜。初代、曾祖父、祖父のさまざまな話が懐かしそうに語られる。そして…。

  • 何と言ったらいいのか、実はよくわからない。読み終えた後、言いようのないスッキリしない気持ちが残った。4話とも同じ小道具が使われていて関連がありそうと思わせておいて、そのあたりの説明が詳しく出てこないので消化不良気味。ものすごく怖い本というわけではないけれど、皮膚に残るような、後からゾワッとくるような怖さが印象に残った。「きつねのはなし」なだけに狐につままれたような気分。雰囲気は嫌いじゃないですが。

  • 書評やあらすじを拝読して、ホラーというより怪談に近いような不思議そうな感覚に惹かれて読んでみましたが、今ひとつストーリーをのみ込むことができませんでした。私の読解力のなさか…もう一度読み返すといくらか内容が理解できるのかなと思わせますがもう一度読む気は今のところありません…。一つ一つの短編に登場する人物の行動に矛盾がありますが、そこに恐怖を見出すべきだとしたらそれはあまり好きにはなれません。今回が森見さんの小説を読む初めての機会でしたのが、雰囲気や文体自体は面白かったのでユニークといわれる別の作品に期待。

  • 読んでいて、なぜか恩田陸の『私の家では何も起こらない』を思い出した。

  • どことなくXXXHOLiCを思わせる雰囲気の骨董屋。対価が必要な取引は本当に恐ろしい。ラストの死に方さえも美しい描写にため息がでました。
    描き下ろしでは水神がお気に入り。

  • キレイな森見登美彦さん。笑
    怖くて不気味で良い雰囲気の本です。
    京都に見られる 魔 とそれに魅入られたり、取り憑かれたりした人たちの不思議な連作?短編集。世にも奇妙な物語です。世界を旅した不思議な先輩のお話が面白かったです。

    でも、私はあの森見登美彦節が好きなので、少し物足りないっす。

  • 不思議な妖しげな物語。京都、古道具屋、縁側のある古いお屋敷、竹薮、古本屋、路地etc 私の好物が入ってるのだが・・・不気味な話で読後感はあまりよくない。

  • 暗い部屋で一人で読んでいると、背筋がゾクゾク。私のような、肝っ玉が小さい人は、明るい時間に読む事をお勧めします(^_^;)

    岩井志麻子/江戸川乱歩の小説を髣髴させるような、仄暗い古めかしい感じが、なんとも百物語調で、読み終わってから後ろを振り返ってしまいます。

    作者が古都出身の方のようなので、京都の描写が大変詳細で、情景も大変分りやすく、登場人物と一緒に京都の町を散策している気分になります。

    話は、4話からなる短編小説。4つとも登場人物や話の設定はまったく違うのですが 、同じ京都の町だし、出てくる骨董品屋の名前や妖怪(?)が一緒だったり、何処かしら伏線が敷いて有るのが、また不思議でゾクッとします。

    話の終わり方がぼんやりなので、『なんだったの?』と、もどかしく思いますが、多分読み手に色々想像させて、怖さの余韻を味あわせようという作者の意図なのでしょうね。。

    はっきりしたい人には、イライラするかもしれませんが、私は好きです。

  • 読みたい。

  • 内容がよく分からないながらも、ひきつけられるものがある。それは、妖艶な文章かもしれないし、説明のできない不思議さなのかもしれない。

著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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