サラの鍵 (Shinchosha CREST BOOKS)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (423ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784105900830

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  • フランス人と結婚し、パリに住むアメリカ人ジャーナリストのジュリア。1942年7月16日に起きた、フランスによるユダヤ人一斉検挙の取材を通し、この悲劇に巻き込まれたユダヤ人少女サラと夫の家族との接点を知る。サラの人生とジュリアの人生が絡み合って進む物語。
    当時のフランス政府(ヴィシー政府)が、ユダヤ系だという理由だけでフランスで生まれた子供達をも検挙し、アウシュビッツのガス室に送り込んでいたという事実は、ショッキングだった。
    何故自分たちがそんな目にあうのかわからないまま、ある日突然悲惨な状況に置かれた子供達。ユダヤ人達の苦難に無関心だったり、巻き込まれないように息をひそめてやり過ごそうとするフランス人達や、必死に彼らを守ろうとするフランス人達…戦争の怖さを、改めて感じた。
    ただ、正直、何故ジュリアが自分の人生さえも変えるほどにサラに拘るのか、動機が理解し辛かった。

  • 途中「もうだめだ・・・読むのやめよう」と思うくらい、つらい話だった。けれど、そこを堪えて読み進めると微かな希望の光が見えてくる。戦争は二度と起こしてはならない。どんな時でも自分の良心は失わないでいたい。サラを救ったジュールとジュヌヴィエーヴのように・・・。戦争加害国の、国民としての責任の取り方についても深く考えさせられた。
    アメリカを賛美し過ぎていたことだけが残念。

  • ナチスが目前に迫るなか、少女は弟を納戸に隠し、鍵をかけた。パリで平穏に暮らす女性記者のジュリアと、60年前に収容所へ連行された10歳のサラ。古い小さなアパルトマンで、二人の運命の糸が結ばれる。

  • 戦時下のフランスを生きたサラの心や、彼女をとりまく当時の息苦しい雰囲気がひしひしと伝わってきます。ひきこまれて一気に読みました。もう1人の主人公の女性ジャーナリストにはあまり感情移入できなかったです。人の心の傷にぐいぐい迫っていくとことか。国民性かなあ。。

  • ホロコーストの話。過去現在が2つのフィルムのように交互に展開。あっと言う間に引き込まれた。歴史的事実を知らないコトは沢山ある。重いテーマながら難なくすっと入ってくる書き方が良かった。

  • ホロコーストから逃げ延びた少女を助けた家族の話。世代交代による記憶の埋没と逃げ延びた人のその後もテーマにあると思う。

    フィクションだけれども、ノンフィクションと言っていいくらいの内容だった。フランスでユダヤ人迫害があったなんて、しかも、ナチスの要請があったにしろ、大々的にフランス警察が加担していたなんて…とはいえ、一般市民の(無言の)協力なしにあの大々的なホロコーストは起こりえない。良識や道徳感が覆されるほどの狂気の時代だったのだと思う。このような歴史は二度と繰り返さないでほしい。

  • フランスでのホロコーストの話。
    フランスでこういった歴史があった事自体知らなかった。
    話自体はフィクションだが実際に起きていた事と考えると胸が痛くなる。
    現在と過去が順番に進行していく書き方なのでただ辛く重いだけではないところに少し救われた。

  • 主人公のジャーナリストジュリアがサラに会って「あなたのことを忘れない」と伝えたいと、切実にサラを探したことが、とても胸を打つ。また共感した。私があぽに会いに行く理由のひとつかもしれないと思った。

  • とても重たくて言葉がない。フィクションだとしても、サラのことを考えると救いがなく、辛い…。数年前までは、ホロコーストのことは理解を越えていたというか、特異すぎる出来事だったと思っていたが、そんなことは全くなく、いつでもまた起こり得るのだということを、痛烈に感じた。サラたちがフランスの警察に追われていったときに、なにもしなかった、傍観していたフランスの人びとの中に、自分がいるような気持ちがしていた。そうならないと、誰が言い切れるのだろう。
    311の直後に、Softbankの孫正義社長が一億だか寄付をしたけれど、そのことについて辛淑ゴさんが目取真俊さんとの対談の中で、あれは日本に暮らす在日朝鮮人の人びとの身代金だったと、語っていたことを、思い出していた。

  • 第1回(2011年度)受賞作 海外編 第7位

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