十二の遍歴の物語 (新潮・現代世界の文学)

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  • Amazon.co.jp ・本 (213ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105090067

作品紹介・あらすじ

から流れ出る血。雪の上に続く血の跡。傷口から流れる魂-コロンビアの小さな村にこだわってきた作家が、一転して、バルセロナ、ジュネーヴ、ローマ、パリといったヨーロッパの都市を舞台に、異国の地を訪れたラテンアメリカ人の孤独を、洗練された文体で描き、そのアイデンティティを模索する幻想小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭に「なぜ十二なのか なぜ短編なのか なぜ遍歴なのか」という作者の緒言が載せられている。
    きっかけは、ガボさんが見た夢だった。
    ガボさんは自分自身の葬儀に参列出席したのだそうな。それは一緒にお祭りのような陽気な葬列だった。自分が死んだからこそ久しぶりに友人たちと会えてこんな楽しい集まりができたんだ。葬儀が終わり友人たちは帰り始めたので、ガボさんも帰ろうとした。だが友人に厳しく告げられた。「お前はひとりで残るんだ」。これが死ぬということで、もう二度と友人たちと一緒にいられないのだと理解したのだということ。
    この幻想文学的な夢は、残念ながらうまく筆に乗せることができなかったようで、小説にはならなかった。
    しかしその夢で感じたというアイデンティの自覚は、ヨーロッパに来たラテンアメリカ人に起こる奇妙な出来事としてここに収められた短編に反映されている。


    病気検査のため、亡命先からジュネーブに訪れたラテンアメリカのとある国の元大統領。同じ国出身の救急車運転手とそのアフリカ系の妻は、最初は小遣い稼ぎのために大統領に近付くが、大統領の貧しさになんだか放っておけなくなって。
     /『大統領閣下、よいお旅を』

    コロンビアの山あいの村で11年前に埋葬された娘の遺体は腐りもせず重さも無くなっていた。父親はローマ法王に聖別の陳情を行うため娘の遺体をチェロケースに入れて常に持ち続けている。
     /『聖女』

    ガボさんは川端康成の「眠れる美女」が相当気に入ったらしい。長編の「我が娼婦たちの悲しき思い出」と、この短編とを書いている。
    パリからニューヨーク行きの飛行機で隣になった中南米系美女の寝顔をただ見る八時間と十二分間の幸福。
    「誰が思っただろう。おれがこの年になって日本の老人になるだなんて」
     /『眠れる美女の飛行』

    ハバナで起きた大津波。被害にあったのはポルトガル大使に夢占いとして雇われたコロンビア出身の女性だった。
    「具体的に言うと、彼女は何をしていたんですか?」「いや、何も。ただ夢を見ていたんです」
    冒頭で大津波による大被害が起きるのだが、大袈裟かつ夢のような描写となっている。
    <「夢を見るあの女の夢を見たぞ」と彼は言った。(※この”彼”とはパブロ・ネルーダ)
    (……)
    「彼女がぼくの夢を見ているのを夢に見たんだ」
    「それはまるでボルヘスですね」私は彼に言った。
    彼はがっくりしたように私を見た。
    「もう書かれているのか?」
    「まだ書かれていなくても、そのうちに書きますよ。彼の迷宮のひとつになるでしょう」P87>
    ガボさんはあるインタビューでボルヘスについては「毎晩読むけれど作家としては嫌いだ、繰り返すけど嫌いだ、嫌いだったら嫌いだ~!」と言っています(笑)。あくまでも技工の人であって小説としては嫌いみたいです。
     /『私の夢、貸します』

    バルセロナに向かう途中、車の故障で夫に電話をかけようとしたメキシコ人のマリアが着いたところは精神収容施設だった。夫に電話をかけようとするが話を聞いてもらえない。
    不条理小説。
     /『「電話をかけに来ただけなの」』

    ベネズエラ人作家が所有するトスカーナの城。かつて愛人を殺し自死した城主の亡霊が出るという。城に滞在した夫婦の体験した幻。
    幻といっていいのか…幻影が現実を侵食したというか。
     /『八月の亡霊』

    夢で死のお告げを受けた引退した売春婦ムラータのマリアは、来たる時に備えて準備をした。カタルニアで墓を買い、遺言を書き、犬が自分の墓で涙を流すことを教えた。彼女ののぞみが叶わなかったのは、死んだからではなくて。
     /『悦楽のマリア』

    法王様に謁見していただくことを最期の望みとしてコロンビアからイタリアに渡ったリネーロ夫人が最初に見たのは男の水死体だった。たっぷり泣いて、各階が別々に経営されるホテルの食堂がない階に泊まり、17人のイギリス人を見る。
     /『毒を盛られた十七人のイギリス人』

    カダケス(※スペインの地方)には、無慈悲で執拗な風、トラモンターナが吹き荒れる季節がある。長年暮らしている人たちにも、やっかいだがそれがないと人生に意味がないような女のように語られる風。この風に囚われたらきっと死ぬ。
     /『トラモンターナ』

    カリブ出身の父により、シチリア島滞在の間ドイツ人女性のミセズ・フォーブスを家庭教師として就けられた兄弟。権力的で厳格で優しさもユーモアもなく兄弟を絶対的監視下に置く彼女だが、そうかと思えば極上のデザートを作り、夜にはワインを空け詩を暗唱して泣き叫ぶ。
    自由な夏を厳格なミセズ・フォーブスから取り戻すには彼女を殺すしかないって思った兄弟は。
    いやいやいや、冒頭とラスト怖いよ。衝撃のラストの現実的真相は不明。
     /『ミセズ・フォーブスの幸福な夏』

    えええ、途中までは幻想的な描写が素敵で微笑ましく読んでいたのに…、ラストが楽しめないのは私が”親”の立場だからだろうか…orz
    海辺のカルタヘーナ(※コロンビア)から内陸マドリードのマンションに住む幼い兄弟はボートと六分儀と羅針盤を欲しがった。「光は水みたいなもの」と教わった彼らは電球を割った。そして溢れ出した金色の涼しい光にボートを浮かべて家の中を自由に航海したんだ。
    兄弟の様子や、光の水にボートを浮かべたり潜水する描写は本当に素敵だったんだよ…。
     /『光は水のよう』

    コロンビアから新婚夫婦のビリー・サンチェスとネーナ・ダコンテは新婚旅行のパリに車で向かった。新婦の指からはバラの棘による血が流れている。「誰かがわたしたちを見つけようとしたら簡単ね。雪の上に落ちたわたしの血の跡をつけてくればいいんだもの」パリの病院に入院したネーナに、ビリーだけはどうしても会えない。
    不条理小説。
    題名が美しい。「私の好きな題名トップ10」を選んだらこれ入れます。
     /『雪の上に落ちたお前の血の跡』

  • 作家・星野智幸氏に教えて頂いた一冊。収録されている「光は水のよう」に影響を受け、氏は『水族』を書かれたとのこと。よりベースすとなっている安部公房『第四間氷期』もこれから読みます。
    G.マルケスの作品は、短篇集が個人的に好み。特に本作品は、ある期間内に並行して書かれており、リンクしていないのにどこかで見た風景のように重なっている感覚でした。
    いつかどこかでみた夢のように、突然「この話、なんだっけ?」と思い出せずに頭を悩ませるようなお話ばかり。
    まさに彼は「ヨーロッパのラテンアメリカ人」だと感じる作品でした。
    『百年の孤独』『予告された殺人の記録』よりも、私は本作品の方が好き。
    未読了『エレンディラ』が今のところマイベスト・マルケス作品です(*^^*)

  • ラテンアメリカ文学に興味はあるが、「100年の孤独」に挑戦するにはハードル高すぎるので短編集にしてみた。ほぼすべて南米ではなく、外国都市(世界の主要都市)が舞台。亡命し、貧窮生活に落ちた上に、腰椎の病気で痛みに冒された元大統領と、同郷の貧しい病院の職員の交流を描いた1編「大統領閣下、良いお旅を」しか読んでないけど、異邦人同士の郷愁の交換が沁みる。
    その他、幼くして死んだ娘の遺体が腐らないため、奇跡認定してもらおうと法王を待ちわびる男など、少し不思議な物語が展開される。

  • ガルシア=マルケスの訃報に接し、その死を悼んで何か書きたいと思ったが、『百年の孤独』はもとより、すでに多くの著書や関連する書物について書いてしまっている。そこで、あらためて翻訳された書名を眺めわたしてみたところ、未読の短篇集を一冊見つけ出した。それが、この『十二の遍歴の物語』である。

    書物の成立の経緯については、作家自らが冒頭に置かれた「緒言―なぜ十二なのか、なぜ短篇なのか、なぜ遍歴なのか」のなかで意を尽くして述べている。七〇年代初期バルセロナに暮らしていたときに見た夢がきっかけで、短篇集のアイデアをメモとして子どものノートに書きとめだした。旅行の際も携行し、六十四集まった時点で書きはじめたが、二篇書きおえたところで後が続かず、いつの間にか忘却に任せた。それが八〇年に新聞コラムを書くようになり甦る。十二編のうち五篇がコラム、さらに五篇が映画の台本、一篇はテレビドラマ、そして残る一篇は何とインタビューで話したものだという。もちろん、短篇集にまとめるにあたり、最初から書き直されているのだが、映画はまだしも、これらのうちのどれがコラム記事だったのか、その跡形もないほど見事な短篇となっている。

    十二篇に共通するのは、その舞台をヨーロッパにとっていることだ。ガルシア=マルケスは、コロンビアの作家とされており、代表作の多くがコロンビアを思わせる土地を舞台にしているにもかかわらず、コロンビアで書かれてはいない。それらは、ヨーロッパや他の中南米諸国で暮らしながら書かれている。訳者の言葉を借りれば、「彼はいつも、とても遠くから書いている」のである。興味深いのは、その彼が本書では逆向きに、遠くからヨーロッパを書いていることである。

    ガルシア=マルケスは、二十代半ばで新聞の特派員となりヨーロッパに渡る。しかし、その新聞が母国で発行禁止となったため失職、そのままヨーロッパに留まることになる。その後、他国を転々としながら小説を発表していくのだが、そのうちの少なくない時間を「ヨーロッパのラテン・アメリカ人」として暮らしている。暮らし向きが決して楽でなかったことは、バルガス=リョサがパリの下宿先の大家から、前の借り手もラテン・アメリカ人だったが下宿代を溜めて困った、とこぼされたのがマルケスのことだったと笑い話にしていることからも分かる。当時の印象が強いせいか、概してヨーロッパに向ける視線には冷たいものがある。

    今は亡命先のジュネーブで療養中のカリブ海に面した国の元大統領は、手術後体調は悪化する一方だったが、最後の頼みでマルティニークへ移送されると、元気を取り戻す(「大統領閣下、よいお旅を」)。また、元女優だったメキシコ美人はバルセローナに向かう途中、車が故障したため通りかかったバスに乗せてもらい、合流予定の夫に遅れることを告げようと、停まった先で電話を借りるが、そこは精神病院だった。「電話をかけに来ただけなの」と、いくら言っても信じてもらえず、事態はとんでもないことに(「電話をかけに来ただけなの」)。

    ブエノス・アイレスからはるばる法王猊下に拝謁するためイタリアを訪れたプルデンシア・リネーロ夫人は、下船したナポリでホテルに泊まる。食堂のあるホテルには、半ズボンからピンク色のひざ頭をのぞかせたイギリス人観光客十七人がホールの椅子に並んで腰かけ眠りこんでいた。肉屋の豚肉を思わせるその光景に怖じ気を震った夫人は別の階の食事抜きのホテルに泊まることにする。翌日、町歩きから帰った夫人の見たものは、担架で運ばれるイギリス人たちだった(「毒を盛られた十七人のイギリス人」)。

    バルセローナ近郊のカダケスに吹く「トラモンターナ」という季節風は猛烈なものらしい。ダリの故郷を紹介したテレビで見たことがある。その風を恐れる現地の少年を無理矢理つれてカダケス行きを強行するスウェーデンの男女たちを待ち受けていたものとは(「トラモンターナ」)。せっかくの夏休みを台無しにしてしまう厳格なドイツ人家庭教師に兄弟が仕掛けた悪意ある悪戯の顛末を描いた「ミセズ・フォーブスの幸福な夏」。上流コロンビア人の若夫婦がベントレーの新車を駆って出かけた新婚旅行先のパリで出会うことになった不条理な結末に胸ふたぐ「雪の上に落ちたお前の血の跡」と、どれも「ヨーロッパのラテン・アメリカ人」の感じる違和感に端を発した物語の数々。長篇小説に勝るとも劣らないガルシア=マルケスの短篇小説の切れ味の鋭さを賞味されたい。

  • (1995.05.17読了)(1994.12.10購入)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    〈バラの傷〉から流れ出る血。雪の上に続く血の跡。傷口から流れる魂―コロンビアの小さな村にこだわってきた作家が、一転して、バルセロナ、ジュネーヴ、ローマ、パリといったヨーロッパの都市を舞台に、異国の地を訪れたラテンアメリカ人の孤独を、洗練された文体で描き、そのアイデンティティを模索する幻想小説集。

  • 淳水堂さんにおすすめしていただいたので久々のガボさん。タイトル通り、12作の短編集。長さもテーマも舞台もバラバラだけれど、不思議な統一感がある。

    お気に入りは、川端康成の「眠れる美女」に影響を受けたと思しき「眠れる美女の飛行」(飛行機で隣の席に座った美女の寝顔を眺めてるだけ)と、本書を読むきっかけになった「光は水のよう」(タイトル通り、光が水のように溢れ出してくる)。

    とくに「光は水のよう」はとても短いのにとてもキラキラした子供の宝石箱みたいな作品。オチにはなぜか「ハーメルンの笛吹…」と思った。子供たちは「魔法を信じる」ことで、聞こえない音を聞き、見えないものを見、ありえない幻想世界に当たり前に生きることができる。けれどそこに大人が「現実」を持ち込むとその世界は崩壊してしまうのだ。

    「私の夢、貸します」もとても好きだった。ネルーダが少しだけ登場。ボルヘスについての会話が面白い。

    「電話をかけに来ただけなの」と「雪の上に落ちたお前の血の跡」は不条理系で、とくに前者はほぼホラーの怖さだった…。車が故障して電話をかけにいこうと助けを求め、拾ってくれた車が精神病院のものだったせいで、なぜかそのまま病院に収容され出られなくなってしまう女性の話。最初に彼女を乗せてくれた女性はもしかして患者の一人で、主人公を身代わりに自分は脱走したのかもと考えるとさらに怖くなった。

    「ミセズ・フォーブスの幸福な夏」も、オチが怖すぎてびっくり。真犯人は結局わからず…。

    ※収録
    大統領閣下、よいお旅を/聖女/眠れる美女の飛行/私の夢、貸します/電話をかけに来ただけなの/八月の亡霊/悦楽のマリア/毒を盛られた十七人のイギリス人/トラモンターナ/ミセズ・フォーブスの幸福な夏/光は水のよう/雪の上に落ちたお前の血の跡

    • 淳水堂さん
      yamaitsuさ〜ん 呼ばれたので参りました 笑

      ガボさんは川端康成『眠れる美女』が本当に気に入ったんですね。
      しかし日本の老人の...
      yamaitsuさ〜ん 呼ばれたので参りました 笑

      ガボさんは川端康成『眠れる美女』が本当に気に入ったんですね。
      しかし日本の老人の背徳的不道徳的さはなくなっていて、どっちが善悪ではありませんが、これが作家や国の個性でしょうか。

      『ミセズ・フォーブスの幸福な夏』は、少年たちの語る夏の日々と、そんな夏の日々にミセズ・フォーブスがどんな生活してるのかが垣間見えることのアンバランスさで進んでいったらラストで衝撃、犯人がわからないところもまた衝撃ですよね。

      『光は水のよう』マンションの上の階から光が水のように”流れ落ちる”様子は本当に美しい。『歩道橋の魔術師』の『光は流れる水のように』は、光が壊れた電灯から立ち”上っていく”でしたよね。どちらも幻想的。
      しかしガボさん、ラストはやりきれん(ーー;)。子供たちの心は幻想の世界で今も遊んでいると思って無理やり納得することに(ーー;)
      2023/02/01
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん!
      やっぱり読んで良かったです!(^^)! おすすめいただきありがとうございました!

      なんか意外と(?)オチは怖いor残酷...
      淳水堂さん!
      やっぱり読んで良かったです!(^^)! おすすめいただきありがとうございました!

      なんか意外と(?)オチは怖いor残酷(いろんな意味で)な作品が多かったですね。はなから不条理な「電話を~」あたりはオチがあれでも予想の範囲内ですが、ミセズ・フォーブスや光は水~なんかは、急に崖下に突き落とされる感じが・・・(^_^;)

      『歩道橋の魔術師』の中に、女の子が死んだ小鳥を甦らそうとする話がありましたが、それができると信じれば本当になったのに、結局できなかった、あの感じ、あの原点がガボさんのこの短編集なのかなと改めて思いました。

      2023/02/01
  • ずっと記憶に残る本です

  • 多分、個人的にはガルシア=マルケスで、一番よく読んでいるのがこれ。
    翻訳もいいのだと思いますが、とても読みやすいし、何よりイメージの喚起力がケタ外れ。
    (ダテにノーベル賞作家じゃないですねえ)
    登場人物の顔形や動く様子が眼前に浮かんで、読み進むのに邪魔なくらい。

  • 帯より、「孤独、違和感、アイデンティティの喪失。洗練された幻想小説12篇。」。

    収録されているのは…、
    大統領閣下、よいお旅を
    聖女
    眠れる美女の飛行
    私の夢、貸します
    「電話をかけに来ただけなの」
    八月の亡霊
    悦楽のマリア
    毒を盛られた十七人のイギリス人
    トラモンターナ
    ミセズ・フォーブスの幸福な夏
    光は水のよう
    雪の上に落ちたお前の血の跡

    私は特に2、7、12つ目の話が好き。生きた感情に対する世界の無頓着さというか、不意に襲ってきたどうにもならないやるせなさが印象に残っているので。

    余談ですが、自分が「幻想小説」というと雨月物語や夢野久作の作品を思い浮かべる人間だからか、この本の内容を「幻想小説」だとは感じられなかった。けれど、描かれている情景を想像してみると白昼夢的というかどこか現実離れしているようなところがあるので、それを指して「幻想」なのかも。
    当たり前のことだけれど、何が「幻想」なのか、育ったお国によって違うのかもしれないなぁとちょっと面白く感じた次第です。

  • 図書館で何度も借りて読んだ一冊。作者によると、紛失、書き直しなどの経歴のある十二の短編が収録されている。深い絶望、喪失感、呪わしいほどの愛など、人の目を引き付けてやまない激しいモチーフを織り込みながらも静寂の中に描ききった絵画のような小説たちだった。

  • 仰々しい悪夢のような出来事、超自然的な幻想譚、それぞれに違う味わいを持つ12の掌編。

    作品に出てくる人々の多くは、遠く馴染みのない場所で、正当な交流を望む。
    見知らぬ場所、見知らぬ人々を前に、それらの願いの多くは叶えられない。
    自身の人生に理解しがたいものが訪れた人々の孤独の姿を、作者と同じ視線で静かに見つめる。

  • 大人のファンタジー。
    現実と非現実が混ざり合って優しくて残酷な世界が広がります。
    どんなに悲惨な結末でも鬱々とした気分にならないのはすごいな、と思う。

  • 邦題は「十二の遍歴の物語」。1992年の短篇集。すごい。。。短篇でもこんなにおもしろいんだ、この人。。。どの短篇も濃密。こういうのはこれまで味わったことがなかった。(06/10/10)

  • 光は水のよう、が高校?の教科書に載っていてマルケスに興味が。

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