君が夏を走らせる

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104686032

感想・レビュー・書評

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  • 金髪の男子高校生が、夏休みにバイトで1歳11ヶ月の女の子のお世話をするお話。
    読み初めはとにかく、女の子のやること全てが可愛くて「あ〜〜うちの子もこんなに可愛い時があったよなぁ」と頬が緩みっぱなしでした。(世のお母さん達はみんなこんな表情で読むと思われます)
    後半は男子高校生の気持ちの変化にグッときます。
    『あと少し、もう少しこんなふうでいられたら、そう思える時間が過ごせて、本当によかった』
    そんな時間を過ごせたら、先に進めるんですね。

    1歳11ヶ月の女の子、男子高校生、どちらの親にも感情移入できます。

  • 「あと少し、もう少し」でやんちゃな中学生だった大田が高校生になった。そのレベルの低さ故、雰囲気にのまれ「かったるい」日々を送る。夏休み中に1歳10か月の先輩の娘・鈴香の子守りのバイト。言葉が通じない鈴香の子守りに悪戦苦闘する。未熟な鈴香への子守りと自分の未熟さや高校生活の不甲斐なさが重なる。夏休み中、鈴香との戦いは自分との戦いでもあった。そこで現れた中学の陸上部顧問の上原。上原との再会により自分の方向性を修正することを誓った大田を素直に応援したい。鈴香を肩車して走った公園、鈴香はきっと大田を忘れない。

  • 瀬尾まいこさんの作品を気に入って読むようになったが、この作品はその中でも抜群に良いと自分は感じた。何しろ心が豊かに暖かくなる。読み終わりが近づいて来てもその先を読んでみたいと欲求がでる。続編を出して欲しい。

  • 瀬尾まいこさんの「あと少しもう少し」から読んでいたのですが、「あと少しもう少し」の登場人物(主に太田)などのその後の生活が書かれていて、とてもおもろしろかったです。太田以外のその後の生活も見たいです。

  • 『あと少し、もう少し』の大田くんが主人公です。
    高2になった大田君が、訳あって先輩の2歳の娘を預かる事に。

     言葉は乱暴だけど、優しくて一生懸命な大田君の良さがずっと出てました。2歳の子どもの描写も丁寧で、「そうそう、そうなんだよね。」って頷いたり、「そんな時もあったなぁ。」って懐かしんだりして読みました。

     原題は『夏がぼくを走らせる』だったようですが、『君が夏を走らせる』の方がしっくりくる。どうしっくりくるかは説明出来ませんが、瀬尾さんさすが。

     大田君のような勉強が苦手な子が諦める事なくゆっくり学べたり、勉強し直したいと思った時にじっくりやり直せるようになると良いなぁとアレコレ考えました。

  • あと少しもう少しと思える時間
    忘れられてしまっても
    きっと奥底で流れている時間と記憶
    郷愁みたいなものに
    変容していく

    最後、あと少しもう少し続いてほしい
    そう思った小説だった。

  • 2020.7.10

    読了後のぽっかりとした穴のような感じ
    3週間、1歳10ヵ月の鈴香のお守りをするバイト
    最初は困り果てて振り回されていたけど
    ご飯を作り公園で遊び母親達と触れ合いかけがえのない時間になっていく
    鈴香の最後の「ばんばってー!」は目にしみる
    不良になりきれず、自分のあやふやな足元
    かつて自分もこんなに可愛くいとおしい頃があったのだろうか
    夏、走り抜けるような日々。
    尊くていとおしい夏の日々。
    タイトルも素敵だ。美しい夏の物語

  • 文句なし、瀬尾まいこの青春小説いまだ力を失わず、色あせもせず。読者の年齢問わずなんだろう、50過ぎたおっさんの心にグイグイと刺激を与えてくれる。

    主人公は「あと少し、もう少し」の不良少年ランナー太田やん!しかもFランの高校生活を挫折し、不登校を続けるが、グレきるには不良生活のむなしさを分かってしまているし、悶々とする日々。ひょんなことから先輩夫婦の家の留守番及び子供(2歳弱)の面倒を見ることになって…。

    あの太田が帰ってくるのである。
    人生に行き詰まりを感じた時、食と睡眠中心に生活を整え、身体を鍛え、読書をすることで、打開策を見出すのは、スペンサーシリーズ含め王道の手段である。自分自身、生活と身だしなみを整え、運動し、本を読めば、翌日以降の人生が充実してくることを体感しているだけに、この手の本が大好きである。

    太田は子育てを実践せざるを得ない状況から、生活を整えだすのである。そして走る魅力を再確認する、あぁ、なんていい子だろう。思春期不良のもやもやは、こんな単純なものじゃないかもしれないが、それでも髪の毛染めてバイクに乗って他人の体や財産を傷つけているより、よほど解決に近づくと思う。

    瀬尾まいこの青春文学に、この手の清潔な復活劇は非常に良く似合う。老いたじじいにとっての一服の清涼剤的効果抜群。これぞ至福夏の読書!だった

  • 瀬尾まいこさんの本を読むと毎回心がじんわり温かくなって、優しい気持ちになる。この装丁もとってもかわいくて、何度も見返しながら読みました。先輩の娘、鈴香の子守りのアルバイトをすることになった大田くんの夏休み1ヶ月の物語。母親と離れて寂しいであろう鈴香の健気さ、無邪気さがとにかく可愛くて、鈴香と触れ合うことでいい人間であろうと思い始める大田くんも微笑ましい。「あと少し、もう少し」の記述が端々に出てくるので必ず読もうと思いました。

  • まだ子供は居ない私ですが、丁度2歳の姪っ子がいるので自然に照らし合わせて、読みながらニヤニヤしてしまいました笑
    あーそうだったなぁ、慣れるとおいで!の一言に周りに目もくれず一目散に来てくれるあの可愛さったらない!ただ今妊娠中です、早く赤ちゃんに会いたくなりました(^^)

著者プロフィール

1974年大阪府生まれ。大谷女子大学文学部国文学科卒業。2001年『卵の緒』で「坊っちゃん文学賞大賞」を受賞。翌年、単行本『卵の緒』で作家デビューする。05年『幸福な食卓』で「吉川英治文学新人賞」、08年『戸村飯店 青春100連発』で「坪田譲治文学賞」、19年『そして、バトンは渡された』で「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『あと少し、もう少し』『春、戻る』『傑作はまだ』『夜明けのすべて』『その扉をたたく音』『夏の体温』等がある。

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