- Amazon.co.jp ・本 (359ページ)
- / ISBN・EAN: 9784105900809
感想・レビュー・書評
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図書館の新刊コーナーで何の気なく手に取った本。全体的に読みやすかった。
生後3ヶ月でボートピープルとして両親とともにベトナムからオーストラリアに渡ったという作者は、表題『ボート』でボートピープルの様子を描く。彼はそれを体験したのだろうか、していないのだろうか。生後3ヶ月でそれを体験したという経歴は面白いもので、体験と呼ぶにはあまりにも幼いとも言えるだろうし、体験したとも言える。いずれにせよ、作者はボートピープルという体験を自分のものとして語るつもりはないようだ。彼は世界のあちらこちらにある状況から抜け出し別の状況へと移りゆくボートピープルを見る。この短編小説にはそのような様々な形のボートピープルの姿があるような気がした。
文章について。現在と過去、その場にいない人たちとの会話、それらが同じように語られるのは意識の流れのようであって、そこから抜け出さざるを得ない追い詰められた状況の産物でもあるように思える。
表題作『ボート』が一番良かったと思うが、その短編に限らず、小さな子供が死ぬのは悲しすぎると思った。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
その国の出来事を内側から描いているはずなのに、外側から眺めている感じがするな~と思いながら読んだ。特に「ヒロシマ」では、かつての日本の狂気がよその国の人にはこんなふうに見えているのだと、う~ん、と思った。底に「戦争の悲しみ」が流れている感じで、重いけれど何か独特の瑞々しさも感じる。「テヘラン・コーリング」が個人的には一番印象的かも。
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2010.02.07 日本経済新聞に掲載されました。
2010.03.28 朝日経済新聞に紹介されました。
ちょっと気になる・・・